<Prev | CG-Index | lady1004 | Next>
女子百景No.062 |
---|
ヴィーナス・ウイリアムスではない。
弓をつがえるアルテミス
アルテミスは美しき処女神だが、仮借なき荒ぶる野生神でもある。恋の逸話は一切ないが、その怒りの恐ろしさを示す伝説は数々ある。
自分への供犠を忘れたカリュドンの野に怪物猪を放ち、自分の裸身を目にしてしまった若者アクタイオンを鹿に変えて犬に惨殺させ、ゼウスに誘惑されて処女の誓いを破ったニンフを熊に変身させた。
ゼウスの娘ニオベはみずからの多産を誇り、アルテミスの母親レトをあざけった。アルテミスは兄アポロンとともにニオベの七人の息子と七人の娘を全員得意の弓で射殺した。
アルテミスの弓はオリンポスの十二神と巨人族との戦いギガントマキアでも大活躍し、多くの巨人の生命を奪っている。この恐るべき「見えない死」ともいうべき(アポロンと)アルテミスの弓矢は、疫病の神格化であろうといわれている。
純潔神であるがゆえに、愛欲をつかさどるアフロディテ(ビーナス)とは仲が悪い。エウリピデスの悲劇『ヒッポリュトス』では「われら処女神たることを誇りにする者にとっては最も憎むべきかの女神」(松平千秋訳)と露骨に罵倒している。
しかし純潔とはうらはらの多産と安産の守り神という側面もアルテミスは持っているようだ。ようするにアルテミスは根っからの自然神なのですな。俗人的な愛欲に冷淡なのもいたしかたない。
使用ツール:61と同じ。
最初のデッサンはこんな感じ。