経済の方では期待を込めてという部分も大きいだろうけども、底に達した、今年は上向きになる、という見方がある(私自身はそう楽観できないと思うが)一方で、ビデオゲーム業界では、はっきりいって明るい話題はほとんどなく、ますます落ち込むと素人目にも予想される。
恋愛ゲームもその例外ではない。「ギャルゲー作れば売れる」時代は遙か昔に終わったが、例え良作でも苦戦を強いられることになるだろう。特にコンシューマでは、昔どこぞのメーカが打ち出した(笑)「女性にも楽しめる」「ギャルゲーで100万本」などという目標は(予想通り)儚い夢物語となり(※1)、今後は10万本前後の攻防が続くだろうが、それもメジャータイトルでの話である。
1998年を振り返ってみると、恋愛系ゲームが驚くほどたくさん発売された。完全に把握してはいないが、コンシューマ・PCを合わせて1年で100前後の恋愛系ゲームが出ている。毎年倍々に増えている計算だ。これでは売れるはずがないのも当然だ(笑)。これは恋愛ゲームがブームになってから安易にスタートした企画が昨年になって出てきたためだと思われ、今年は(コンシューマ中心に)減少傾向に転じるだろう。
もちろん、恋愛ゲームに対する需要がなくなった訳ではない。しかし、いつでも買ってくれるコアユーザは別として(笑)、その周辺の潜在的恋愛ゲームユーザや更にその外のライトユーザの取り込みが、縮小再生産されるギャルゲーが見限られることで困難になっているのだ。同じ手は何度も通用しない。第1回Todayではシナリオについて取り上げたが、例えばせつない系。例えば過去のトラウマ。他所のゲームを見てから作っていては手遅れなのだ(※2)。
とりあえず今年前半で多くのユーザが期待しているであろうゲームとしては『トゥルーラブストーリー2』『Kanon』『コミックパーティ(仮題)』などがあるが、いずれも内容やシステム的に前作に相当すると考えられる『トゥルーラブストーリー』『ONE〜輝く季節へ〜』『Pia☆キャロットへようこそ!!2』(※3)を越えるのは到底困難であると思われる(いい意味で予想を裏切ってくれれば嬉しいが)。
ユーザの眼が厳しくなる中で、着実に当てて行くには、結局シナリオ、音楽、グラフィックといった素材レベルからいい物を提供していくしかないのだろう。「新感覚」「新ジャンル」とか全然新しくもないのに新しさを強調したり、「○.○.○」「○○システム」とか制作者の自己満足にしか思えないシステム名を強調するようなゲームはいい加減うんざりだ。(笑)いずれにしても、ビデオゲームメーカにとって今年は更に厳しい1年となるだろう。
一方、ユーザにも恋愛ゲームを氾濫させた責任はある。駄目ギャルゲーに踊らされているのは端から見ている分には面白いかもしれないが、深刻化する「ギャルゲー縮小再生産」に歯止めをかけるには、やはりユーザがゲームを買わないようにするのが一番効果的だ。メーカさんには申し訳ないが、思い切って半分ぐらい潰れて貰おう。(笑)今年はユーザが選択眼を養う年ということで、その際にゲーマーズライフが役だってくれることを期待したい。
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※1、ちなみに、同メーカは1998年「みつめてナイト」「みつめてナイトR」などを出しているが(笑)、内容はともかくその採算性は……。
※2、もちろん内容がついていっていればまだいいのだが、シナリオやテキストが破綻していては目も当てられない。(笑)
※3、「越える」というのが何を指して「越える」のかこれでは分からないが、「TLS2」の場合は売上数であったり、後ろの2つの場合は内容・人気であったりするだろう。
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