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今月の駄目


1999年07月号 「幻想」王 ──「聖少女艦隊バージンフリート」

99/07/03掲載(99/05/07初筆)

 実に半年ぶりの「今月の駄目」となる訳だが、今回の被害者である「聖少女艦隊バージンフリート」、よく考えなくてもまたコナミのギャルゲーである。というか、内輪では漏らしていることだが、すでに「今月の駄目」はコナミ専用になっている感がある。(笑)別に悪気がある訳ではないのだが。多分本当は彼らが好きなのだ。いや、マジで。(笑)

 さて、その「聖少女艦隊バージンフリート」だが、まずタイトルからしてヤバい。相当ヤバい。ギャルゲーや美少女ゲームの類が、潜在的に「少女幻想」を抱えていることはすでにあちこちで書いていることだし、全く現実的で夢のない荒んだ世界でもそれはそれで悲しいのだが(笑)、正直言って、それが余りにも前面に出ると、うんざりしてしまうこともある。このゲームは、タイトルから「聖少女」「バージン」といきなり惜しげもなく幻想をぶちまけており「駄目」さをさらけ出している。

 その内容も、期待通り凄い。もう「うわー」という感じである。(笑)具体的には、「結婚しません、勝つまでは」と謳ったり、「バージンエネルギー」という言葉に表れているようにパワーの源泉が「処女性」にあることから貞操(死語)を守らなければならない設定だったりと、女性に対する前時代的(まぁ世界観からしてそうなのだが……)な「処女幻想」や「結婚幻想」が前面に押し出されたものとなっている。よくもまぁ思い付くものだとある意味感心している。(笑)少々偏りもあるかもしれないが、「結婚」という概念すらそう遠くないうちに消えてなくなると(処女うんぬんについては言うまでもないが)社会学的に考えられている現代では、そのギャップの激しさに軽い目眩すら覚えるのである。

 「少女幻想」「処女幻想」「結婚幻想」と、おぞましいほどの男性(それもオヤジたち)の幻想でカチコチに塗り固められた「聖少女艦隊バージンフリート」。だが、ギャルゲーをプレイする比較的若いユーザの多くは、一部では幻想(あるいは妄想)を抱きながらも、現実世界をある程度受け入れた上の諦念をそろそろ感じ始めているので、そういった行き過ぎた「理想世界」は余りにも空虚で、実存的な体験として享受することができないのではないだろうか。いくら今後のギャルゲー(あるいは恋愛ゲーム)が男性向・女性向に分化していくと言っても(Today第5回参照)、これでは男性ですら引いてしまうのではないかと他人事ながら(笑)心配するものである。


#っていうか、そもそもギャルゲーにする意味あるんだろうか?ゲーム内容と乖離してるようにしか思えないんだけど。要は誰に売ろうとしてるのかさっぱり分からないってこと。
「聖少女艦隊バージンフリート」
発売元:コナミ
機種:PS