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「頑固じじい愛米(曖昧?)物語」

1998年06月21日日曜日
1998年06月25日木曜日更新

私の実家は、農業をしています。お米と野菜は、自給自足で、食卓には、季節の野菜が並びます。特に、米作りに関しては、思い入れが強く、もみ蒔きから精米まで、我が子の様に手塩にかけて育てます。その米作りを取り仕切っているのが、今年90歳のおじいちゃん。今年も又、田植えのシーズンになりました。秋の大収穫を期待して苗を作ります。そろそろ田んぼに植えられる迄に育った苗に、母さんが虫よけの薬と間違えて、除草剤をまいてしまったから大変。全ての苗にまき終わってから、間違いに気付き、大慌て。苗を洗ったりして見たけれど、時、既に遅し。田に植えられた苗は、どうも勢いがないらしい。この事件以来、おじいちゃんは、母と口を聞かなくなりました。田んぼの仕事も一切放棄して、我が家の田んぼに近づくことすらしません。毎日毎日「今年は米がとれん・・・。情けない」と嘆き、すっかり気力を失っています。「米ぐらい買えばいい」と言う家族の言葉に耳も貸さず、母は眠れぬ夜を過ごし、今や、我が家は家庭崩壊の危機にあります。
我が家の危機は、さておいて、さて、ここからが本題です。
パラグライダーをしている人なら、誰しも一度や二度のアウトサイドランディングの経験は、お持ちでしょう。急な風向の変化や、ランディングの風の荒れている時、とりあえず安全に降ろすことを優先し、心ならずもアウトサイドへと言う事は、勿論、時には、ちょっとした判断ミスで、外してしまうことだってあります。考えて見ると、飛ばなくてもテイクオフの練習って出来るけれど、飛んだ回数しかランディングは経験出来ない。だから、ランディング場で、他の人のランディングをしっかり見ることはとっても大切なのですが・・・。
田んぼに水が入り、苗が植えられるこの季節、水田に囲まれたランディングに降りることは、すっごいプレッシャー。そんな時、ランディング場からボコボコとサーマルが発生しようものなら、「おねがいっ! そっと降ろして〜」と神様に祈らずにはいられない。どうにかこうにかランディングして、ほっと一息ついた時、キャノピーのはしっこが水田にポチャリ。或いは、止まり切れずに一歩二歩・・・苗を踏みしめたり・・・。まずは安全に降ろす事が一番だから仕方がないとは、思うのだけれど・・・でも、仕方がないと簡単に済ませてしまうことこそ、大きな問題ではないでしょうか?
たかが1本や2本の苗、秋の収穫に大きく影響することはないでしょうが、お百姓さんには、大切な大切な1本なのです。
ここで、我が家の家庭崩壊物語が登場するわけですが・・・。米のこととなると、たとえ家族であっても許せない、我が家の頑固じじい。それだけ、米への思いは強いのです。その気持ちは、どのお百姓さんも同じ。まして、赤の他人が、しかも、遊んでいて大切な苗を踏んだとなると、許すに許せない感情がふつふつと湧いてくるのは、当たり前。降りた人からすれば、たった1回のことでも、3人降りれば3回。10人降りれば10回です。「またか」って気にもなるし、度重なると「もう飛ぶな〜」って怒鳴りたくなります。
「怪我しなくて良かった」と笑って許してくれる人もいます。笑顔の下で泣いている事だってあるでしょう。「アウトサイドランディングすれば○○円」と決まっているエリアもありますが・・・。お百姓さんたちが、農作物にかけた時間と愛情は、そんなお金では済まされないって言う事をしっかりと分かって下さい。
目の前の風だけではなく、ランディングの状況もしっかり考えてからテイクオフして下さい。ましてやインストラクターが「荒れているから飛ばないで下さい」と指示しているにも関わらず、勝手に飛び出してお約束どおりのアウトサイドランディング・・・。「荒れてたから〜」と本人は言うけれど、そんな問題じゃないっ!「無事で良かったネ」とは決して言えません。お百姓さんじゃなくったって「もう飛ぶナっ!」と怒鳴りたくなります。
クロカンに行ってのランデイングや、不本意ながらのツリーランも同じです。田んぼや畑の農作物はもちろん、山の木だってお百姓さんからすれば、全部、大切な大切な子供たちです。膨大な時間と労力とお金をかけています。だから、愛情もこもります。そのことをしっかりとふまえて、フライトして下さい。いい加減な人がいると、一人の問題ではなく、エリアの問題となって、自由にクロカンに行けなくなったり、そのエリアで飛ぶことすら出来なくなる可能性だってあります。自分達のエリアを守りましょう。
フライヤーの為だけの土地では決してありません。そこに住む人たちの生活がそこにはあるのだと言うことを忘れないで下さい。
これからも自由に大空を楽しめるために・・・。
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