CD-ROM起動でハードディスクからファイルを救出

 
  YAMAMORI Takenori ●yamamori

●おわりに〜予行演習の勧め

ハードディスクがトラブルを起こした場合にそれを復旧させるという作業は, どうしても経験と勘にたよるところがあります.万一の場合に備えてあらかじめ 復旧手順を練習しようとしても,よい方法がありません.たとえば, この記事を書くにあたっても,その復旧手順を検証するために,実際に故意に ハードディスクにダメージを与えるわけにもいかないのです.

そこで,ハードディスクの復旧手順に近い練習手段として,OSがインストールされた ハードディスクの内容を,まるごと別のハードディスクにコピーして, 正常に起動できるように設定する練習を行なうことをお勧めします.

これを行なうには,OSの起動の仕組みを把握しておく必要があります. ファイルのコピー自体は「cp -ax」でも「tar | tar」でも「dump | restore」でも できますが,それだけではOSは起動せず,さらに GRUBまたはLILOなどのブートローダのインストール が必要です.また,パーティションが変更されたことによって fstabや,grub.confまたはlilo.confの修正も必要でしょう. これらの作業をひととおり行なった経験が,実際にハードディスクがトラブルを 起こした時の復旧作業に役立つことでしょう.

OSの入ったハードディスクをまるごとコピーすることには,別の利点もあります. 筆者の場合,Linuxのディストリビューションの新しいバージョンが出た場合, メインで使用しているハードディスクには直接インストールせず, まず別のハードディスクにインストールしてしばらく様子を見ます. そして,大丈夫だと判断してからメインのハードディスクの空きパーティションに OSまるごとコピーします.これは,メインのハードディスクに直接インストールする よりも安全です.また,空きパーティションには古いバージョンのOSも ローテーションしながら残しておきます.こうすると,何か動作がおかしい場合に 以前のバージョンとの違いを比較したりすることができるほか, 古いバージョンのOSを緊急時の起動用にも使えて便利です.

それでは,筆者自身もこれからこの記事の原稿テキストを大事にバックアップ したいと思います.■


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このページは、技術評論社 Software Design 2003年8月号、『システムが起動しない!非常時のデータ確保術』の原稿を元に、Web 用に再構成したものです。
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