1.システムをカスタマイズする
少し前のことだが、今木氏の掲示板を拝見しててハッと気づかされたことがあった。「PS版To Heart」のPC版からの変更点の1つに場所移動選択時にキャラクタがどこにいるか表示されるようになったというのがあるが、このゲームに限らずシナリオ中心の恋愛ゲームにおいてこれまでユーザの「攻略」の負荷を下げることにひたすら重点が置かれてきた面がある一方で、制作者によってあらかじめキャラクタを表示されることによって逆に失われてしまったものに光が当てられたことはほとんどなかったように思われる。
これは、場所移動時のキャラクタ表示をカスタマイズ可能、つまりon/offできるようにすれば100%の解決にはならないにしても(後述)、一応妥協できるものになったはずである。
実際にそれを似たような形で出しているものに「(DC版)Memories Off Complete」がある。場所移動という訳ではないが、選択肢を表示する時にどの選択肢があるキャラクタにとってプラスになるかをあらかじめ表示してくれる機能だ。しかもキャラクタごとにon/off可能という親切ぶりである。
だが、ここまでやるならばもっと逆の方に徹底的に、つまり選択肢を限りなく減らす方向にカスタマイズできてもいいのではないだろうか。すなわち、私が以前から言っていることだが、プレイ前にオプションでキャラクタを選択したらもう選択肢は一切出ず、自動的にそのキャラクタを攻略するような「選択」をしてくれればいいのではないかということだ。ここに来て、複数ヒロインの物語を同じ舞台で描く擬似的な選択型アドベンチャーゲームはついにはっきりとオムニバスストーリーへと戻ってくるという訳である。
2.カスタマイズを行き過ぎてみる
(ただ可能であるという意味では)カスタマイズしようと思えばできるところはいくらでもある。音声のon/offは必須だし、BGMのon/offも大抵のゲームにはついている。であれば、他の要素をon/offする可能性も考えてみたいところだ。
また個人的な話になってしまうが、私の場合はキャラクタが全く表示されず、背景だけが表示され(キャラクタは読み手に想像させ)るノベルやアドベンチャーがあってもいいのでないか(※1)と思っているぐらいなので(工数が相当削減されそうだ…もっとも間違いなく恋愛ゲームや美少女ゲームではビジネスにならないだろうが)、立ち絵の、あるいはイベント絵も含めたキャラクタ表示のon/offというのが考えられる。いや、これは別にあるゲームのキャラ絵が酷いとかそういうことを言っているのでない。
さすがにテキストと音声をどちらもoffしてしまうともうそれは物語が成立しないからどちらも削ることはできないが、キャラ絵に加えて更に背景とテキストをoffにして音声とBGMだけにすれば…そう、それは「リアルサウンド」だ。逆にテキストだけにすれば電子ブックにもなる。
全くの極論になってしまっているが、ここまで来て、おそらく多くの方が何らかの違和感を覚えられているのではないかと思う。そしてそれはカスタマイズに潜む危険性に起因するものではないだろうか。次回はその危険性について触れたい。
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