「今月の駄目」


1998年9月号 大人の事情・子供の事情 from「Sentimental Journey」「Sentimental Graffity for Windows」

98/09/24掲載

1、「今月の駄目」傾向分析

「今月の駄目」も3回目を迎えると、どういうゲームが祭り上げられるのか大体予想がついてくる。つまり、誰も知らないようなマイナーなゲームではなく、ある程度話題性のあるゲームでなければ、話にならないということだ。そう考えると、取り上げられない方がもっと駄目なゲームということになりそうであり、「今月の駄目」で取り上げられるのは「駄目な」ゲームというよりも「駄目にしたい(笑)」ゲームだということが分かる。

2、大人の事情

「センチメンタル・ジャーニー」の発表ははっき言ってかなり失望的なものだった。なぜならば、私は恋愛ゲームのエクステンションゲームは格闘ゲームしか認めないからだ。(笑)格ゲーならばまだ買う気になるものの、ボードゲーム出されても…。

まぁ、それは個人的なものなので置いておく。ゲーム自体は割と面白いらしいので問題ないのだが、どうしてバンプレストでプレイステーションなのかというのに釈然としないものを感じたのは私だけだろうか。

SS版「センチメンタル・グラフティ」の失敗以後、もっとも良い選択肢は間違いなくきっぱりと全てを辞めることだったはずだ。「センチ」という企画の終わりとしてSS版ゲームというのは十分だった。それがこういう形で続くのは余り気持ちの良いものではない。NECインターチャネルの中途半端な見切り方、大倉らいた氏の処遇(まぁ、文章書きとしては駄目だからしょうがないのか?(笑))、そして今度のバンプレストのボードゲーム…そういった色々なことがゲーム業界の陰の部分を見せられているようで嫌な気分だ。少なくとも今回の件でNECインターチャネル、バンプレスト、そしてマーカスの印象が悪くなったのは間違いない。

Sentimental Journeyのホームページ

3、子供の事情

しかし、更に輪をかけて(ゲームそのものが)駄目なのが、「センチメンタル・グラフティ for Windows」だ(ただし執筆時では10月末発売予定)。SS版に対するユーザの反応は良く知っているはずだ。それならばどこをどう直したらユーザが求めている(もっともすでにユーザが「センチ」を求めているかどうかは知らないが(笑))ものができるのかは当然分かっているだろう。「センチ」をやりたいと思ったユーザはほぼSS版ですでにプレイしているのだ。それでいてほとんどベタ移植を出そうとしているのは全く気がしれない。

第一、SS版と比べてハイクオリティなグラフィックだと言うが、彼らは一体どういうつもりで「ハイクオリティ」という言葉を使っているのだろうか?

解像度がいくら上がっても駄目な絵は駄目なんだよ。(笑)

せいぜい一部で笑いものにされている「ぱすてるノート」よりはマシな程度のあの絵が解像度上がっても誰も喜ばないだろ。全部描き直してナンボの代物をよくもまぁ出せるものだ。システムにしても、オンリープレイが可能なのは普通当たり前なのであってSS版がおかしいだけなのだから、何の取り柄にもならない。

例えば、ノベル形式にしたら良かったのではないか。無理して入れようとしたゲーム性がストーリーを追う足枷にしかなっていない現状を考えれば、単純なアドベンチャーゲームにしても良かったのではないのか。「ときめきメモリアルドラマシリーズ」のようなものを想定しても良い。何か、方法はあったはずだ。

これはユーザの我が儘なのかもしれない(ユーザというのは得てして我が儘なものだ)。そこまで求めるのは酷なのかもしれない。しかし、やる気無く単に移植するぐらいなら出さない方がマシだし、引っ張る気があるならば、それなりの誠意を見せて貰わなければ、ユーザは納得しない。「センチ」という企画は、それだけ大きな期待を背負ったものだったのだから。

Sentimental Graffity for Windows(NEC-IC)のホームページ

今月の駄目度:★★