特別講義


各論 エターナルメロディ(SS、PS)

1、大作になり損ねた名作

恋愛ゲームの乱立期あたりだった。

設定など、他の恋愛ゲームでは例を見ないことに挑戦したであろう作品があった。ファンタジー世界に迷い込んだ青年が、現実世界に戻る為に仲間と協力するというRPG風のシナリオの中に恋愛要素を含めるという、恋愛を目的とせずそれでいて恋愛成立が美しい終わり方という画期的な恋愛SLGの登場である。名前を「エターナルメロディ」という。

少なくとも上記程度の設定であれば3流恋愛ゲームとたいして変化の無いしろものだった。だが、エターナルメロディは、現実世界でも歴史上の事実として刻まれているような、ファンタジー世界の中に埋もれている人と人との縁についての描写を掘り起こし、さらに現実世界でも通じる問題の指摘をすることによって、ただの恋愛ゲーム、いや恋愛ゲームの中で"人権擁護の尊さ"を感じさせてくれる、まさにキャラ設定やストーリーを考えれば世界名作劇場で放映されてもおかしくないほどの、お話としての名作性を教えてくれる作品だった。"死の宣告の能力を持つもの"という偏見で(実際はもっと幅広い能力だが)迫害される「影の民」と呼ばれる民族の少女。幼い頃からいじめを受けて、すっかり性格を捻じ曲げられてしまった少女。迫害を恐れてヴァンパイア・ハーフであることをひたがくす少女……など。彼女たちは普通のファンタジーのお話で出てくるような英雄などではなく、むしろ人々の迫害を受けるような立場の弱者といえる。すべてがすべてではないが、当てはまらないキャラ達の存在がより一層当てはまるキャラクター達を輝かせ、また自分達も輝いているのである。

これほどにすばらしいストーリーに加えて、キャラクターデザインのMoo氏は愛らしさあるキャラクターCGを提供し、サターン版のOPはエターナルメロディのファンタジーとしての美しい雰囲気をかもしだし、声優さんにも本当に有名で人気も高めなところから少しマイナーなところまで幅広く取り入れている。つまり、一つを除けばほぼ完全とも言えるほどの性能を持っているのである。……そう、1つを除いて。

ゲーム性。

システムはこのゲーム性に含めるとすれば、エターナルメロディは御粗末なゲーム性といわざるを得ない。攻略の難易度は高く、また慣れが必要であり、分岐の小ささゆえに広がり方が狭く、さらに1回のプレイで3人分のイベント、しかも成功か失敗程度の分岐しかないものを半強制的に見せられるのである。作品自体大好きだったから私はあきるまで20回ほどプレイしたが、50回やってもプレイし足りない某作品とは本当に天と地ほどの差がある。エターナルメロディはゲーム性の御粗末さの為に、その奥に秘められているかつてないストーリーを多くに見せることなく、爆発できないまま次の作品とも言える「悠久幻想曲」の登場によって消沈してしまう結果となる。

あまりにももったいなかった。ゲーム性という要素だけで落ちぶれてしまったのだから。

2、主観的評価。

※注:★は5個が最高。1個が最低。 

原画     ★★★ 
CG      ★★★ 
シナリオ   ★★★★
キャラが
立っているか ★★★★ 
システム   ★ 
操作性    ★★★
BGM      ★★★★
ゲーム性   ★ 
え○ち度(笑)★
どきどき   ★★★ 
せつなさ   ★★★★★
ストーリー  ★★★★★
恋愛ゲームと
しての完成度 80点 
原画・CGはMooさんの成長途上の為にこの評価だが、悠久2ndのグラフィックは4を与えてもいいくらい。シナリオは分岐等の問題点を考慮した上で。キャラもバランスの為に4つ。システムやゲーム性はこの評価で間違いない。

3、キャラ別の分布

  活発     ←           →   大人しい 
お姉さま系  カレン・レカキス      アイリス・ミール
                    ティナ・ハーヴェル
          メイヤー・ステイシア    楊雲
  ↑         リラ・マイム
       アルザ・ロウ    ウェンディ・ミゼリア
  ↓                     紅 若葉
       キャラット・シールズ
       レミット・マリエーナ
子供・ロリ系   
お姉さまなのかは大体年が基準になっている。ウェンディはアルザやリラよりも年上だが、大人びているかときかれるとどうしてもこのランク。

4、私の願望

上記の解説文は私の個人的な見解が数多く含まれており、感じ方がかなり違ってくるはずである。一般的なファンタジーが好きなわたしはほとんど衝動買いをしてプレイしていたといっても過言ではない。

今はすでに古くページ群もかなり閉じられているとの報告があった。ただ、雑誌などではかなりぼろくそに言われていたためか(4〜6の評価じゃちょっとね……)知名度は本当に低くなってしまった。

私は、そんなエターナルメロディの姿を見て、どうにかこの設定を生かしつつゲーム性とシステムの問題を改善できないだろうか、そういったことを、自分の力で起こせないだろうか。そう願っている。それが、この作品が闇に埋もれていった無念さへの報いではないかと。

5、最後に……。

このゲームをプレイした後、シナリオ重視という視点がある私としてはときめもや下級生などが小さく見えたということだけは付け加えておきたい。

悠久を除くファンタジー系非18禁恋愛SLGはエーベルージュ、ブルーブレイカー、ウィザーズハーモニー、みつめてナイトというところでジャンルとしてはあまり多いものではない。(じきにアナザーメモリーという作品が出るが、悠久と同じ会社なのでパス)18禁も含めればもっと多くなるだろうが、エターナルメロディは一度プレイしてみるべきである。