山本 :いままで聞かなかった、秘話みたいなものないですか?
佐久間:ヒワ? 悲しい話か?(笑)
山本 :佐久間式アンプの秘話。佐久間式アンプの舞台裏とか。
佐久間:でもね、いちばん大変なのはイコライザの定数だね。あれは大変だったよ。女房あきれてたよ。女房によく言われたよ「何でも買ってあげるから、もうやめなさい」って。(笑)そんなに苦労して寝ないでやってんじゃ、もう私が何でも買ってあげるからやめなさいって言われたことある。でもそれは 真っ赤な嘘。買ってなんか絶対くれないんだから(笑い)。
山本 :奥様の苦労も計り知れないものがあったんでしょうねえ。
佐久間:ないって!まあ耳はいいのよね、あの人。
山本 :奥様は音楽やってらしたんですか?
佐久間:やってないけど、音楽は好きだね。アート・ブレイキーと一緒にとった 写真があるからね。
山本 :いい音をだす秘訣と言うのは何ですか。
佐久間:秘訣ねえ…まあでもな、僕が『MJ無線と実験』にやって、いつも思ってることってさ、いい音出す方法ってひとつだけあるのよ。それは技術論でもないし、方法論でもない。ひとつだけあるの。どうしたらいい音出せるか。どういうことだと思う? 山本 :いい音だそうと思うなってことじゃないですか?
佐久間:うーん、いや、それは違うんだ。それはまたちょっとかっこ良すぎるんだ よな。ハハハ。あのねえ、どうしたらいい音出せるかってことは、どれくらい音楽が好きかということなんだよ。やっぱり、音楽がどれくらい好きかということが最終的にいい音が出せるか出せないかってことに一番通じる。だって音楽がそんなに好きでないのにアンプ作ってる人いっぱいいるもの。だからバド・パウエルにのめりこんで、バッハにのめりこんで、のめりこんで、のめりこんでのたうちまわらないといい音って出ないよ。
僕の主義としては、どのくらい音楽が好きか、音楽に毎日どれくらいずっぽり埋まって生きてるかということだと思うんだ。アイドルだってなんだっていい。後藤君の好きなアイドルのイルカでも、太田裕美でも、音楽のジャンルってあんまり僕は気にしないんだよ。それとね、前にも本に書いたけど、クラシックしか聴かないとか、ジャズしか聴かないという人、絶対ダメね。音がね、偏った音しか出ないんだよ。あのね、音楽アクセサリーにしているような人いるでしょ。ジャズなんか音楽でない、クラシックなんか音楽じゃないってよくいるじゃない。僕はジャズしか聴かない、僕はクラシックしか聴かないって。僕は昔ジャズしか聴かなかったの。でも、いい音出せなかった。やっぱり。バッハ聴いてからだよ、ああいう今みたいな音になってきたのは。
山本 :ダイレクトヒーティングは、今、同人誌発行が中心ですけど、前々から、一回みんなで顔合せしましょうと。活字とかでなく顔を...
佐久間:そうだね。大宴会!どこかでさ、一回、大宴会を皆さんで。しかし、ヒアリング会でございます、なんてもったいぶったのはおもしろくないな。
キャバレーにでも行ってさ。歌う歌も、ほとんど決まってるからね「くちなしの花」、杉良太郎の「すきま風」、「津軽海峡冬景色」。最近は「乾杯」オンリー。 山本 :しかし、飲まなくてよく歌えますねぇ?
佐久間:まぁ、朝起きたときから酔っぱらっているみたいな人生だからね。「ラッシュライフ」っていう前に作った詩のタイトル、酔っぱらい人生っていうようなタイトルなんだ。酔ってるんだよ。酔ってるの。このエイリアンは。いつでも、人生に !!

END

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