月ふたつPresents 山さんロングインタビュー再掲載

(月ふたつさん、お待たせしました!やっと作りましたよ〜思う存分感想書いて下さい(笑))

Relax in Talk   露口茂 

 昭和47年7月21日にスタートした「太陽にほえろ!」(日本テレビ 金曜後8:00)。現在放映中のドラマ番組では最長寿を記録(全放送回数約600回)するという。初回から今日まで1回も休まずこの人気番組を支えてきたのは、七曲署のNo.2“山さん”こと露口茂だ。派手な見せ場を作る若手刑事の陰で、番組を引き締め続けてきた山さんに12年間の歴史を率直に語ってもらった。

「山村という表札をみかけるとドキッとします。」

世田谷区砧(きぬた)にある国際放映。露口茂がこの12年間もの間、通い続けた『太陽にほえろ!』の撮影所である。インタビューは、この近くのレストランで昼食を兼ねて行われた。記者がいつものように取材用テープレコーダーを取り出すやいなや「すみませんが、それ使わないでくれませんか。どうも機械にしゃべるようで苦手なんですよ.....」

●12年間

「そうですね。もうそんなにたつんですか。一口に12年間と言うのは簡単ですが、自分の人生にとってもこの12年間は、ドラマの外でも内でも、悲喜こもごも重い、と言うのが実感でしょうね。と言って、改めて振りかえるという状況ではないです。むしろ、今までよりもっと精神的にも肉体的にも努力が必要だと思います。常に前向きでいたいですね」

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今の若い俳優はカッコイイけど何か一つ欠けていますね。
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●人気を保った理由

「時代劇で言うなら『水戸黄門』かな。勧善懲悪の部分が似ていますから。そして底にヒューマンなものが流れている。その辺がいいのかもしれませんね。

それに、作家、俳優、スタッフのバランスが、実にうまく噛み合っていい人間関係を作っていますから。それも画面に反映されているんじゃないかな。ただ、ショーケンやジーパン(松田優作)がいたころの方が、俳優のキャラクターが豊かでしたね。今のキャラクターは個性的と言うより一つにまとまってしまっている。でもそれがかえって受けているのかもしれませんね」

●若手俳優とのギャップ

「俳優は、相手の俳優さんによって芝居が変わります。ところが、今の若い人は芝居というよりそれ以前のことであまりにも感じ方が違いすぎる気がするんです。今までの若い俳優さんの方が、それぞれプロとしての力を持っていた気がする。確かに今の人たちも一生懸命やっているんだけど、どうなんでしょうねぇ。最近の『太陽に・・・』は面白いのかなぁ・・・。彼らを見ていると、本当にこいつ怒っているのか。泣いているのか。笑っているのか。本当に本気でやっているのか、疑問に感じるときがあるんですよ。確かに、非常にカッコイイし、スポーティだし若い女の子たちには人気がありますが、何か一つ大事なことが欠けているような気がするんです。それは何なんでしょうねぇ・・・」

●ボスの入院

「普通、ドラマというのは筋書きがちゃんとできているもんでしょ。それが、突発的なアクシデントでドラマが変わらざるをえなかった。つまり、現実が虚構に組み込まれてしまったわけです。その間、しんどかった・・・。ボスがいない『太陽に・・・』なんて考えられなかったから、やめた方がいいんじゃないか、とまで思いましたよ。俳優としてのごく当たり前のしんどさとは違って、現実がドラマに入り込んだしんどさでしたからね。あのとき、タクシーに乗ったりして運転手さんから『しんどかったでしょう』と声をかけられると、とっても嬉しかった。山村の気持ちを分かってくれてるんだなぁ、と。でも、あの経験は貴重でした。俳優としてできない経験でしたから」

●ボスの退院

「ボスを迎えるときは、“山村”と“露口”が入り混じった不思議な感覚でした。“山村”と“露口”、“ボス”と“石原さん”の区別がつかなかったんです。正直に申し上げると、一瞬自分が出ましたね。だけど、その一方で、これは芝居なんだ、とコントロールする自分もありました。今振り返ると、感動的なシーンだったと思います」

 

●命の尊さ

「今日、『太陽に・・・』のメインの監督さんだった竹林進さんが見えてたんです。一昨年脳イッ血で倒れて、ずっとリハビリテーションをやっていたんですが、以前お見舞いに伺ったときとは別人のように元気になられた。握手したらギューッと力強く握り返してくれたんですよ。嬉しかったですね。12年もやっているといろいろあります。

それも、ドラマの外側で起こった現実のドラマの方が重いですね。沖(雅也)クンの問題もそう。ドラマの中で喀血して死んで、現実の中でも死んでしまった・・・・・。人間の命の終わりって寂しいもんですね。『太陽に・・・』のテーマである人間の命の尊さを、12年間の中で、理屈抜きに感じてきました。戦友がけがをしたり、死んだり、まさに戦場にいる緊張感を味わいながら12年間やってきて、フッと気がついたら、山村しかいなかった。この寂しさは普通の寂しさじゃないですね・・・。これ、ドラマの中では出しませんよ。でも本音です」

僕は一つの事に時間をかけてコツコツやるのが好きみたい

●山村への思い

「山村という表札を偶然見かけると、ドキッとする。他人じゃない気がして。でも、そこまで入り込んじゃっていると、かなりきついと思うときもあります。山村にサヨナラして、新しい仕事にぶつかったとき、どうなるんだろう、と。山村が死ぬかどうか、みんな興味あるんじゃないでしょうかね。でも、もしかしたら最後まで残り続けるかもしれない。作家の方も、そこまで思い入れていますからね、山村には」

●挑戦したい役

「適当にカッコ悪くて、ズッコケていて、一生懸命やればやるほど何かおかしくて、どっかほろ苦い。そういう人間をやりたいですね。山サンも本当はそうだと思うけど、作家は絶対、パターンを崩そうとしませんから(笑)」

●『太陽に・・・』以外の仕事

「食うか食われるか綱渡りをしている感じのドラマも単発だけどやっています。よそで仕事をやるときは、痛みというか、『太陽に・・・』のカラーをはがさなきゃいけないわけです。とってもきつい事だけど、それが俳優として嬉しくてしょうがない。長いドラマの場合、一番危険なところは、パターンを崩せない部分と、それに伴うリスクだと思うんです。

確かに、ぬるま湯で気持ちいいところはあります。でも、それが当たり前になってしまってはおしまいです。僕のように、他でやってると嬉しくてしょうがないんじゃ、本当は困るんですけどね。今、いろんな役をやりたいんです。山サンが寂しいと思い始めてから、逆にエネルギーがでてきました」

●北の螢

「9月に東映系で上映されるんですが、久しぶりの映画で楽しかった。僕の役は、元津軽藩士の家老の息子で、明治維新のやり方に反逆する、いわば政治犯。北海道に流されて囚人のリーダーになり脱走を企てるという、男のロマンと挫折を描いた作品なんです。この役のために、天然パーマの髪をストレートにして、無精ヒゲをつけたんですが、『太陽に・・・』に戻るとそれをとらねばいけない。その繰り返しがきつかったですね。でも不思議なもので、メイクしている間にだんだん役になりきっていくんです」

●健康管理

「特別なことはやっていないけど、タバコはやめました。もう3年半たちます。もともと喉が丈夫でないうえに声を使う仕事ですからね。何回か禁煙を思ってもなかなかやめられなかったんですが、ある時期切羽つまってやめようと思ったらやめられました。人間、本当にやろうと思えばできるもんですね。ドラマの中で吸う場合? たまにものすごくうまいと感じるときもあります」

●地道な性格

「僕B型なんですけど、B型って二重人格なんですって。でも俳優はみんなそうですからね。子供のころ、防空壕を1人で掘り続けたことがあるんですが、それがちっとも苦痛じゃなかった。僕は一つの事に時間をかけてコツコツやるのが好きみたいですね。だから、『太陽に・・・』も諦めずにやり続けてきたんでしょうね」

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露口茂 プロフィール

●生年月日

昭和7年4月8日、牡羊座

●出身地

東京都、疎開先が両親の故郷の松山市

●出身校

県立松山東高校から愛媛大学に進み2年で中退

●俳優座

昭和30年7期生として入り3年後に卒業。同期に田中邦衛、山本学など

●映画デビュー

昭和39年日活の今村昌平監督作品「赤い殺意」

●テレビ初出演(初主演?)

昭和42年NHKの「文吾捕物絵図」

●賞

昭和41年吉田喜重監督の「女のみづうみ」と成沢昌茂監督の「四畳半物語・娼

婦しの」の演技により、第12回ホワイト・ブロンズ賞助演男優賞を受賞する

●休日

「クラシック音楽が好きだから、家でレコードばっかり聴いています」

●ゴルフ

「15年やっていますが、時間がないので腕前がどんどん落ちている」

●酒

「そのときの気分で何でも飲みます」