Free Solaris 7 日本語版

YAMAMORI Takenori ●yamamori
■コラム■ X_LOCALEの再考

Free Solaris 7の英語版しか無かった時には, X11R6.4にX_LOCALEを付けて,これを用いて日本語対応しました. しかし,Free Solaris 7日本語版が入手できる今は,libcが日本語localeに 対応できるようになったため,X_LOCALEは基本的には必要無くなりました.

しかしながら,ここでX_LOCALEについて再考してみたいと思います. たとえばLinuxにおいては,libc5+X_LOCALE付きのX)の時代には,Netscapeの 日本語対応が不完全で,その後glibc2+X_LOCALE無しのX)になって, Netscapeの日本語対応がほぼ完全となりました. このことから,「X_LOCALEは不完全なもの」のような印象があるかも知れませんが, 筆者はそうは考えていません.

X_LOCALE環境において,Netscapeの日本語対応が不完全になるのは, Netscapeが用いているMotifライブラリが,X_LOCALEなしの環境を前提に 構築されているためで,仮に,MotifやNetscape本体が,X_LOCALE環境上で 構築されていたなら,Netscapeの日本語対応も完全なものになっていたと思われます.

そもそもX_LOCALEは,「localeが不完全なlibcを肩代りするために 導入されたもの」であることは承知しています.しかしながら, X_LOCALEの利点として,Solarisのような商用OSに付属のlibcとは違って ソースが公開されているということがまず挙げられます. また,各種アプリケーションをSolaris以外のUNIXを含めて 共通化したい場合,libc側のlocaleを使ったのでは,その細かい挙動が 各OSによって変わってしまう可能性がありますが, X_LOCALEの方を使うようにして,Xのソースは同じものを使うようにすれば, 少なくともlocaleの部分の挙動を統一できます.

では,Xアプリケーションはいいとして,コマンドラインのアプリケーションの 日本語localeはどうするかという話もありますが,筆者はコマンドラインの アプリケーションについては,そもそも日本語化して欲しくないとも考えており, たとえ日本語を扱うにしても,たとえばnkfコマンドのように, libcのlocaleは利用せずにアプリケーション側で日本語対応することが 可能だと思います.


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このページは、技術評論社 SoftwareDesign 2000年1月号、『登場!Free Solaris 7 日本語版』の原稿を元に、Web 用に再構成したものです。
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