佐久間式のイコライザーアンプやCDプレーヤーからの出力を増幅します。佐久間式のイコライザーアンプからの出力を増幅して,高能率のスピーカLowther等をならすために,メーカー製のアンプに比べて増幅率(ゲイン)が小さくなっています。
パワーアンプはおそらく多くの人が製作してみたいのはパワーアンプだと思いますが,お使いのプリが繋げるか?スピーカーを鳴らすために十分なゲインがあるか,よく考えてください。
また,CDプレーヤーとの接続は,通常使用するRCA端子からの出力からではなく,ヘッドフォン端子からの出力をパワーアンプに接続します。
パワーアンプの例として『MJ無線と実験』1987年10月号,50ドライブ50シングルパワーアンプをとりあげます。このアンプも現役で,先の801Aなどと組んで,オーディオベクター等を鳴らしています。
回路図2-2をご覧ください。
佐久間アンプのイコライザーアンプには,ボリュームはついていません。音量はパワーアンプのボリュームで調整します。ときおり,ボリューム付きのイコライザーアンプもありますが,これはヒアリング会などで使うことを想定されたアンプです
以前,『MJ無線と実験』で佐久間アンプのボリュームの挿入位置が問題になったことがあります。
入力部とトランスの間に挿入したのでは,電気的にも問題があり,また,音色を変えるような働きをしてしまう,という指摘が多くなされたようです。入力トランスと真空管のグリッドの間に挿入すべきだそうです。
しかし,実際に作ってみれば,そのような方式と佐久間さんの方式ではどちらが音が良いか,すぐに判明します。
また,入力トランスにあわせてボリュームも150Ωにすべきだそうですが,100Ωでも,使用上まったく問題がありません。『MJ無線と実験』ではクレームがくるので,150Ωと表示していますが,100Ωであれば問題ありません。なお,繰り返しますが,これは佐久間式のパワーアンプを佐久間式のイコライザーアンプに繋いだ場合です。
例としてあげた50ドライブ50パワーアンプの回路図を見ていただくと分かるように,ドライバー管と終段を同じ真空管にすることにより,その真空管のもつ音色をより強調しています。
真空管アンプでは,終段の真空管の音色が,一番音色に影響する,と思いがちです。メーカー製のアンプでも300Bアンプはたくさんありますが,ドライバーがなにか,といったことにはあまり注意が払われていないようです。
佐久間アンプの場合はドライバーの音色が一番強調されます。
佐久間さんの,845の音色をローサーで楽しみたい。しかし,ローサーは845の出力には耐えられない,という事情で845ドライブ50シングルが生まれ,300Bの音色をアルテックA5で存分に楽しみたい,という発想から300Bドライブ845アンプが誕生しています。
「ドライバーに300Bを使って,もったいない使い方をするアンプだ」との声もよく聞かれますが,本当に300B独自の音色を楽しむには,300Bを300Bでドライブするのがベストという考え方です。どんな名球でも駄球でドライブすれば,ろくな音にはならない,ということです。
また,終段だけ豪華にしても,時すでに遅し,入力トランスからの丁寧な音作りをする必要があります。
終段は,直熱管のほうが音がよいと言われていますが, アンプの音色は終段の真空管だけで決まるものでは無いということは先ほど説明しました。
傍熱管にも傍熱管の魅力があります。
アルテックA5のウーハー515は,傍熱管の4P55などで鳴らすほうが,845などの直熱管で鳴らすより,よい音がします。
どちらにするかあくまで,個人の好みでしょう。
アンプは終段の真空管の構成によって,シングル,プッシュプル,パラシングルなどがります。
シングルは音色を楽しむ,プッシュプルは音楽を楽しむ,などと言われますが,これも好みでしょう。
なお,一般的に,プッシュプルの方がシングルよりハムが出にくいようです。
真空管は工業製品なので,こういった条件で使用しなさい,と規格表でメーカーが指定しています。
しかし,佐久間さんは長年の経験から,メーカーの指定通りに動作させると,一番効率よく増幅できるものの,音色としては個性のないものになってしまうことに気づいています。そのため,佐久間アンプに使われる部品の電気的な値はメーカー指定のものと大きくずれていることもありますが,決して,間違いではありません。
たとえば,アウトプットトランスは,佐久間アンプでは,全体的にメーカーの指定より少し抵抗値の高い物になっています。これは,出力を減らしてでも,音色をよくしようとしているからです。
ヒーターを直流点火(DC点火)するとハムを消すかわりに,せっかくの直熱管の魅力をなくしてしまうことは確かです。
佐久間さんが「ハムもでないアンプはろくな音がしない」とよく言いますが,これは冗談ではなく,とてもたいせつなことです。
ドライバーはしかたがないので,DC点火しますが,中途半端な回路ではかえって耳障りな音が出てきます。ドライバーのDC点火には佐久間さんの回路図では抵抗とコンデンサーを使用していても,スペースが許せば,このアンプに搭載されているタムラの0.1H 3.5Aの使用を強くおすすめします。
真空管の音を楽しむ佐久間アンプでは,終段を交流点火する場合が多く,どうしてもハムが取りきれないことがほとんどです。
曲が流れていない時は,スピーカーはまったくの無音であるべきだ,という人には,ぜったいに向かないアンプです。
1台のアンプで,アナログレコードの再生が可能なアンプです。
アンプによっては,切り替えスイッチで,アナログレコードのほかに,CDプレーヤーなども再生できるタイプもあります。
プリメインアンプでは,初段,ドライバー段,ドライバー段,終段の4つの部分で,パワーアンプはドライバー段と終段で構成されています。
プリメインアンプ真空管やパーツの数が増え,配線も複雑になるため,製作はパワーアンプにくらべ難しくなります。
2013年5月現在,コンコルドで使用されているプリメインアンプは,1623ドライブ50シングルアンプと,45ドライブDA30シングルの2台です。
1623ドライブ50シングルアンプは,1623ドライブ50シングルアンプは,チェンバロ再生専用アンプで,スピーカーはローサーTP1専用です。ゲインは小さく,イコライザーも普通とかなり異なる音を再生するように作られています。
佐久間さんはタムラのトランスを使用しています。複数メーカーにトランスを組み合わせると,あまり音が好くないように思います。
また,タムラのトランスのシールドは完璧なので,シャーシに密集して取り付けても問題ありません。
この利点はプリメインアンプなどトランスが多いアンプではストレスなしに製作できることに繋がります。
なお,タムラの新しい出力トランスのF-900シリーズ,電源トランスのPC-900シリーズ,電源チョークのA-825などは,廉価ヴァージョンのため,これまでのトランスのようなシールドが保障されているのか,まだ,未知数です。
これまでの佐久間さんの作例を製作するさい,安易に廉価版に変更する場合はレイアウト等にも十分注意してください。レイアウトは,あらためて説明します。
2wayのスピーカーを対象にしたアンプです。一台のアンプで高域と低域のを別々にボリュームコントロールすることができます。
ともて便利なアンプですが,スピーカーへのつなぎ方は,モノラルでネットワークを2台使うという贅沢なつなぎ方になっています。
「N-1285-8S」はアルテックのネットワークです。
このアンプは佐久間さんがフルトヴェングラーを聴く時にしようしているアンプです
私も佐久間アンプを製作してきましたが,一番聞いているのは,音色がコントロールできる2チャンネルアンプです。
CDの音色を佐久間さん好みの音にするために数台のアンプが発表されています。当初はトーンコントロールを組み込んだアンプですが,しばらくしてパワーアンプと同じ設計に変わり,最近ではVL-SSを搭載したものになっています。
当然ですが,CD用バッファーアンプに接続するパワーアンプは佐久間アンプでないと接続不可能です。
佐久間システム独自のユニークなアンプですし,現在も進化中のアンプです。製作される場合は,VL-SSを搭載した作品をおすすめします。
佐久間アンプにはこのような種類がありますが,個々のアンプは,それぞれジャズ向き,クラシック向きがあり,さらに専用のスピーカーに合わせて作ってある物,また,オーディオコンサート用のアンプなどもあります。
製作する場合は,回路図だけでなく,そのアンプの製作記事が掲載されている単行本などをよく読むことが必要です。
簡単そうだから,部品が少ないから等の理由で製作されることはとても危険です。
なお,どの製作記がどの単行本に収録されているかを示したリストを次回アップする予定です。
しかし,何度でも繰り返しますが,一番よいのはコンコルドへ出かけることです。