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スイスパラグライダー日記その4

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2000.06.18 (日)
朝食を済ませてから、ホテル前に8時半に集合する。ハインツがパラザックを担いでバイクでやって来た。ホテル前のいつも流れている水道に口をつけてがぶがぶと飲んでいた。インタラーケンの街のあちこちにこの様な水道が流れていて、美味しい水が飲めるのは嬉しい。
今日の1本目は、ロットホルンだ。昨日、飛んだAXALPの対岸の山だ。ランディングは昨日と同じで、湖の畔のプリエンスだ。登山電車は、9時15分発には乗れなかった。次の電車の予約券を貰った。9時52分発だ。阪急旅行社のツァーの人達と同じ車両になった。パラザックを持っている僕達を見て色々と質問して来た。空を飛ぶ事についての興味があって、「いいですねえ」と連発していた。「私も若ければねえ…」と神吉さんよりずっと若いおばさんが言っていたので「74歳の人が一緒に来ていて飛ぶんですよ」と言ってやったら目を丸くしていた。同じ席にいたおばさんは、感激やさんで、景色を見て涙を流していた。そして、長谷川さんがカメラのフィルムを切らしてはまったので、譲って欲しいと言ったら「差し上げます」と言って新品のフィルムをくれた。ハインツがおばさんの立派なカメラを見て「撮ってあげる」と言っておばさんを写していた。登山電車のレールはラックアンドピニオンで駆動されていた。
山頂駅に着いた時、風は西からだった。ロットホルンのテイクオフはどこも傾斜がきつい。ハインツが風を見に更に上に登って行った。しかし、上も良くないので、結局、下の方で西斜面の方に移動した。ここは、斜面がきつい。すぐ下を登山電車が端っている。ハインツがテープを手に持って風見をしている。西風でサイドだ。水村さんが今日もダミーだ。最初、クロスで構えていたが、風が強い時は、サイドで正面になると弱いので「クロスは無理だと思いますヨ」と言ったらフロントで構えた。ハインツが「OK」と言った。「いいですヨ。今です。出て下さい」水村さんが走った。急な斜面なので失敗は許されない。すぐ浮いた。「ヤッホウ!」と声を上げてテイクオフして行った。
次は、正子だ。正子がテイクオフした時に下を登山電車が丁度、通過した。登山電車のお客が一斉に歓声を上げて拍手した。水村さん、正子が前の方で高度を取っていた。次は、僕が出る事にした。神吉さんと広さんは、ここは急過ぎるので出るのは嫌だと言っていた。長谷川さんは、ハインツとタンデムで飛ぶ事になっていた。
ハインツが僕のキャノピーをセットしてくれた。ビデオカメラをハーネスにしまって準備した。
風が弱くなってハインツの手のテープが正面になった時にすかさずテイクオフした。前の岩の所で弱いリフトを感じて回したが、上昇しなかった。そのまま平凡なフライトをして降下して行った。湖の上を飛んだ。昨日のAXALPと逆の方向からだったが、湖の上は同じた。ロットホルンの標高2300m、ランディングのプリエンスは、550mだ。高度差、1750mは大きい。ぶっ飛びでも、写真を撮る時間は十分にある。ランディングは最初から分かっているし、余裕があった。風は、湖の方からの西風だが、弱い。静かにランディングした。
神吉さんと広さん、それからハインツ・長谷川さんのタンデムがテイクオフポイントを変えて移動した。新しいテイクオフは風が入っていたらしい。高く上がっていた。しかし、サーマルでセンタリングしていない。勿体ない。4人が飛んでいるのをビデオ撮影した。
全員がランデイングして、昼食は、大きな滝があるグランドホテルに行った。グランドホテルの手前の駐車場の所に「ここから先は、身障者の車のみ許可」の看板があったが、ハインツは「俺は頭が少し身障者だ」と笑いながら車を進めた。いいんかいなあ…。
今日の昼食は、ソーセージサラダとビールだ。1本飛び終わった後のビールの美味しいこと。
昼食後、ビルダーズビルの駅から最終の登山電車に乗って、シェネガプラットへ行く。大勢の地元のフライヤーが一緒だ、山頂駅から少し下って行く。他のフライヤーは全員、下らずに登って行った。ハインツが先に歩いていたが、立ち止まり「シンカンセン」と地面を指さした。見るとムカデが歩いていた。シンカンセンとは、新幹線の事だ。とてもユーモアがあるオヤジだ。約10分位歩いてテイクオフに着く。小さなテープの吹き流しがあった。ハインツが「エブリバディ、パイロットショートミーティング」と言ってルートの説明を始めた。「風が西からだから、西に向かって飛んでは駄目だ。ルートは、最初、南方向に取って行け。左の壁にサーマルがあったら旋回しろ。運が良かったら上昇する。昨日は、何人も高く上がっていた。前方の高いビルがビクトリアホテルだ。グリーンの旗が風を教えてくれるし、その近辺には沢山の旗があるから、それを見ても分かる。高いタワービルがあるから見失う事はない。今、アプローチしているグライダーがあるから見ろ。あのグライダーが降りる方向から降りれば良い」ハインツはゆっくりとした分かり易い英語で説明した。僕は、ビデオを撮りながら説明 を聞いた。白いグライダーがホテル前の公園に降りた。「あの小さな山より高度が低かったら緊急ランデイングに向かえ。十分に高かったらホテル前に行ける筈だ。」さて、準備しようとしたら、広を除く全員が、「何て言ったの?」と聞いて来た。広は、ハインツにタンデムで飛んで貰うから我関せずでルンルン気分だ。仕方がないので、簡単に説明した。ハインツは、「時間が余りないので、全員、拡げて次々とテイクオフしろ」と指示した。僕は、急いで準備した。シェネガプラットの標高は、1500mだ。高度差は、950mだ。水村テイクオフ。続いて僕が出た。正子、長谷川、ハインツと広のタンデムが出た。左斜面の方で水村と正子が上げていた。そたらに行ったが、既にサーマルはなかった。しばらくサーマルを探して飛んでいたが、大きなシンクに入ってしまった。あっと言う間に高度を失った。仕方がないので、ビクトリアホテルに向かった。小山よりらも高度が低かったら緊急ランディングだ。しかし、300m以上高い。十分に行けると確信した。見たらさっき高く上げていた水村さんが先にランディングに向かっていた。後ろを飛んでいた長谷川さんもランディングに向かった。ふたりとも僕より ずっと高度が高い。ARGON-26は、シンクを脱してから高速でランデイングへ向かって水平飛行した。信頼出来る翼で。水村ランディング。その後、ファイナルアプローチに入ったが、スクェアルールをすっかり忘れていた。左旋回で高度処理をするべきなのだ。テニスコートの上で八の字で高度処理してしまった。無事に軟着陸したら、インド人の子供達が大勢集まって来た。ラインを踏まれないかとヒヤヒヤして気がきでなかった。インド人の子供がそうっと後ろから来て、キャノピーを触りに来たので、「No!」と言うと離れて行くが、また、様子を見てこっそりと触りに来る。
正子は、高く上げていたが「サーマルが荒れているので降ります」と言ってアプローチに入った。無事に降りた。ハインツは広とタンデムで飛んだ。スパイラルの大サービス。大きなフライトを2本出来た。
夜は、ホテルのレストランでハインツの奥さんのマリイも一緒にディナーを楽しんだ。スリムなカッコイイ奥さんだ。サングラスの跡の日焼けが目立ったので、パラをしているのか聞くとしていないと答えた。湖で遊んで焼けたそうだ。この日は、電子オルガンの生演奏のサービスがあった。リクエストにも応じてくれた。長谷川会長が「霧のサンフランシスコ」を歌った。乗っていたなあ…。ビールとワインで楽しいディナーを過ごして今日のフライトの事を話しあった。

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