38th SEANET Convention


2010 Shaghai China
05.Nov-09.Nov.2010


SEANET CONVENTION 2010

2010年11月5日-9日の5日間、中国・上海市(Shanghai-City)で第38回SEANET Conventionが開催されました。 東南アジア各国持ち回りのSEANETが中国で開催されるのは今回が初めて。
会場は上海市内の「オリンピックホテル」。このホテルは北京のオリンピックの際に併せて建設された、 8万人の観客を収容できるという巨大な競技場で、この「上海体育場」の脇にあるこのホテルは、 選手の宿舎として用意されたもの。
今年の上海市は10月31日まで「上海万国博覧会」が開催されて全世界から注目を集め、賑わっていたところ。 市内にはまだマスコットキャラクターの「海宝」君がそこここに残って、僅かながら"万博"の雰囲気も味わうことも出来ました。


リニアーモーターカーの到着駅には上海万博のマスコット「海宝」君が.../ホテル横の上海体育場

地平線が"かすんで"見える?広大な新しい上海・浦東空港から、世界で初めて実用化されたと言われるリニアーモーターカー(磁浮列車)が空港と上海市の中心部を結んでおり、整備された交通網の発展が目を引きます。 さっそく、この世界初のリニアーモーターカーにも"試乗"してみました。
最高速度は432Km出ると言われていた「磁浮」車両は、走行中には結構揺れも激しく、乗り心地はいまひとつ。 7分ほどの走行距離では残念ながら最高速は301Kmが限度でした。 片道40元(1元=約15円)の乗車料金が安いか高いかは、利用者の気分しだいか?。


SEANET CONVENTION 受付

今回のSEANETには日本からの15人を含む、欧米など14ヶ国から約200人程が参加しました。 地元の局に続いて参加者が一番多かったのは、意外なことにブルネイ(V8)でした。 来年(2011年)のSEANETの開催地に決まったことで参加者が多かったのかも。 奥さんや家族連れでの参加が多く、何処へ出かけても陽気なブルネイの一団でした。 今回はこのホテルに特別記念局・BT4SEAが設置されました。


受付の横には参加者全員の"サインボード"が置かれた


JA/HB/DL/HS...各国から常連さんが集合!/右の4人は韓国から参加したYL局


2010 SEANET PROGRAMs
  Date         Time(BJT)        Events             Venue/Remarks         
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  05th November   10:00-23:00     Registration         Olympic Club Hotel lobby   
    (Friday)      11:30-13:30     Lunce                Zijinguan Restaurant of Olympic
                  18:00-20:00     Buffer dinner        Club Hotel(free time in the evening)  
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                  07:00-08:00     Breakfast            Garden Bar of Olympic Club Hotel
                  08:30-          Departure on Bus     Olympic Club Hotel square
                  09:10-11:00     Visit to museum      Shanghai Museum
  06th November   11:30-12:30     Lunce                Wugong Hotel
    (Saturday)    12:30-13:00     City sightseeing     Nanjing Road pedesterians street and
                                                       the bund
                  16:30           Return on bus        Location TBA
                  18:30           Welcome banquet      Zijingyuan Restaurant of Olympic
                                                       Club Hotel
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                  07:00-08:00     Breakfast            Garden Bar of Olympic Club Hotel
                  08:30-11:00     Amateur radio
                                  discussions and
                                  presentations
                  11:30-          Lunch                Zijingyuan Restaurant of Olympic
                                                       Club Hotel
  07th November   12:00-          Departure on bus     Olympic Club Hotel square
    (Sunday)      12:30-13:30     Tour and meetings    Shanghai Radio Sports Association
                  14:00-17:00     Sightseeing and      The Yu Garden
                                  shopping 
                  17:30-18:30     Dinner               New Green Wave Gallery Restaurant
                                                       (Xin Lvbolang)
                  19:00-20:00     Huangpu River Cruise 16 Pu Pier
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                  07:00-08:00     Breeeakfast          Garden Bar of Olympic Club Hotel
                  08:15           Departure on bus     Olympic Club Hotel square
                  09:00-10:30     Ture of the Oriental
                                  Pearl TV Tower       N0.1 Century Avenue
  08th November   10:40           Departure on bus
    (Monday)      12:00-13:00     Lunch                Grand View Garden Restaurant
                  13:30-15:30     Tour of the Grand    No.701 Jinshang Highway, Qingpu
                                  View Garden          District
                  18:00-21:00     Banquet and gala     Yulanyuan Restaurnt of Olympic
                                                       Club Hotel
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                  07:30-08:30     Breakfast            Garden Bar of Olympic Club Hotel
                  09:00-11:00     Plenary session and
                                  SEANET Flag handover Yulanyuan Restaurnt of Olympic
  09th November                                        Club Hotel
    (Tuesday)     11:30-13:30     Lunch                Zijingyuan Restaurant of Olympic
                                                       Club Hotel
                  13:00           Departure/farewell   
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ホテルの一室に設置された特別記念局・BT4SEAを運用する7K3EOP・戸倉さん
RIGはFT-950に14/21/28MHz帯の3ELのトライバンダー


移動には中国産大型ツアーバス3台/オリンピック・ホテルの屋上に設置されたBT4SEAのアンテナ


発展する中国と4000年の歴史を楽しむ

2008年にオリンピックが開催された北京市、2010年の夏に万国博覧会を開催した上海市、 2010年11月にアジア競技大会を開催した広州市など、立て続けに大イベントを催して急速に発展を遂げている中国の3大都市ですが、この中でも上海市の変貌ぶりは驚きでした。
25年前(1985年)の訪中の際には、その昔、アヘン戦争後の英国などの欧州列強各国がこの地に、 こぞって建てたという100年以上の歴史を重ねてきた古い建造物が建ち並ぶ旧市街地だけだった上海市は、 今では黄浦江(揚子江の支流)の河口を挟んだ対岸の浦東にそびえ立つ高層ビル群が、今日の上海市の象徴となっています。
上海再開発によって整備された対岸の街・浦東(プードン)地区は1999年に国家プロジェクトで開発が始まって以来、 東方明珠塔(テレビ塔)をはじめとする超高層ビルが続々と誕生して、現在も発展を続けています。 特に黄浦江両岸の夜景の美しさは全く"別の国"へ迷い込んだ感じ。


博物館前で記念写真/右はいつも賑やかなブルネイの皆さん


中国4000年の文化が集結する上海博物館は見もの。警備は空港並みに厳しい



歩行者天国で賑わう上海隋一の繁華街「南京東路」


子供を乗せて歩行者をかき分ける様に走るSLも.../UNIQLOの看板も...



浦東(プードン)地区を対岸から眺める。風が無いとスモッグに霞む

抽選会で盛り上がったウエルカムパーティー(6日)

ウエルカムパーティーはホテル内の「Zijingyuan Restaurant」で行われました。 地元の上海無線電運動協会からの来賓の挨拶に続き、2010年の「SEANET Contest」の表彰式や、 アマチュア無線機器のメーカーなど地元の業者から提供された、無線機、アンテナなどの抽選会が続き、 大会本番の「晩餐会」での催しものが無くなってしまうのではと、心配になるほどの盛り上がり様でした。


(左)開会の挨拶をする9M2KN・Ken/上海運動協会副会長Li氏が歓迎の挨拶


抽選会で盛り上がったウエルカムパーティー/HS0ACのQSLmgrのHS0ZFZとJA1RJU


アマチュア無線活動に関する講演会
                (Amateur radio discussions and presentations)

7日の午前中はアマチュア無線に関する各種の講演が行われました。 元YLRLの会長を勤めた米国・カンサス州から参加のYL局、WA0WOF・Kayさんから「YLRLの活動」の紹介。続いてBA1HAMのChan・Pingさんから「中国のハム事情」が紹介されました。北京の無線電運動協会(BY1PK)の事情に詳しい同氏から、 現在「CRSA(中国無線電運動協会)」として「体育協会」に属している「アマチュア無線」を、 今後は切り離して運営したいとの発言があり注目されました。
続いて、タイ国のHS1ASC・Thidaさんからボーイスカウトやガールスカウトを通じての「Kids to HAM」の活動についての紹介。BG4GRNから2009年7月の皆既日食時の電波伝搬の状況が詳細なDATAを添えて報告された。
VK8GW・Garyによるオーストラリアのハム事情の報告の後、中国のAMSATグループが進めている、サテライト(衛星)・WX-1の解説がメンバーの一員であるBA1DU・Alanからあり、中国での活発なアマチュア衛星の活動状況が紹介されました。 BA1DUは1997年に行われたBS7HのDX-Peditionにも筆者(JA1RJU)と一緒に参加したアクティブなハムで、 当時、自作のKWリニアー(3-500X2)を持ち込んできた技術者でもある。
盛りだくさんの内容で盛会だったSEANETの講演会の後は、午後から市内のBY4AA(上海無線電運動協会クラブ局)の見学ツアーと、夕食後の浦江遊覧ツアー(Huangpu River Cruise)とこちらのスケジュールも満載!の一日。



(左)「YLRLの活動」を紹介するWA0WOF・Key/(右)「中国のハム事情」を紹介するBA1HAM(Chan)


(左)タイ国のHS1ASC・Thida/2009年7月の皆既日食時の電波伝搬の状況を紹介


中国の衛星・WX-1/サテライトの解説をするBA1DU・"Alan"


25年ぶりにBY4AAを訪問

筆者(JA1RJU)が25年前にJARLの訪中団として訪問し、特別局の「BT4RJU」を運用したBY4AAのシャックを、 今回はSEANETの観光バスで訪れました。 当時の建物は周囲を池と草原に囲まれた閑静な場所だったと記憶していたのですが、今では周囲に高層のマンションが立ち並ぶにぎやかな場所になっていました。
訪問時に、BY4AAの建物の前庭ではモービル局のデモンストレーションがおこなわれており、 数台のキャンピング仕様の車が展示されていました。 その脇では軍用の無線機や家庭用の"レトロ"な真空管式ラジオの展示もされていて"オールド・ファン"の注目を浴びていました。建物の入り口を入るとアマチュア無線機のショップがあり、BY4AAの元台長だったBA4AA・Xu Ru(徐)さんが店番をしていた。この店は徐さんが経営する上海唯一のアマチュア無線ショップとのこと。


25年ぶりに訪問したBY4AAの建物の前で


BY4AAの元台長のBA4AA・徐さんと/1997年のBS7Hで一緒だったBA1DU・Alanとも再会(右)


キャンピングカーを持ち込んで移動運用の実験!?


"レトロ"なラジオや軍用の無線機を持ち込んだ屋外展示場も...


上海・旧市内に点在する観光地

近代化が進む中国の各都市ですが、その中にあっても数多くの歴史的な建物や名園、寺院、観光地は昔のままにわれわれ観光客の眼を楽しませてくれました。
上海の近郊には繁華街と接してカメラのアングルにコンクリート造りの建物が入り込んでしまう場所もあるのですが、やはり歴史ある建造物群には圧倒されます。


飲食店、みやげ物店が観光客でごった返す上海老街と豫園商街


豫園商街から江南隋一の名園「豫園」に入る。


昔ながらの上海が生きている中国庭園美。明時代の古園


郊外の観光地「上海大観園」を巡るツアー

以前には予想も出来なかったほどの高速道路網の発達で、短い滞在期間でも広範囲に移動出来、 往復200Km近い距離にある淀山湖畔の「上海大観園」などの郊外の観光地までも足を伸ばせる余裕もありました。


上海市から西へ車で70Km、淀山湖畔に広がる「上海大観園」を散策




上海・SEANETに参加した"女性陣"。


淀山湖




淀山湖畔に広がる中国古来の建造物群


各国のパフォーマンスが楽しめた恒例の晩餐会(Banquet and gala)

恒例の晩餐会(Galaパーティー)は、8日の夕方からホテル内の「Yulanyuan Restaurnt」で行われました。
"SEANET・Contet"の表彰式や、抽選会などの「公式行事」は、6日の「ウエルカム・パーティー」終了していたため、 この日の晩餐会はディナー中心の気楽な雰囲気で進められました。
晩餐会は、始めに参加した各国がアルファベット順に紹介されました。 オーストラリアを皮切りに自国のポピュラーソングを合唱する国、"歌は苦手"と挨拶だけで終わる国、 楽器を持ち込んで演奏する国など、各国から特徴あるパフォーマンスが披露されました。 日本のグループはSEANETでは毎度お馴染みになっている「浜辺の歌」と「上を向いてあるこう」を全員で合唱。
この日地元の中国から参加してくれたゲストは、子供合唱団、少女の琴演奏、少年のソプラノ独唱など、 SEANETの大会では珍しい演出に、中央の舞台前はカメラを持って人の壁が出来るほど。
最後は主催国の中国グループの合唱に合わせて参加者が手をつなぎ、会場全体を輪になって踊り始めるパフォーマンス。


主催国の中国の皆さんの合唱/米国から参加したK3ZOとWA0WAFから祝辞


西マレーシア(9M2)の皆さん/ブルネイ(V8)の皆さん



民族衣装が特徴の韓国の皆さん/ゲスト出演の"中国の少女合唱団"


飛び入りも加わり中国の皆さんの合唱/こちらにもブルネイの皆さんが...


<左>流暢な英語で通訳してくれたZhang Leiさん/9M2KN・Kenさんはお得意のギターで
大会運営に協力してくれた香港YAESU社に感謝状(旗)<右>


インドネシアの皆さん/WA0WOF・Keyさんも同席した"日本"グループ


上海・SEANETは母国語で進行...

中国で初めて開催されたSEANET・上海大会は、SEANETでは初めて英語ではなく"開催国の母国語(中国語)"での進行でした。 地元中国の要人の挨拶や講演などは中国語を通訳が即座に英語に訳して紹介。 観光バスや観光地での説明も中国語と英語が乱れ飛ぶ中での交流となりました。
会話の進行が遅れるのは仕方の無い事なのですが、SEANETでは新興国の中国にSEANETを通じてハムの活動を理解して貰う のには絶好の機会となりました。 大会の通訳を流暢な英語で一手に引き受けてくれた女性、Zhang Lei(Leiha)さんの活躍が、今回のSEANET・上海大会成功の一番の貢献者だったでしょう。


女性通訳が大活躍した(右端が英語通訳のLeiさん)/中国語の挨拶は全てLeiさん(左端)が担当


SEANETに問題点も...

今回の大会では外国からの参加は100人を超えたものの、SEANETではいつも大勢参加するタイ国(HS)からのメンバーが極端に少なく、何か開催国との間で政治的な問題でもあるのかと心配してしまうほどでした。 この理由は最終日の講演会に出席したタイのYL局・HS1ASC・Thidaさんが明かしてくれました。 それはわれわれには予想もしなかった"経済的"な問題でした。
それによると、今回の大会参加費用は4泊5日でUS$=520だったのですが、タイ国ではこの金額は平均サラリーマンの月収の半分の額との事でした。これに交通費を含めると相当な金額になり、参加をためらった局が多かったようです。
本来、SEANETは物価の安い東南アジアの各国が持ち回りで開催していたのですが、近年になって日本(関西)、韓国(ソウル)、 中国(上海)など、物価の高い地域での開催が続き、発展途上国の人々には経済的に負担になってきていたのでしょう。
日本では平均サラリーマンの一ヶ月分の「お小遣い」程度と思われていたこの費用も、国によっては大きな負担となっているのです。
東南アジアの各国との経済的な"格差"が表面化したのは初めて?でしたが、近年開催日数や行事も多くなって、 費用もかさむ様になってきた「SEANET」も見直される時期だったのかも知れません。
次回のブルネイ大会は2011年11月18(金)〜20(日)の3日間の日程で開催される事が決定しています。


2010 Shanghai, China

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