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恋愛ゲーム学補講


第14講 1998年恋愛ゲーム回想録

99/09/30開講

1.1998年ベスト恋愛ゲーム投票

 1997年恋愛ゲーム回想録ではすでに恋愛ゲームが出過ぎているということを指摘していたが、1998年にはそれを遙かに上回り、前年の倍の100ほどの恋愛系ゲームが発売された。恋愛ゲームZEROでは、1998年Best恋愛ゲーム投票と題して、当サイト訪問者の人気調査を実施させて頂いた(※1)。

問、コンシューマ・PCを通じて1998年(1月〜12月)に発売された恋愛/準恋愛ゲームで良かったゲーム名を順に3つまでお書き下さい。1位3point、2位2point、3位1pointとして計算します。なお、1位は必ず必要ですが、2位以下は必ずしも記入する必要はありません。

 結果は以下の通りである。なお、3ポイント以下は省略した。

ゲーム名ポイント
ONE〜輝く季節へ〜
77
WHITE ALBUM
47
久遠の絆
36
ファーストKiss☆物語
26
ラブ・エスカレーター
24
とらいあんぐるハート
19
With You
18
みつめてナイト
15
Pia☆キャロ2SS
15
センチメンタルグラフティ
12
PALLETE
10
ぱすてるチャイム
6
サクラ大戦2
6
NOeL〜La neige
5
メルティ〜Re-Inforce〜
5
いちょうの舞う頃
5
悠久幻想曲2ndAlbum
5
お嬢様特急
4
ダブルキャスト
4
どきどきポヤッチオ
4
はるあきふゆにないじかん
4
Natural〜身も心も〜
4

 コンシューマ恋愛系ゲームの斜陽がはっきりと表れているようにも見えるが、もともと恋愛ゲームZEROは美少女ゲームZERO(笑)じゃないかと言われるぐらいPC系に偏っているため、投票して下さった方も恐らくそちらの方が強いと思われるのでかなり割引いて考えることが必要だろう。その中で、「久遠の絆」「ファーストKiss☆物語」はよく健闘している。恐らく、この2つのゲームはコンシューマでありながら、PC系ユーザにも馴染みやすい作りになっていたというのがあるのではないか。

2.所感

 1998年恋愛ゲーム回想録と言いながら、すでに1999年も3/4終わっているという浦島な状況なので、さっくりと簡単にまとめてみたい。

 1998年という年は、キャラ萌え主導恋愛ゲームの頂点を極めた「センチメンタル・グラフティ」が終わりを迎えたところから始まっている。そのため、ユーザはかなりキャラクタにお腹一杯になっていたということが考えられる(Today第1回も参照)。また、前年の「To Heart」という「ときめきメモリアル」に匹敵するレベルの化け物(あくまでそれは後になって分かるのだが)ゲームの影響が強く残っていたことから、キャラクタのみに依存しないゲームを作ろうという試みが行われ、そして「脱『To Heart』」がひとつのテーマとなっていた年ということが言える。

 何よりまず、Leaf自身が出してきた「WHITE ALBUM」は、自ら「『To Heart』とは違うもの」を強く意識して作っていることが伺われる。ヒロインを振るという痛みを伴う話であるため、抵抗のあるユーザも少なくなかったようだが、恋愛物語の中のリアルに挑戦したという意味で高く評価したい作品である。

 そして1998年を語るのに避けては通れない「ONE」「ONE」も同様に「『To Heart』とは違うもの」なのではあるが、これは違いを意識しているというよりはむしろ前作の「MOON.」から引き継がれ、そして「Kanon」へと続く一貫したテーマを異なる形で描くもので、たまたま(もともと)違っていた、そしてたまたまそれが当たって後にシナリオ系と言われる一つのストリームになったという方が近い。その3部作(と言ってもいいだろう。恐らくそれをもって彼らの言う「心に届くAVG」3部作ということなのだと思う。)の中で表に出たり裏に隠れたりするテーマとはもちろん「現実との対峙」である。

 先ほどたまたま当たったと書いたが、本当は当たるべくして当たっているという方が正確だろう。「ONE」を受容し、評価するためにはある種の「素養」が必要だと言われる。その一つは現実世界との関係性の希薄さを自覚しているということだが、「透明な存在」と表した例の神戸の少年の事件は極端にしても、現代の若者は多かれ少なかれこの希薄感を抱えている人が多く、まして恋愛ゲーマーにおいてはその傾向が強いだろうから、恋愛ゲーマーの中でも比較的若い世代の人には受け入れられ易かったということが予想される。恐らく、「ONE」の書き手自身も似たような感覚を共有していたからこそ、独り善がりになりがちなシナリオにも関わらず危ういバランスを保てたのだろうというのはあくまで想像を域を出ないが。

 その他、卓越したシナリオとテキストセンスでノベルにしては妙に長い物語を読み切らせた「久遠の絆」、既存の恋愛ゲームのおいしいところを上手くまとめた「ファーストKiss☆物語」、男性キャラの描写が秀逸な「ラブ・エスカレーター」、我が道を行く(笑)「とらいあんぐるハート」と、振り返ってみるとそれぞれに工夫した作品が揃っていたようにも思うのだがどうだろうか。

 というのも、今回投票して下さった方のコメントを読むと、1998年の恋愛ゲームについて、「良かった」という人と「パッとしなかった」という人に大きく分かれていたりする。結局重要なのは世の中に氾濫するゲームがどうであれ、自分にフィットした作品に出会えるかどうかということなのだろう。皆様のコメントについては近日中に補遺を設けたい。

3.1998年ベスト恋愛ゲームヒロイン投票

 同様に恋愛系ゲームのキャラクタの人気投票の結果である。3ポイント以下は省略した。

問、コンシューマ・PCを通じて1998年(1月〜12月)に発売された恋愛/準恋愛ゲームに登場したキャラクタの中でお気に入りのキャラクタ名(およびその登場ゲーム名)を順に3つまでお書き下さい。1位3point、2位2point、3位1pointとして計算します。なお、1位は必ず必要ですが、2位以下は必ずしも記入する必要はありません。


 こちらも、ベストゲームの方で上位にあるゲームのキャラクタが順当に上位を占めている。やはり恋愛系ゲームはキャラクタが生きてこそ、ということが確認できる。






※1、1999/01/05〜1999/03/31実施。ご協力下さった方大変ありがとうございました。