HOME STUDY DATA GALLERY LINK BBS SEARCH MAIL

恋愛ゲームNextage


第5回 ベンチマーク活用マーケティング

2001/04/04掲載(2001/04/03初筆)

1.購入動機・あれこれ

 私たちがあるゲームを買う時、その動機は何だろうか。皆が皆「ときめきメモリアル」「トゥルーラブストーリー」を遊んでいれば良かった時代はすでに懐かしさすら感じる太古であり、店には無数のゲームが並んでおりすっかり目移りしてしまう。市場が落ち込んでいるにも関わらず年100本を優に超える恋愛系ゲームが発売される中で、私たちは各自が恋愛系ゲームに当てられる時間と予算に応じてそのどれを買うのかを選択しなければならない(※1)。

 ビデオゲームは買う前に、とりわけ発売前には自分にとっての価値が分からない類の商品なので、それが訴えかける魅力を信用して買うのが一般的である(※2)。多くは作品の絵であったり(良さそうな)シナリオであったりキャラや世界観の設定であったりと各自が重要視する要素であり、また、より信用を求めざるを得ない現状ではブランドやクリエイタであったりする。

 では、発売された後ではどうだろうか。発売後には発売前の情報に加えてすでにプレイした人の評判が大いに参考にされ、これであからさまに地雷なゲームは飛び込んだ人に感謝しつつ排除される。ネットが普及し恋愛系ゲームなり美少女ゲームなりでコミュニティが形成され情報が発信・共有されている今では、翌日にもなればそういった情報は容易に入手できる。しかし、微妙なラインになってくると、人によって嗜好がまるで違うので、Aさんが良いと言ったものが自分にとって必ずしも良かったことにはならないため、溢れる情報の中から人の評判自体を「選択」しなければならないという状況が生まれてくる。もっとも分かりやすいところでは、Hシーンを重要視する人と重要視しない人ではしばしばおざなりにされがちだった恋愛系ゲームの印象は全然違うものになるだろう。

2.ベンチマーク活用購入行動

 この他人の評価自体を選択するために人はどうするのかと言うと、自分が信じる人を指標とするという行動を取る。「Bさんが良いと言ったのが最後の一押しになって」購入したというケースが身に覚えのある人は少なくないのではないだろうか。クリエイタにしろレビューアにしろ、結局のところ私たちは「人」で選んでいる訳で、人をベンチマークとする購入行動を、多くの人は無意識のうちに行っており、これを活用しようという流れが最近注目されつつある。「この作品は良い」ではなく「Bさんがこの作品は良いと言った」ことが重要なのである。

 それでは、この自分が信用するベンチマークたる人は、どのように決まるのか。1つにはこの世界におけるある種の「ステータス」というのもある(※3)が、基本的には自分の嗜好と似た人の評価が有用となる場合が多い。自分と似ている人の評価は、自身のプレイ後の評価と近い可能性が高いと予測されるからだ。

 私自身の行動を考えてみると、レビューを参考にさせて頂く場合、まず(i)プロフィールないし自己紹介のページがあればそれを見る。ゲームに関心があるのは同じとして、他に似たところを見つけると人として親近感を覚えるものである。誰も見ないから、などと謙遜しているページも少なくないが、実はとても興味のあるコンテンツの1つと言うべきだ。そして次に(ii)一覧でどんなゲームをプレイしているか、を見、最後に(iii)自分が好きないくつかのゲームのレビューを見る。これで大体その人の嗜好が分かり、どの点に関して参考になるかが分かる(※4)。

 これはこれで楽しい余暇の過ごし方の1つだが、レビューサイトの数も半端ではないのでどこから行けばいいのか迷ってしまうこともあるかもしれない。そこで、このベンチマーキングを現実的な範囲でシステム的に支援することを考えてみる。当サイトでは、恋愛系ゲームの購入支援の目的で、個人の嗜好を数値化する試みを行っている。例えば私の設定は、(気分によって変わるため)これを書いている2001/04/03の時点では、【物語志向性】らぶらぶ系:1、ラブコメ系:7、ほのぼの系:7、泣かせ系:10、痛い系:7、【要素志向性】グラフィック:7、シナリオ:8、キャラクタ:6、音楽:10、えっち:1、となっているが、これはそのままゲームの向き不向きを判断するのと同時に、これ自体を比較することで互いの嗜好の類似度を算出することができる。無論一方通行なパーソナライズスケジュールやカタログとは違って情報開示のパーミッションの問題がありコンテンツ化が難しい面もあるし、嗜好の数値化の精度を上げることも重要だろうが、ある種の訪問者登録の動的発展系として面白そうではある。








※1、「しなければならない」と言っているが、もちろん、「買わないという選択」もある。できるのなら。(→戻る

※2、なかには地雷であることを承知の上で、むしろ好き好んで飛び込まれる方もいるかもしれないが、それはそれでその人にとってはそれが魅力になっているのだからいいのだろう。(→戻る

























※3、売り手からすればそういったステータスを確立することによるマーケティングがベンチマーク活用マーケティングであり、ある意味雑誌のプレビューはそういった役割もあるのだが、残念ながらこの手の雑誌の評価は余り信用されているとは言えないように見える。逆に瀬川さんの特設ページなどは好例か。ゲームとは関係ないが、黒ニュースのようなメタニュースサイトの人気も氾濫する情報の特定の人によるフィルタリングという点で同様な現象と言える。(→戻る

※4、もちろん、レビュー自体が読み物になっているサイトでは読み方も変わってくる。(→戻る