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恋愛ゲーム学補講


第13講 口コミというメディア

99/05/22開講(99/04/26初筆)

 当たり前と言われるかもしれないが、今回は口コミというメディアが(恋愛)ゲームにどのような影響を与えているのかをまとめておきたいと思う。(※1)

 今、若い人たちには、既存のマスメディアに対する根強い不信感があるらしい(※2)。誤報道や時にはヤラセのようなものまでが明るみになり、小さいうちから鵜呑みにしないよう教え込まれている状況では当然のこととも言える。新聞がまだかろうじて信用を繋ぎ止めている方だが、TVや雑誌に至ってはその娯楽性が強まるばかりであり、もちろん今でも、いやますますマスコミの影響力は強大だが、それはむしろ享楽的なイメージや妄想の普及に活躍しているという感じである。

 その中で、ビデオゲーム雑誌は一般に更に「格下」に位置づけられていることが多いが、実際に誌面を見ればそれも無理のないことかもしれない。ゲーム(の画面)紹介としてはある程度役立つものの(それも各メーカがホームページで宣伝して行けばそれほど必要でもないだろうし)、そのゲームを買うかどうかの判断材料として使えるというのは全く期待できないと言ってしまってもいい。特に美少女ゲームでは、極端なことを言えば8割が駄作なのに、何とか良いところを見つけてやろうと頑張っているライタさんの文章を読むにつけ、正直言ってこちらの方が痛々しくなってくるほどである。(笑)「駄目なものは駄目と言え」という基本理念からは対極にあるのだが、立場上ある程度仕方のないことと諦めざるを得ないだろうし、期待もされていないだろうから(笑)、今後雑誌はどうやって付加価値をつけていくか、オリジナルコンテンツを提供できるかが生き残れるかどうかの鍵となるだろう。

 さて、そこで若い人たちの間で今何が強い影響力を有しているかと言えば、最初に挙げた口コミというローカルネットワークである。彼らは、かつて「権威ある」はずであったメディアには不信感を抱いているものの、かと言って確固たる自分の考え方が確立している訳でもなく、友人、あるいはそれほど親しくない人でも、何らかの共有感を抱いている1他人の意見に対しては割と簡単に正しいと信じ込んでしまう傾向がある。そのツールとして街や屋外で最も強力に機能しているのはもちろん携帯電話である。少し前にも携帯によって爆発的に被害が広がった詐欺事件が問題になったが、口コミというメディアの危険性と、自分の意見を持たない脆さを垣間見せるものだと言えるだろう。

 ビデオゲームで言えば、自然とユーザが重なるため、多くは屋内において(と言ってもボーダレスの)ほぼ類似する役割が、インターネットやパソコン通信によって果たされており、BBSやチャット、メーリングリスト、レビューページがゲームを買う際の参考にされることが多い(※3)。「話題作」を「作る」ためにメーカが発売前後にどこに展開して行けば良いのかは自ずと明らかだろう。

 実際、雑誌がビデオゲームの客観的な評価機関として機能しない以上、メーカのしがらみから解放された、(可能な限り)客観的な評価機関が必要であると考えられるし、また客観的でなくとも自分の趣味や属性と似通ったところを見つけられれば、「外す」こともぐっと減るに違いない(※4)。だがそれは同時に、先の携帯で広まった詐欺事件同様他人に判断を依存することの危うさを内包していることにおいては何も変わるものではない。最終的に「善し」とするかは自分自身なのであって、その判断力が確かなものとして身について行かなければ意味がなく、また全体として考えても流行に流されるだけで業界の健全な成長(もしそんなものがあるとするならば、だが)は期待できない。各人が善し悪しを見抜き評価する目を養い、その集合体としての評価機関が構築されることが望まれるのであると、自戒を込めて指摘して置きたいと思う(発言には責任を持つということを含めて(※5))。時にはジャケ買いも直感力を磨く上で有効だろう。いや別に、相も変わらぬ広大な地雷原に勇敢にダイブして行くことを薦めている訳ではないのだが。(笑)
※1、手の内を明かしてしまうが、ネタ切れを先延ばしにするため(笑)恋愛ゲーム学は最高週1でしか公開しないので、思いつくままに書いているうちに公開が後手後手にまわり昔に書いた文章になってしまうことがあるのをご了承頂きたい。(笑)

※2、もっと広く言えば、社会システム、あるいはpublicなもの全てに対する漠然とした不信感ということだろうか。

































※3、Todayを掲載して頂いていたメールマガジンの「Gamers Life」さんは、ちょうどpublicとprivateの中間に位置していると私は受け取っている。今後ともその「草の根」性を失わないでいて欲しいと思う。


※4、「らぶらぶ・ほのぼの系」なのか「ダウナー・ダーク系」なのかといったシナリオ傾向と、ロリ系とか眼鏡っ娘とかいったキャラ傾向とが一致するなら同じゲームを気に入る可能性は相当高いだろう。(笑)



※5、特に恋ZEROの場合、特定の意図を持って(意図的に)歪曲した発言をよく行うので…。(笑)