コンセプト
私(代表 坂田誠山)は尺八のプロの世界に足を踏み入れた時から、尺八音楽も洋楽と同じように一般の市民生活の中で広く親しめられるような環境になってほしいとの気持ちをずっと持ち続けて演奏活動をして参りました。古典音楽も大切な要素ですが、マニアックな曲ゆえに普及という点では偏りがあるので、限界を感じていました。
世界に出ると「尺八は奇跡の楽器ですね」と高く評価をする作曲家もいます。世界的なチェロの名手ヨーヨーマと共演した時、日本的な要素の強い曲だったせいか、私のカデンツァの部分の演奏を聴いた彼が、すぐに日本的な雰囲気を掴み感心していたようです。
このように洋楽の一流の演奏家ともリスペクトしあえる様な邦楽の力を十分に感じつつ、もっともっと日本人の心に深く刻み込んでいけるような環境になってほしいのが予てからの願いなのです。
このことを実現するために、新しい魅力的な曲を増やし、今まである曲に合わせて邦楽の財産を膨らまし、邦楽の活性化が実るよう、
合わせて邦楽の財産を膨らまし、邦楽の活性化が実るように頑張っています。
邦楽活性化へのこだわり
邦楽との出会いは中学生時代、
叔父の尺八を受け継いだのがきっかけ
私の生まれ故郷は広島の片田舎、中学生の頃はハーモニカバンド部に入って音楽を楽しんでいました。
そんな折、叔父さんが亡くなり、その遺品で尺八が届いたのが初めての尺八との関わりでした。その後しばらくは尺八に接していなかったのですが、大学進学で東京にやってきて大学が非常に尺八が盛んな学校で、師匠の関係でその当時大活躍の横山勝也、青木静夫、宮田耕八郎氏などとの共演も経験しながら、学業そっちのけで尺八三昧の学生生活を送っていました。
やがてプロの道に入りましたが暫くしたころに現代邦楽ブームが訪れ、やっと自分の生きる場所が見つかったなと、その頃はアバンギャルドな尺八奏者と言われながら、当初目論んでいた洋楽と同じレベルの存在感のある邦楽界を目指していました。
邦楽愛好家の減少、合奏団を通してできること
しかし年数を追うごとに尺八人口はさることながらお箏の愛好家もどんどん人数が少なくなり、大きなお箏メーカーも倒産したり、広島市は私の師である島原先生がご存命の頃は、華やかに演奏会なども行われていましたが、今は広島市内にお箏屋さんが無くなっているとのこと。誠に寂しい限りです。何とかして活性化させたいとの気持ちを強く持って活動を進めています。
ドルチェ邦楽合奏団の活動を通して、参考になればと色んな企画を行ってます。子供たちとの共演、アジアの民族楽器との共演、洋楽との共演、20周年では狂言とのコラボも行いました。プロだとし難いようなことでもアマチュアならできる強みもあります。この強みこそが活性化はアマチュアが握っている所以です。
演奏者の
「聴いてもらいたい」という士気は、
良い曲との出逢いから生まれる
ドルチェ邦楽合奏団での活動で私が一番大事にしているのは、団員が喜んで練習できる曲を選んで行うことです。しかも、素晴らしいと思われる曲を選ぶことにつきます。
しかし中に難しすぎて何でこの曲なんですかとの質問が飛んできたりもします。ここで大事なことは、皆さんの力ではこの曲の良さは気が付かないかもしれないけど、指導者の立場でその曲の良さを、伝えることも必要になってきます。この様な練習を通して、団員は自分達の経験の中から感動していれば自分たちの演奏を聴いてもらいたいとの気持ちが高まり、超満員の演奏会が実現することに繋がります。
いずれにしても選曲と練習の充実が団員(お弟子さん)の士気を高めることになりこれが活性化の出発点だと思います。
皆さんの力を結集して、邦楽活性化を実現したいと思っています。
新作委嘱へのこだわり
私は現在日本尺八連盟の会長を務めていますが、就任した時、イノベーションとマーケティングを掲げ組織を挙げて皆で力を合わせて邦楽活性化に向けて進みましょうと呼びかけて新しい船出を致しました。
現況の邦楽界に新しい魅力的な曲を加えることで、マンネリに陥りそうな状況に一石を投じて、聴衆にとっても邦楽愛好家にとってもモチベーションの上がる環境を作ることが活性化への大きなステップだと感じているからです。
過去にさかのぼれば、1983年の東京尺八合奏団の創設から始まり、この団体は20回目の演奏会を最後に発展的に解消いたしましたが、その間委嘱作品は31曲になります。またその間新典音楽協会を立ち上げ55曲の委嘱を行いました。現在活動中のドルチェ邦楽合奏団では委嘱作品は50数曲を数え、NPO法人格を取得して賛助会員を募り、その浄財で委嘱活動に拍車をかけております。
現在、古典として存在している作品群も、作曲された当時はそれらも新曲だったわけで、その時代背景の中で生まれて来ています。世の中日進月歩して状況がどんどん変わってます。それに即応する形で音楽の傾向も変わっています。邦楽界も常に変化を求めていないと社会から置き去りにされるのではないかと感じています。
その状況を打破するには選択肢を増やす必要があるのではないかとの思いで作品を増やすことに特化した形でドルチェ邦楽合奏団の活動をしています。その結果が2000人を集める状況を生んでいると思います。
世の中に素敵な作品がたくさん出回ってます、それを積極的に共有、共生することが活性化に向かわせます。