Solaris 8 Early Access |
YAMAMORI Takenori ●yamamori |
Solaris 8 EAは,SPARC版・Intel版のCD-ROMが各々3枚ずつ, ドキュメントCD-ROMが1枚,そして追加で,StarOffice 5.1の SPARC版・Intel版CD-ROMが各々1枚ずつの,CD-ROM総計9枚に, Intel版ブートFD1枚という豪華セットで届けられました.
また,CD-ROMはEl Toritoに対応し,Intel版もCD-ROMからのブートが できるようになりました.ただし,El Toritoの中にもいろいろな ブートメディアタイプがあり,Linuxなどでよく用いられる 1.44MBのFDエミュレーションではなく,“No Emulation”という方式のようです. このため,筆者のマシンのSCSIボードのBIOSは, 各種LinuxのCD-ROMなら直接ブートできるのですが, Solaris 8のCD-ROMからはブートできませんでした.
一方,VMware 1.1.2(Linux版)は,Solaris 8のCD-ROMを ちゃんとブートできましたが,今度は,Solaris 8のカーネルのブート中に, "DMA is not supported for the CD-ROM" と,エミュレータ上のエラーが出て,インストールできませんでした. (Solaris 7なら,VMware上にも正常にインストールできるのですが…)
Solaris 8 EAでは,Web Start(Webブラウザによるインストール)の しくみが大きく変わりました.
まず,インストールCD-ROMから,Web Startの部分が,1枚の専用CD-ROMとして 独立しました.
------ Solaris 8 INSTALLATION -- これからブートするとWeb Startになる Solaris 8 SOFTWARE CD 1 of 2 -- これからブートすると対話式インストールになる Solaris 8 SOFTWARE CD 2 of 2 -- 一部のOSパッケージがこちらに分けられた ------ ・インストールCD-ROMの構成
このため,Solaris 7と同じつもりで1枚目の“INSTALLATION”CD-ROMから ブートすると,たとえ“Interactive Installation”(対話式インストール) にするつもりであっても,選択の余地なく "Solaris Web Start 3.0 installer" と表示され,戸惑うかも知れません.
さらに,Web Startでは,インストール用のmini-rootを,ハードディスクの swapパーティションにいったん書き込みます.これは,インストール中に 複数のCD-ROMを入れ換えられるようにするためにとられた措置だそうですが, 従来のSolarisのインストールのように,CD-ROMだけの環境でインストールできた 時の方が,仕組みとしては美しかったように思います.
さて,実際にWeb Startでインストールしてみたのですが, 新規のハードディスクをつないでおいたところ,
corrupt label - wrong magic number
とエラーが出て,その後コンソールのシェルのプロンプト上に落ちました. そこで,手動でformatコマンドを起動し,ディスクラベルを書きました. Intel版の場合は,formatコマンドの中からさらにfdiskを呼び出したりもします. このあと,一度Web Startの再起動が必要でした.
その後,mini-rootのコピーとなりますが, この間,ずっとコンソールの文字だけの画面が長く続き, Web Startのイメージからはちょっと遠いものです. (おそらく,EAではないバージョンでは改善されているのではと思います)
そして,swapパーティションからブートし直され, OpenWindowsが起動します.最初にhostnameなどの入力がありますが, hostnameやIPアドレスなどの情報をネットワークから自動取得している場合も, それらは再表示され,これを変更することもできます.
タイムゾーンの設定,rootパスワードの設定のあと, ようやくWeb Startが始まったという感じの画面が立ち上がります. これはNetscapeをJavaでバリバリにカスタマイズした画面のようです. rootウィンドウ(に見える部分)を右クリックすると,場所によってNetscapeの メニューが出てしまうため,内情がちょっとバレています. マウスカーソル位置によっては[Alt]+[B]でブックマークウィンドウも出せ, そこからも,通常のNetscapeウィンドウが開けてしまったりします.
また,Web Start中は,画面左上,Applicationsの中から, 端末エミュレータもNetscapeも起動することができます.
現状,Web Startは英語表示ですが,日本語環境をインストールする場合, 途中の“Select Type of Install”のところで“Custom Install” を選び,その中で“Japanese(ja)”を選べばよいようです.
さて,このように大きく変わって豪華になったWeb Startですが, いろいろと難点もあると思います.
まず,mini-rootのswap容量は,筆者が試したところ最低384MBと, かなり大きいサイズ(全然miniではない)が必要で,これは インストール後も,そのサイズのswap領域として残ってしまいます.
また,インストーラの都合上,swapはデフォルトでディスクの最初のシリンダ (Intel版ではFdiskのSolarisパーティション内の最初の方のシリンダ)から 始まります.ただし,スライスとしてはスライス1(いわゆるbパーティション) がswapであることは変わらず,結果,rootとswapの物理位置のみ 入れ替わった状態になります.インストーラがこのように配置する以上, 問題ないのでしょうが,もともとSunOSで,swapをディスクのシリンダ0から 取ってはいけない(ディスクラベルが壊れる)という感覚からすると 違和感があります.
さらにIntel版の場合,ハードディスクによっては インストール対象のディスクとしてうまく認識されないことがあり, 「対話式インストール」のみうまく行くことがありました. また,Intel版の場合,Web Startでインストールすると, Fdiskパーティション上の一部に,ブートのためのFATのパーティションが できてしまいます.
このようにWeb Startは,初めてSolaris 8を手にした時に, その「インストール・ショー」を楽しむには良いと思いますが, 現状,実際にインストールして使う際には, 細かい調整の効く「対話式インストール」の方が使い易いと思います.