サイトマップ

パラグライダー初心者のページへ

Count start on 2000.07.12戻る

スイスパラグライダー日記その2

 その1    その2    その3    その4    その5    その6    その7    その8

2000.06.16(金)
朝、目が覚めてホテルの部屋の窓を開けて空を見ると、真っ青な良い天気だ。風も弱く、とても良い予感がした。朝食は、バイキング方式だ。ヨーグルトやハム、ミルク、ジュースと美味しそうな物が並んでいるが、野菜が見あたらない。生卵が置いてあり、沸騰したお湯の中に入れて自分で適当にゆで卵を作る。ジャムとバターも美味しい。朝からこんなに食べて良いのかなあ。
今日のガイドは、猿マーティンだ。ホテルからインタラーケンの街に行き、ビクトリアホテル前に行く。ホテルの前に大きな芝生の公園があり、そこにランディングするそうだ。街中にランディングとは凄い。小滝さんにランディングアプローチの仕方や注意事項を聞く。吹き流しを左手に見て四角く回るスクェアアプローチ方式をとる。ビクトリアホテルの上にある緑色の旗が風の方向を知らせてくれる。隣の高いタワービルがアプローチの目印となる。これだけ大きなホテルだから、すぐに見つかる筈だ。但し、テイクオフポイントからは、ランディングもホテルも見えないそうだ。でも、こんなに広いランディングだ。僕は、全然不安を感じなかった。しかし、テイクオフに向う車中は、不安でか重い雰囲気に包まれていた。僕は、車の窓越しに見える雄大な景色に感動しながら写真とビデオを撮影していた。
テイクオフは、アミスフプルと言う名前で標高1350mである。ランディングは、ビクトリアホテル前の公園で標高550m、高度差は、800mは、岩屋より大きい。
同行メンバーの実力がどの程度か分からないので、誰が最初に飛んだら良いのか判断に困った。水村さんが助教員の資格があると言う事なので、ダミーで出て貰う事にした。僕は、ビデオ撮影をした。猿マーティンが「テイクオフしたらすぐに左へ行け」と説明した。正面から弱い風が入って、水村さん、無事にテイクオフした。無線で小滝さんに伝えた。小滝さんは、車でビクトリアホテル前のランディングに移動していた。次に、神吉さんが準備していたが、正子が呼んでいた。ビデオ撮影を止めて近づいたら、神吉さんのビデオカメラのテープが終わってしまったとの事。ハーネスの後ろにテープが入れてあるので取って欲しいと言っていた。テープを取って渡した。カメラに新しいテープを入れて神吉さん、テイクオフ。しかし、勢いが足りず、キャノピーはライズアップしない。「もっと勢いをつけて走って下さい」と指示して、次は、上がった。無事テイクオフ。次は、会長の長谷川さんだ。「サイズが小さいのを持って来たのでランディングに届くかどうか心配で…」とごにゃごにゃ言っていた。無視して、「出て下さい」と言った。テイクオフして出た後に忘れ物が沢山。正子が見つけて「捨て て行ったのかしら…」「いや、持って行って上げて」と正子のハーネスの中に入れさせた。
次は、広さんがテイクオフ。「心配で、心配で」と小さな胸を痛めていた人だ。でも、無事にテイクオフ。小滝さんから「広さん、方向が違いますよ。湖の方を見ていませんか。山の方を見て下さいる左ですよ」と無線の指示。
正子がテイクオフ。不安のないテイクオフだ。次に僕が出た。テイクオフしてすぐにサーマルにヒットして回したが、大きなサーマルだった。後で、バリオを見たら、6.6m/secの記録があった。「おお、怖い」すぐに離れた。初日から怖い思いをしたくない。左に進路を取ると、すぐにビクトリアホテルが見えた。ランディングは、ホテルの前の大きな芝生の公園だ。さっきのサーマルを離れたら、リフトも無く、穏やかな空気だった。地上高さ約400mでランディング上空に着いたので、スクェアアプローチで左ターンをして高度処理をした。手前にテニスコートがあり、その上空で高度処理をする。大きな公園の芝生の真ん中にソフトランディングした。観光客が大勢見ていた。ともあれ、スイスでの最初のフライトが無事に終わった。
次のエリアに行く前にレインのランディングに行く。とても大きなランディングだ。ここにスクールもある。テイクオフは、車で20分位の所にある。斜面の中腹にあるレストラン・ルエグブイグリがそのテイクオフの名前となっている。高度は、1050m、ランディング標高は、550mで同じだ。標高差は、500mだ。車を降りて徒歩5分トラバースしてテイクオフに着く。両側に高い木が迫っている。猿マーティンは、「木が近くにあるので注意しろ」と言った。小さいテープが吹き流しとして置いてある。最初に水村さんが出た。正面から少しずつ風が入っている。湖に向かって行くとシンクだと猿マーティンは説明した。左にレストランがある。そのレストランの前辺りがサーマルポイントらしい。テイクオフにスイス人のフライヤーが大勢やって来た。スクール生らしい。彼らの中には、バリオを持っている人はいない。ヘルメットもフルフェイスの人はいなくて、自転車用の奴だ。エアバッグハーネスもなし。僕のバリオとGPSを見て、羨ましそうに話しかけて来た。日本には行った事がないけれど、韓国に留学していた事があると言っていた。「アンニョンハシムニカ」と言うと「アンニョンハセヨ。ハンゴ マルチャラシネヨ」と言って来た。少し韓国語で話しをしたら、驚いていた。
風は、時々、ブローが入る。僕は、クロスで出たが、正面に向き直った時に、右からのブローで右翼が潰されたまま、浮かされた。すかさず、左ブレークコードを引いて体勢を立て直した。何とかテイクオフしたが、運が悪かったら木に引っかかる所だった。湖に向かって飛んだが、教わったとおりに左の斜面の中腹にあるレストランを目がけて飛んだ。しかし、北風であり、右サイドの風なので、リッジも取れない。もっと湖に向かって飛べば、リフトがあったかも知れないと思った。僕が高く飛んでいる時に、長谷川さんが無線で「大久保さんが飛んでいるのが見えるのですが、小滝さんに私の位置を伝えて下さい」と言って来た。ランディング位置をロストポジションして別な場所に降りたらしい。どうしてだろう。マーティンに言われたとおりに右の下に大きなレインのランディングと吹き流しが見えるのに…。どこに長谷川さんがいるのか、飛んでいても分からなかった。僕が降りてから、暫くしてから、小滝さんが回収して帰って来た。聞くと、写真撮影をしていて、位置が分からなくなったそうだ。やはり、パラは、どこに降りるのかをいつも把握している必要がある。クロカンに出ても、それは 、必須条件だ。
全員が降りて集まったところで、近くのレストランに行き、やっと昼食だ。暑いので、ビールを頼んだ。フライトの後のビールは格別だ。
昼食後、今日、最初に降りたインタラーケンの街に行き、街の中をゆっくりと散策した。お土産物を見ながら…。インタラーケン周辺の地図だけ買った。今日、飛んだ下にあったタワービルの展望台に上がって、美味しいエスプレッソコーヒーを飲んだ。展望台からランディングした広場が見える。
夕方、もう1本飛ぶ計画があったが、そこは、最終の登山電車に乗って行くので、もし、飛べなかった場合は、3時間かかって徒歩で降りる必要がある。初日だし、リスクを負うのは、止めようと全員一致で決まった。マーティンが言うには、「今日の風は、五分五分」とのこと。
ホテルに帰り、初日の感激の一日を終えた。ホテル前からアイガーの山が綺麗に見えた。

サイトマップ

  その1     その2     その3     その7     その5     その6     その7    その8