「今月の駄目」


1998年11月号 ユーザとメーカのすれ違い from「みつめてナイトR大冒険編」

98/11/18掲載

1、すれ違う意図

先月は目を付けていてかつそれは違うだろというものが特に見当たらず休刊、今月もこれというものはないが続けて休むのもアレなので最悪「PALETTE」「みつめてナイトR」かどちらかを使うしかないかなと思っていたのだが、要望があったので(笑)「みつめてナイトR」を採用することにする。(笑)

当たり前なのだが、ビデオゲーム、それも特にギャルゲー系の制作において非常に重要なことは、「誰に売るか」「何を売るか」ということだ。しかし、この「みつめてナイトR」の場合、残念ながらそれがよく見えてこない。

「みつめてナイトR」という企画を考えた場合、キャラクタ系RPGであって、しかもすでに出している「みつめてナイト」のキャラクタを使ったパラレルワールドである以上、当然「誰に=みつめてナイトファン」「何を=キャラクタおよびキャラクタのオリジナルストーリー」とするのが自然だし普通なのではないか。

しかし、パートナーに選択できるキャラクタ5人が雑誌に紹介された時、個人的にがっかりし納得できない(笑)ものを感じたのと同時に、制作者が何を考えているのか理解しづらいものがあった。「みつめてナイト」はかつて自社の公式ホームページでキャラクタの人気投票をやっているが、その結果がまるで反映されていないのだ。具体的には、人気投票で1位および4位、5位に選ばれたキャラクタが入っていない。キャラクタRPGなら人気投票の1位〜5位をそのまま入れてしまっても良いはずなのだが。

だが考えてみると、このようなユーザの意向を一見無視した事態が起こったのは、恐らく「みつめてナイトR」の企画・開発が「みつめてナイト」に対するユーザの反応を待つ以前に始まってしまっていたからだろう。前作の発売から9ヶ月でこの「みつめてナイトR」を出してきたことは評価できる。他のページでも書いているように、「恋愛ゲームのエクステンションゲームは1年以内に出さないと忘れられてしまう」という主張とも合致するが、これはビデオゲームの開発期間が長くなっていることを考えると実際容易なことではない。ユーザの反応を待ってから次を出しているのでは間に合わず、ユーザの反応を予想しながらあらかじめ次の手を打って行かなくてはならないのだ。(これは、ユーザ人気を反映してはいるが、出すのが余りにも手後れ遅すぎた同社の「ときめきメモリアルドラマシリーズ」とは対照的だ。)

そうなると、なるほど、「みつめてナイト」のメインの16人のキャラクターから「みつめてナイトR」の5人のキャラクターを取捨選択するのは決して簡単な事ではないだろう。が、それ(ユーザ人気)を予想してこそプロだとも思う(そうなると要はユーザは制作者の意図通りに躍らされている訳だが、恋愛ゲームの場合それでも良いのではないか?(笑))。

キャラクタが立ってこそのキャラクタRPGであるはずなのに、そのキャラクタが生きてこなければかえってマイナスにしかならない。言葉は良くないが、正直言って人気のないキャラクタが並んでしまうと前作のファンにとってゲームの魅力そのものが減退してしまいかねないのだ。(もっとも、2位、3位、6位、7位、16位の5人なのでそこまで大きくは外していないし、その人気投票だけでユーザ全体の傾向が正しく分かるのかどうかは不明だが…。)

こんなことならば、キャラクタ依存しないRPGを作るか、あるいはキャラクタRPGならばまっさらな新キャラクタを使った方がより良い評価を得られたはずだ。制約条件が矛盾し合う中で、ゲームの内容以前の部分で結果的に選択を誤り、チャンスを失ってしまったのは勿体無いことだと思う。

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