男子百景No.083 |
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スウィニー・トッド
監督ティム・バートン、主演ジョニー・デップで19世紀が舞台の伝説的復讐劇と聞いて期待せずにはいられない。
いわゆるグラン・ギニョール、スプラッター・ホラー・ミュージカル。流される血の量は画面に現われるだけで小さめの風呂桶いっぱいくらいはありそうだ。
さんざん鼻血を出したので血には驚かないが、射殺や撲殺ではなく、なんといっても副題は地獄の理髪師。剃刀でズッパリ切られるのが痛そうでたまらない。喉のあたりがムズムズする。対抗できるとすれば地獄の歯科医くらいか。地獄の耳鼻咽喉科医も結構怖いかもしれない。
彩度を抑えた19世紀英国の貧しい街並みが美しい。どんより湿ったロンドンの空気が美しい。モノクロームに近い画面にほとばしる真紅の
ジョニー・デップとヒロイン、ヘレナ・ボナム=カーターは怪演だが、これが映画デビューとなる若いカップル役の二人が初々しくも美しい。おぞましい復讐劇の清涼剤になるかならないかは微妙なところだが、特に若い航海士を演じたジェイミー・キャンベル・バウアーの美貌は、血飛沫が苦手な人も見にいく価値があるかもしれない。
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帰りはつれあい推薦の松戸のイタリア料理の店へ。赤ワインとミートパイを頼んだのは言うまでもない。
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Painter6.1の2B鉛筆と水彩。