フリーのエミュレータQEMUを使おう

 
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●QEMUの使用方法

QEMUの使用方法を以下にまとめます.

○ドキュメントの参照方法

QEMUのマニュアルは,man qemuおよびman qemu-imgで読めます.また,前述のとおり, /usr/local/share/doc/qemuにあるHTMLファイルも参照してください.そのほか, qemuなどのコマンドをオプションなしで実行しても,簡単なヘルプが表示されます.

○おもなQEMUのオプション

QEMUには多数のオプションがありますが,おもなものを下の表にまとめてみましたので, 参考にしてください.

・表 QEMUでおもに使用するオプション
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 オプション         | 意味
--------------------+----------------------------------------------------------
-boot a             | フロッピーディスクから起動する
-boot c             | ハードディスクから起動する(デフォルト)
-boot d             | CD-ROM(またはDVD)から起動する
-cdrom /dev/cdrom   | CD-ROM(またはDVD)のデバイスとして/dev/cdromを使う
                    |  (イメージファイルの指定も可能)
-hda hda.img        | ハードディスクのイメージファイルとしてhda.imgを使う
-fda /dev/fd0       | フロッピーディスクのデバイスファイルとして/dev/fd0を使う
                    |  (イメージファイルの指定も可能)
-m 256              | 仮想PCのメモリとして256Mバイトを割り当てる
                    |  (デフォルトは128Mバイト)
-monitor stdio      | QEMUモニタとして標準入出力を使う
-enable-audio       | 仮想PCのサウンド(オーディオ)デバイスを有効にする
-localtime          | 仮想PCのリアルタイムクロックをローカルタイムにセットする
-snapshot           | ハードディスクをスナップショットモードにして起動する
-user-net           | ユーザモードのネットワークを使う
                    |(TUN/TAPの/etc/qemu-ifupスクリプトがない場合のデフォルト)
-redir tcp:8080::80 | -user-net使用時,ホストOSのTCP 8080番ポートを
                    |   ゲストOSのTCP 80番ポートにリダイレクトする
-smb /tmp           | -user-net使用時,ホストOSの/tmpを共有名qemuでSMBで共有する
-no-kqemu           | kqemuアクセラレータを使用しない
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○QEMUの各種ユーザ操作


・[Ctrl]+[Alt]系の操作

QEMUの実行中,ホストOS⇔ゲストOS間のマウスの切替えなどの操作は [Ctrl]+[Alt]で行ないます.これらの操作を下の表にまとめます. なお,以前のバージョンでは[Ctrl]+[Shift]が使用されていましたが, qemu-0.6.1以降,[Ctrl]+[Alt]に変更されました.

下の表の,[Ctrl]+[Alt]+[1]〜[4]はQEMUの仮想コンソールです. Linuxの仮想コンソールとは別物ですので,混同しないでください. また,(qemu)のプロンプトが出るQEMUモニタは,このQEMUの仮想コンソールひとつ として表示されます.これは,QEMUを全画面モードで使う場合に便利かも知れません.

・表 QEMUの[Ctrl]+[Alt]系の操作
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キー入力         | 動作
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[Ctrl]+[Alt]     | ホストOS⇔ゲストOS間のマウスの切替え
[Ctrl]+[Alt]+[F] | 全画面モード⇔ウィンドウモード切替え
[Ctrl]+[Alt]+[1] | ゲストOSの画面に切替え
[Ctrl]+[Alt]+[2] | QEMUモニタ((qemu)プロンプト)の画面に切替え
[Ctrl]+[Alt]+[3] | シリアルコンソールの画面に切替え
[Ctrl]+[Alt]+[4] | パラレルコンソールの画面に切替え
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※注1
[Ctrl]や[Alt]は,キーボードの左側のキーのみが有効です.
※注2
従来のQEMUモニタを使う場合は,QEMUの仮想コンソール上のQEMUモニタがなくなり, シリアルコンソールが[Ctrl]+[Alt]+[2]というように番号がずれます.
・従来のQEMUモニタを使う方法

qemu-0.6.0以前のように,QEMUの仮想コンソールではなく, ktermなどのQEMUを起動した端末ウィンドウをQEMUモニタにしたい場合は, QEMUの起動時に「-monitor stdio」というオプションを付け, 標準入出力をQEMUモニタに指定します.

・ゲストOSの仮想コンソールの切替え

ゲストOSがLinuxなどの場合で,ゲストOSの仮想コンソールを切替えるには, QEMUモニタ上で次のように入力します.なお,そのまま[Ctrl]+[Alt]+[F2]を 入力すると,ホストOS自身の仮想コンソールが切り替わってしまうので 注意してください.

(qemu) sendkey ctrl-alt-f2
・CD-ROM(DVD),フロッピーディスクの交換

QEMUの仮想PC上でCD-ROM(DVD)やフロッピーディスクを交換するには, 下図のようにQEMUモニタ上で操作します.交換の際に, 別のデバイスファイルまたはイメージファイルを指定することもできます. なお,デバイスの状況はinfo blockコマンドで表示できます.

・図 QEMU上のCD-ROMの交換
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(qemu) eject cdrom              ← 仮想PC上からCD-ROMをイジェクトする
                                ← ここで新しいCD-ROMに入れ換える
(qemu) change cdrom /dev/cdrom  ← 新しいCD-ROMを認識させる
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※注
フロッピーディスクの場合はcdromの代わりにfdaを, /dev/cdromの代わりに/dev/fd0を指定します.

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このページは、技術評論社 Software Design 2005年7月号、『QEMU使いこなしテクニック(Linux編)』の原稿を元に、Web 用に再構成したものです。
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