X指定小説大賞参加作(オリジナル)

■ライク ア シングル(11)■

作・大場愁一郎さま

 

 

 

ちゅ、ちゅっ…はぁ、はぷ、ぢゅ…りゅり、くぷ…ぐむ…かはぁ、ぶちゅ…

 発情の再点火を目指し、頬を染めながら吸い付き合い、何度も角度を変えて深く密着する。思う様に唇の柔らかさを満喫すると、今度は息継ぎの合間に舌を突き出し、くねらせるようにして舐め合った。唇以上に柔らかい舌どうしを重ね、密封してから唾液を攪拌させるようねちっこくのたうった。口蓋から舌下、歯茎に至るまでを執拗に舐め、ゴシゴシと舌どうしを擦り合わせる。

「ちゅ、ちゅ…こぁ、やっぱり大場くんってキス魔でしょ…?」

「んっ…智秋の唇、ふっくらしてて気持ちいいから夢中になっちゃうんだよ…そういう智秋なんか…ちゅ、ディープキス大好きじゃんか…。」

「うふぅん…んっ…大場くんと、同じような理由…っ。」

「なんだよそれ…ふふふ…」

 キスの感触に浸りながら息継ぎの合間に言葉を交わす。

 つつつ、と唇をすぼめ合ってから少しずつ唾液をこぼし、ひゅぢゅぢゅっと音立ててすすり合ってもみた。愁一郎から智秋、智秋から愁一郎…。吸いきれなかった唾液は二人の胸元に滴り、生温く濡らしてからひそやかに熱を奪ってゆく。

 最後に九十度の角度を付けて強く吸い付き、ちゅぱっ…と強引に引き離してとりあえずの満足感を得た。見つめ合った互いの瞳は、もうすっかり愛欲で濡れている。愁一郎の欲望も、智秋の欲望も…一度きりのセックスでは納得ができないようであった。

「智秋、こっちおいで…よい、しょっと…。」

「あ、きゃっ…ああん、これじゃあ大場くんの顔が見えないじゃない…!」

 愁一郎は背後から智秋のわきに左手を忍ばせ、右手も同様に差し入れて力強く持ち上げてから自らの腰の上に座らせてしまった。後背位のまま上体を起こされたような体勢にされたものだから、智秋は振り返ってすねたように不平を鳴らす。

 愁一郎は背後から差し入れた両手で智秋の乳房をつかみつつ、長い髪に鼻面を埋めて目を伏せた。発育のいい乳房に指を沈ませ、しばし智秋の匂いに浸る。愁一郎の行動を気取った智秋は恥ずかしそうにイヤイヤして不平を続けた。

「ああんっ、匂い嗅いじゃだめえっ!汗くさいよぉ…!」

「なにを今さら…すんすん…オレ智秋の匂い、好きだよ?いい匂い…。」

「もう、ヘンタイなんだから…!それに大場くん、バスタオルの下から…固ぁいのがあたしを持ち上げようとしてきてるんだけど?」

「うん、オレもさっきから感じてたんだ…。ね、智秋。オレのバスタオル取ってくれる?おっぱい揉んでるから手が離せないんだ。」

「あん、もう…バカッ。」

 ふてくされながらも智秋は両手を伸ばし、愁一郎の腰からバスタオルの合わせ目を解いて、身をよじりながらどうにかこうにか前を開けた。バスタオルは無事、愁一郎の下に敷かれているだけとなってしまう。もちろん邪魔な覆いから解放されたペニスは智秋の裂け目に沿うように反り返り、天を仰ごうとビクンビクン跳ねる。

 愁一郎はベッドに浅く腰掛けるようにして上体を軽く倒した。そのまま智秋をもう少しだけ引き上げると、勃起したペニスは彼女の脚の間から完全に天を仰ぐことができた。ささやかな開放感に安堵の吐息が漏れる。

「ホントに元気ね、そんなにあたしとしたいの…?」

「性欲のカタマリみたいなもんだからなぁ…我ながら節操の無さに呆れてるよ。」

「節操なくても、大場くんなら大歓迎だよ…いっぱいして…。」

「ああ…何度でもしよう…。」

 智秋は股間から伸びるペニスを見つめ、指先でムニムニと先端を摘み、揉む。ガチガチの幹と違って程良い弾力のある先端はすっかりツヤツヤのパンパンであり、こうしていじっていればすぐにまた逸り水が滲んでくるだろう。愁一郎も三度射精してなお強く怒張する自分自身に苦笑してしまうほどだ。

むにゅっ、むぎゅっ、もみゅっ…きゅっきゅ、きゅうっ…

 智秋からの愛撫にお返しするため、愁一郎は両手に力を込めて智秋の乳房を、まるでつきたてホヤホヤの餅をこねるように一生懸命揉んだ。指先からわしづかむように揉んだり、母指丘を使って手の平だけでこねたり、両側から寄せ上げてくっきりした谷間を作ってからすりすりさせたりと、その柔軟さと手触りを堪能しつつ徹底的に愛撫を施す。

 中指と薬指で挟み込んだ乳首は柔肌に増して敏感であり、乳輪を擦られ、強く挟み込まれるうちに、むくっ、むくっと威嚇するようにしこってきた。ころん、ころん、と押し倒しては弾くと、智秋はビクンと打ち震えて鳴く。

「ひあぅっ!!うん、ふぅんっ!!も、もっと強く…ちくび、もっと強くつまんでぇ…!」

「性感帯っぽく見えるけど…痛くないの、ここって?」

「い、痛くないからぁ…ね、もっと摘んでよおっ!」

「よしよし、じゃあ智秋もオレのちんぽ…気持ちよくして…。」

 愁一郎は乳房をできるだけ高く持ち上げてから、ぱっと両手を離した。たぽん、と音立てるように弾ませてから、親指と中指でふたつの乳首を摘む。最初は乳輪や乳首の幹を指先でじりじりなぞるだけにしてみた。それだけでも智秋は敏感に反応し、ピクン、ピクン、と肩を跳ねさせてよがり鳴く。

ぎゅうっ…。

 かわいらしい反応に満足してから、言われたとおり乳首を強く摘むと…智秋は愁一郎の上でのけぞるようになり、かあっと顔面を紅潮させて叫んだ。

「ふぁ、あっ、あああっ!!ひ、ひうっ…ひっ、ひゃあああっ!!」

「すごい声…。ね、智秋…ちんぽ、なんにもされてないよ?」

「あ、ご、ごめん…胸、あんまり気持ちよくって…!」

 愁一郎の寂しげな声で、悦に入っていた智秋は我に返る。開店休業状態になっていた右手を再び懸命に伸ばし、熱々の幹を握りしめて…

しゅこ、しゅく、しゅこ…しご、しご、しご…

 その猛々しさを愛でるよう、大きなストロークでしごいてやった。

 親指で先端の広い部分を指圧しながら、残り四本の指をヴァギナの襞よろしくくびれにひっかけて擦る。敏感なくびれの裏側を丁寧に愛撫しながら、時折幹を、先端を握ってもみもみと揉んだ。触り慣れない固くて熱い感触が奇妙であったが、性欲のカタマリと称された男性のウィークポイントを上下にしごきたてるたび、背後で愁一郎の吐息が早くなってゆくのが微笑ましくて止められなくなってしまう。

 張りつめた先端のおちょぼ口を中指の先ですりすり撫でてやると、愁一郎も乳首への愛撫を思わず中断してだらしない声をあげてしまった。ビクン、と反り返るようにペニスが身じろぎする。

「うあぁあ…!気持ちいいっ…ちあきの右手、すごいじょうず…!」

「そう?大場くんだって敏感だね…。」

「ちあきに触られて、喜んでるんだよ…ん、んあっ、ちあきっ…」

「あ、ふぁ…んっ…痛いよぉ、あんまり…吸っちゃ…」

もみっ、もみっ、もみっ…ちゅうっ、ちゅうっ、ちゅうっ…。

 ペニスから伝わる快感に身を任せながら、愁一郎は乳房をつかむ両手に一層力を込めつつ智秋の首筋に口づけた。きめ細かな女性の肌を唇ごしに楽しむよう、テンポよく紅い跡を残してゆく。愁一郎をまたぐ格好で緩やかに足を拡げて座っている智秋は、つらそうに身じろぎして唇での愛撫を嫌がった。

 そのわりに抵抗できないのは乳房いっぱいに感じてしまうくすぐったさのためだ。一回揉まれるたびに吐息の温度が、心拍数がそれぞれ上昇してゆくような快感に包まれる。

ぎゅっ、ぎゅっ、ぎゅっ…もみゅ、もみゅっ、もみゅっ…

 愁一郎が丁寧に愛撫してくる乳房は指の隙間から逃げ出しそうなほどに柔らかく、その二つの膨らみから右半身、左半身それぞれに情欲を振りまいてゆくようであった。身体中が熱くてならない。

 そしてその熱は…智秋の中心にも深く深く浸透していった。

じくんっ…。

 ヴァギナが焦れったくうずきはじめる。

 快感は再び智秋を発情の深淵へと引きずり込んでいった。熱い汗と粘液が筒の中をゆっくり下降してゆくと、智秋の瞳は情欲に濡れ、媚びた光を揺らめかせる。

「お、おおばくん…しようよぉ…おっぱいばっかりだめぇ、あ、あそこに、早くぅ…!」

「あれれ…?ちあき、もう待てなくなっちゃった?だめだめ、もっともっとエッチにならないとあげないぞ?なんでもそうだけど、思ってすぐに手に入っちゃうと飽きも早いんだぜ?もっともっと欲しくなるまで、おあずけだっ!」

「そ、そんなぁ…早く、早く欲しいよう…!!」

 自動車のチェンジレバーを真上からつかむような手つきでペニスを手にすると、智秋は無理矢理没入を試みて裂け目に押しつけた。しかしいくら腰を浮かしてみたところでペニスの先端は膣口にまで到達してくれない。奥まで引っかき回して喜ばせてくれる長大なペニスもこの時ばかりはそのサイズが憎たらしくなってくる。

ぐに、ぐにっ…ぐにぐにっ…

「欲しい、欲しいっ、欲しいようっ!!入れてようっ…!!」

 思うようにならず、涙まで出てくる。智秋は裂け目に押しつけて滑り込ませようとやっきになるが、張りつめた先端やくびれはクリトリスを押し、擦り、性毛をかきわけるのがやっとである。そうこう努力している間にも焦れったさは立て続けに智秋のヴァギナを苛み、もはや愁一郎の股間まで濡らしてしまうほどに愛液を漏出させていた。

 没入させることが叶わないのなら…。

 諦めの悪い智秋はペニスの裏側を指先で撫でつけながら、パンパンに膨張している先端をクリトリスに押しつけ始めた。充血した敏感な部位どうしを摩擦しあい、少しでも性感を分かち合おうと思いついたのである。

ぬちゅ、ぴ…くり、くりゅん、くりゅん…

 指先でねっとりした愛液をすくい、小さな紅玉にたっぷりと塗りつけては亀頭を右へ左へ擦り付け、一心不乱につま弾く。

「あふ、あふうっ!はぁ、これいい…感じちゃう…!」

「やれやれ、智秋は欲張りなんだから…。ね、そろそろオレも濡れてくるよ?」

「カウパー、出ちゃう?なぁんだ、おおばくんだって入れたくなってるんじゃない…だったらはやく…!」

「オレはもう少しガマンするよ。その方がきっと気持ちよくなれるもんね。」

「…もう、どっちが欲張りなんだかわかんないじゃない…っ。」

 わずかに上擦った声で、互いを牽制するように揶揄しあう。そんな駆け引きひとつにしても、愁一郎と智秋の間では立派な愛撫として成り立っていた。おしゃべりひとつにしてもくすぐったく、なんとも楽しくて気持ちいい。

 智秋よりも上手く情欲をセーブしている愁一郎であったが、ペニスを愛撫されているうちに情欲の結晶とも言うべき逸り水が根本の辺りに充填され始める。ジクン、ジクン…と繰り返すせつない感触が頂点に満ちると、智秋に触れられたままのおちょぼ口からクプ、と滲ませてしまった。滲んでなおせり上がり、ヌリュ、ヌリュ、と擦り付けられるクリトリスへと伝い落ちてゆく。

 智秋はそれを察知すると、愁一郎の理性にとどめを刺さんと再び右手で筒をこさえた。自らの愛液と愁一郎の逸り水で筒の中をヌルヌルにし、片手でパン生地を握り上げるように強くしごきたてた。濡れた四本の指が間断なく往復して、敏感なくびれや裏側を擦り立ててくる。ペニスはもはやヴァギナに埋没したものと錯覚し、なおも固く漲って新たな逸り水を溢れさせた。柔らかにぬめり気を有する愁一郎の体液は、もはや肉体が結合を望んでいることの何よりの証である。

「く、くうっ…!!ちあきっ…ちょ、ちあきってば!!ね、ゆっくりっ!!」

「ほらほら、手でイッちゃうの、もったいないでしょ?早くしないとホントに終わっちゃうよ?カウパーだけじゃなくって精子、またいっぱい出ちゃうよ?」

「く、くそぉ…まだまだイかないんだかんなっ!!」

「あ、きゃっ!!」

 愁一郎は強く肛門を締めて射精欲をねじ伏せると、余裕の声を聞かせる智秋の乳房を下から持ち上げるようにして強くつかみ、そのままベッドへと引き倒した。智秋の悲鳴とともに折り重なった二人の身体が作りの良いマットレスの上でぽよん、と弾む。

 そのまま両脚をよじらせて完全にベッドに上がると、愁一郎は右手を智秋の乳房から離して彼女の唇に触れた。唇も焦れきっている智秋は一も二もなくその指に吸い付き、ちゅぱちゅぱ音立てて吸い付いてくる。ヌメヌメして柔らかい舌の感触も指先に心地よい。

「智秋…唇、焦れったいんだろ?」

「ちゅ、ちゅちゅっ…ふぅ、うんっ…うんっ…!!」

「どうせならキスしようぜ…?」

「うん、キスぅ…キスしたい…」

 愁一郎の求めに応じて、智秋は彼の胸の上で身をよじって振り返り、飢えた幼子のように唇をせがんできた。愁一郎も頭を上げ、ついばむようにしてその唇に触れる。

あぷ、はぷっ…ふぁぷ、ちゅっ…こぁ、あむっ、おむっ…ちょむ、ちゅ…

 唇どうしが合わさる弾力は、本当に何度確かめても飽きが来ない。

 窮屈な体勢のままではあるが、智秋は角度を付けて必死に唇を貪った。口寂しさは押し当て、重なるだけでは満足できなくなり、唇の弾力に任せて夢中で互いをついばむ。だらしなく溢れた唾液は愁一郎の頬を伝い、首筋からうなじへと流れ落ちていった。

「ちあき…ちゅ、ちゅぷ…口寂しいの、納まった?」

「ううん、ぜんぜんダメ…ちゅ、ちゅむぅ…ぷぁ、どうなっちゃったんだろ…もっともっとキスしたい…!」

「じゃあさ、ちんぽ…もう一回おしゃぶりしてくれるか?」

「うん、いいよ…シックスナインしよう…。でも、出しちゃダメだよ?」

「わかってる、がんばるよ…ん…ちゅっ…」

 しばし別れ、ともう一度だけキスしてから、智秋は腹筋運動の要領で真っ直ぐ上体を起こした。そのまま愁一郎の足元に両手をつき、よつんばいになってから後退する。

 へそと密着したそうに反り返っているペニスが目の前に来るまで後退すると、愁一郎からは胸元の直上に智秋の丸い尻が突き出されている具合になった。異性の性器が丸見えになってしまう、俗に言うシックスナインの体勢に愁一郎も智秋も一様に息を飲む。

「智秋、もう少し腰、下げて…うん、いいよ。じゃ、お手柔らかに頼むぜ…?」

「ふふふっ、容赦なんてしないんだからっ…!」

 愁一郎の弱気な言葉にいたずらっぽくほくそ笑むと、智秋は痛々しいほどに勃起して反り返っているペニスを右手で起こした。強く漲っているペニスは真上に向かせるだけでも思わぬ力が必要だったりする。

 邪魔になる髪を左手で流してからまじまじと先端を見つめ、陶酔するように嘆息してから右手の筒を上下させた。これほどまでに立派なものが先程まで自分の中に埋没していて…そして間もなく再挿入されるのかと思うと、それだけで腰の奥がブルブル震える始末だ。

にち、にぢっ、ぬちゅ、にちゅ、にちっ…ころ、ころ…もみもみ…

 左の肘で上体を支えると、左手で脱力しきったふくろをもてあそび、右手で力みきっているペニスを手早くしごいた。ペニスはしごかれるたびにビクビク痙攣を繰り返し、新たな逸り水をどんどん滲み出してくる。

「おおばくん、もう濡れ濡れじゃない…えっちなんだからぁ…!」

「ち、ちあきだってびっちょびちょじゃねーかよっ!」

 絶妙な愛撫といやらしい報告とで愁一郎は耳まで真っ赤にし、強がるように叫んでから智秋の裂け目へと顔を近づけた。ヌルヌルに潤った智秋の裂け目はすっかりくつろいでおり、興奮で肥大した内側までくんにゅり開いている。微かに裂け目が入って拡げられた膣口をも赤裸々にさらけ出していた。

 愁一郎の見ている前で…智秋は彼女の匂いがぷんぷんする愛液を膣口から染み出させて陰唇の隙間を満たし、尿道口を包み込んでクリトリスを濡らしてしまう。濃い目の性毛をも艶めかしく寄り集めるほどに溢れさせてた。先程も間近で観察し、舌で愛撫を施したにもかかわらず…愁一郎は女性器の妖艶な潤い様に心を奪われてしまう。

 視線を釘付けにしてしまった愁一郎は、まるで誘い込まれるような動作で智秋の尻に両手をかけ、混じりけのない純粋な智秋の匂いを吸い込んでから…

ぶちゅっ…。

 唇を陰唇の奥にあてがい、膣口にキスした。途端に智秋の尻がビクンと跳ね、愁一郎の唇の中へ熱い愛液が勢いよく撃ち込まれる。愁一郎はそれに臆することなく、そっと目を閉じてすすり付いた。

ぢゅぢゅちゅっ…みゅるる…

 ほのかに甘酸っぱい奇妙な味が舌いっぱいに流れ込んでくる。ワインを口腔内で転がすように舌をくねらせると、滑らかな粘液がまんべんなく舌に染み込んでしまう。心ゆくまで味わってから唾液と混ぜ合わせて嚥下し、そしてまた積極的に唇を押しつけ、何度も何度もすすり…喉を鳴らして飲んだ。

ちゅうっ、ちゅうっ、ちゅぢゅっ…ちゅく、ちゅく…ごく…ご、くん…

 膣口にキスマークを残すような強さで吸い付き、ありったけが飲み干されてしまうと愛液の精製はとてもではないが追いつかなくなってしまう。膣口がひゅくひゅく収縮するだけになってしまうと愁一郎は舌をとがらせ、ぬるっ…と膣内にディープキスを捧げた。舌の腹でぷりぷりとした襞の感触を楽しみ、そっと抜き差ししてやると…智秋は予想通り、ヒュクヒュクすがりつこうと努力してきた。

「んあっ!んああっ!!やだ、舌っ…ちょ、だめえっ!!」

「ぷぁ、智秋、手が止まってるっ。」

「う、ううっ…!だって、気持ちいいんだもん…!ああんっ、ひっ、ひいいっ!!」

 よがり鳴いている矢先に愛撫の手が止んでいることを指摘され、智秋は困惑の泣きベソになってしまったが…それでも快感を分かち合う努力を放棄することはなかった。右手にしたペニスの根本をあらためてつかみ直すと、ヌルンヌルンに濡れそぼった先端にふくよかな唇を押し当てる。

むちゅっ…。

 淡い弾力をじっくり伝えてから、そのままゆっくり唇を突き出すようにしてちゅぱちゅぱ吸い付き、新鮮な逸り水を幾分吸い出してから舌を伸ばして亀頭を舐めあげた。

ぺちょ、ぺちょ…ちゅぴ、グネグネ…ゴネゴネ…ころん、ころん…

 拡げた舌の腹で亀頭の表側をびっちょりと摩擦し、逸り水と唾液が混ざり合って根本にまで伝い落ちる。智秋はそっと小指を立てた右手でペニスをしごきたて、そのまま先端を舌の腹に押しつけてはごしごし擦ったり、くびれた部分に舌を這わせたり、裏側でくっきりしている筋をなぞったりした。

 射精したくてならない、といった風にペニスが危なっかしく打ち震えると…智秋はそのたびに愛撫を中断し、ペニスの下でふにゃっとしているふくろの中のさくらんぼを優しく揉み、転がして慰めた。

 膨張しきるまで高ぶらせ、そして和らぎを取り戻すまで慰め…をしばし繰り返し、愁一郎の腰がわずかにカクンカクンと動き始めるのを見計らって、智秋はペニスの先端を唇に含んだ。

あぶ…もぐ、もぬぬぬっ…

 そのまま唇を割り拡げ、頭を下げてペニスを口腔いっぱいに頬張る。いかに口寂しいとはいえ、愁一郎の勃起したペニスはそれを慰めてはるかに余りある大きさであったが…智秋は陶然たる目をしてゆっくり頭をシェイクさせていった。

ぬぼっ、ぶちょっ、ぶっちょ、ぬぢゅっ…

 浴室で披露したフェラチオを、今度は位置を百八十度変えて愁一郎に味わわせる。きゅっと唇をすぼめ、ぬめる先端を柔らかな舌にえぐり付けるようにして頭を振ると、乾き始めた黒髪がサラサラと火照った頬を撫で、愁一郎の下腹をくすぐった。

「ち、ちあきのフェラチオっ…やっ、やっぱり気持ちよすぎる…先っぽ、つまんでるみたいに…あ、あっ…くあぁ…!!」

「うんっ…ううんっ…!ふぅん…」

 視界がぼやけ始めるほどの快感に、今度は愁一郎の愛撫が中断してしまう。智秋はペニスを頬張ったまま不満そうに何やらうめき、くいくい、と尻を突き出して続きをせがんできた。下向きにされてボリュームを増した乳房が弾みでふよふよと揺れる。

 智秋にむしゃぶりつかれて勃起しきりとなり、これ以上うかつな刺激を受けるとたちどころに果ててしまいそうな愁一郎としては、もはや智秋を先に屈服させる以外に先へ進む道は残されていなかった。思いきり肛門をすぼめて智秋からの愛撫に備える。

 できるだけ長い間、愛撫に酔いしれていたい…。簡単に終わってしまいたくない…。

 愁一郎はシーツの上に頭を下ろすと、熱く開いた裂け目をできるだけ凝視しないようにしながら右手の親指を膣口にあてがった。

ぬむっ…

「うぶっ!!ふううっ!!」

「うあっ…あ、あく…くぅ…!まだダメだぁ…まだ、終わりたくない…!」

 軽く指圧しただけで花筒が締まるのか、智秋はきゅっと目を閉じ、思わず口にしていたペニスに歯を立ててしまう。思いも寄らない悪寒が愁一郎の背筋を駆け抜けたが、無様な先走りを晒してしまうことはなかった。気を取り直し、押し当てた親指にさらなる力を込めてゆく。

ぬちゅ、ぷっ…ぬる、ぬるるるっ…

「ふうんっ!!ううんっ!!」

「へへへ、智秋、まだ指だよ…?ちんぽはまだそこにあるじゃん…?」

 ぬかるむ膣内に右手の親指を根本まで挿入させると、智秋はブルブルと小刻みに尻を震わせてうめいた。そのあからさまな狼狽えぶりに、巧みなフェラチオで防戦一方であった愁一郎の胸にわずかな余裕が生まれてくる。

 ぬめる膣内に根本まで埋め込んだ親指をぐりぐりひねりながら、一方で左手をクリトリスに忍ばせる。親指と中指の先で、充血した桃肉の縁取りから透けるような包皮からを丸ごとクニュクニュと摘み上げた。勃起しているクリトリスはペニス同様熱くて固い。

にっちゅ、にっちゅ、ぬっぢゅ…クニクニ、くりゅん、くりゅん…

 粘つく音を立てながら親指を乱暴に出し入れし、同時にクリトリスをこねくりまわす。

 欲張りになりきってしまった襞のひとつひとつを掻き分けられ、張りつめてデリケートさを倍加している突起をいじめられては…智秋の下肢は為す術もなく、ただただ女性としての快感に狂うしかなかった。意識を必死に保ち、最後の最後までペニスを頬張っていたが、身体中にビクビクッと激震を走らせてしまうと…

ぬみ、ぬっ…ぼあっ…。

「あはぁあんっ!!ひぃあ、くぁ、あああっ!!やああああっ!!」

 唾液と逸り水でふやけそうなペニスを口中から解放し、感じるままを声にしてよがった。普段より一オクターブ以上も上擦らせた悩ましい女性の鳴き声を立て続けて響かせる。

 随喜にむせび泣く身体は脱力を余儀なくし、上体を支えていた両腕も例外ではなくカクンと曲がってしまう。智秋の上体は愁一郎の腹筋の上に着地し、豊かなバストを柔らかくたわませた。

 とてつもなく巨大な快感が智秋を酔わせてるのは紛れもない事実である。親指を差し入れられているヴァギナもすでにまぐわっているものと錯覚しているらしく、親指の形に添って襞が絡みつき、奥へ引き込もうと動いてさらに濡れた。

 その無意識下の動きが智秋を否応なしに苛むらしく、へそへと反り返っているペニスに頬摺りするよう恍惚に身震いしながら喉の奥でうめく。

ぢゅぷっ、づぷっ、ぬぶぷ、ぐぢゅっ…くにっ、くにゅっ、ぐにっ…

 愁一郎はここぞとばかりに親指でピストン運動を繰り出した。膣内で愛液を泡立たせるほどに深く、激しく抜き差しを繰り返し…縦横無尽に襞をくじる。愛液でベトベトのクリトリスも執拗に摘み上げ、押し転がし、小首を傾げて吸い付いては歯を立てた。

「いや、いやっ!いやあああっ!!いくっ!イクぅっ!!イッちゃうううっ!!」

「こらこら、自分だけイッたらダメだぞっ!!」

「だって、だって…も、もうっ…!!くぁ、はああ…!!」

 子宮が身悶えするような強烈な震えをきたし、ゾクゾクッと背筋に甘やかな電流を感じて泣き叫ぶ智秋。

 愁一郎に厳しい声でたしなめられても、このまま親指を突き込まれ続けては肉体が精神を凌駕して達してしまう事は目に見えている。智秋とて努力はしているのだが、もはやガマンも限界にきていた。奥の方で第一関節を曲げている愁一郎の親指を思い切りよく締め付け、絶頂感の血潮を襞の毛細血管に巡らせて灼熱させる。

ちゅ、ぬ、ぬぬ…ぽんっ…。

「ふんんっ…んぁ、あ…あ、あっ…!やぁ、抜いちゃやだぁ…!」

 エクスタシーに備えて唇を噛み締め、愁一郎の太ももに指を立てた矢先…コルク栓でも抜けたような音を立てて彼の親指は狭まりきったヴァギナから抜け出てしまった。

 空っぽになったヴァギナが強く締まり、鋭い感触が腰の中で弾けるものの、それはやはり一瞬だけで…異物を失ったヴァギナは快感に代わって焦燥が占拠してしまう。

 イキたいのに…イキたくてならないのに、このままじゃイけない…。

「おおばくん…いじわるしないで…。このままやめられたら、狂っちゃうよう…」

「うわ、ぷっ…!?」

 悔しそうに眉をしかめながら、智秋は急かすように愁一郎の太ももを撫でる。うずききって人恋しく収縮を繰り返すヴァギナをどうにか慰めようと、彼の顔の上に裂け目を押しつけた。

 ぬにゅ…と鼻面に腰を下ろすようにしてやったが、それでも愁一郎は続きをしてくれるそぶりすらない。苦しげにあごを引いてぜはぜは呼吸し、さわさわと智秋の太ももを撫で返してくるのみだ。気持ちいいには気持ちいいが、親指のグラインドに比べれば物足りないこと甚だしい。ささやか過ぎる愛撫は、今の智秋にとっては焦燥感を増すだけの不快なもの以外ではなかった。

「おおばくんっ、お願い…お願いよ…。おまんこ…はやく、おまんこぉ…!」

「ホントに待てない?」

「ホントに待てないっ!してよぉ、おまんこしてえっ!!おおばくんが欲しいのっ!!」

「よぉし…さすがに焦らし過ぎたかな…?」

「あ、ふぁ…ううう…はやく、はやくう…!」

 愁一郎は智秋の尻を突っぱねて押し上げると、シーツに両手をついて彼女の脚の間から身体を引き抜いた。平伏しながらも尻だけを高く突き出している智秋の背後で膝立ちになり、舐め回され、しゃぶり尽くされてベットベトのペニスをつかむ。

 愁一郎が意地悪とも言えるほどに智秋を焦らしたのは、ひとつは彼女を徹底的に燃えさせるため。もうひとつは自らの高ぶりを引かせるためであった。

 徹底的にフェラチオを施された直後にまぐわってしまったとしたら、達しかけて絶妙な狭さを誇っている智秋のヴァギナでは三度と往復する前に爆ぜてしまうことが火を見るよりも明らかである。そうなってはやはり格好悪いし、智秋と同じ高みにまで到達することができない。

 親指を駆使して智秋を陥落寸前まで攻め込んでいたおかげで彼女の愛撫から解放され、いまやペニスは隆々と勃起してはいるものの、逸り水の漏出は止んでいた。当分はよほどのインパクトを受けない限り暴発することはないだろう。

「じゃあ、第二ラウンド…って、あ、あれ?」

 あらためてコンドームを装着しようと愁一郎はベッドサイドに振り返ったが…当然というかなんというか、備え付けのコンドームは先程の一枚きりであったらしく、小さなケースの中は空っぽであった。

 二枚、三枚と消費したい場合は遠慮なくルームサービスまで申しつけ下さい、ということなのだろう。いかに高級ラブホテルとはいえ、あくまで商売が前提だ。

 事前にしっかり確認しておけばよかった、と今さらながらに舌打ちする。かといってここまでボルテージを上げておいてルームサービスを頼むのも無粋極まりない。

「どしたの?」

「…ゴム、無いんだよなぁ。」

 いつまでたってもあてがってすらこない愁一郎を不満そうに振り返り、早口に問いかける智秋。愁一郎はペニスを右手にしたまま、左手の指先でカリカリあごをかいて無意味に時間を進ませている理由を打ち明けた。苦笑めいている表情からも、彼が今深い躊躇いの中にいることがわかる。

「…別にいいじゃん、大場くんさえしっかり気をつけてくれれば。」

「外出しってか…?うーん、怖いなぁ。イク時は一瞬だからなぁ。」

「…中出ししてもいいよ?たぶん…たぶんだけど、そろそろ安全日に入ると思うし…。」

「それにしたって…やっぱりヤバいだろぉ?」

「妊娠のリスクを背負えないんなら、あたしだってせがんだりしないよ?でもまぁ、最後には抜くってことで頑張って!ほらほら、とりあえず入れるだけならイかないでしょ?心配しない!そもそも妊娠する確率の方が小さいんだから!」

 智秋も少しずつ絶頂感の波が遠ざかっていったようで、よいしょ、と両手を突っぱねて上体を起こし、きちんとしたよつんばいになった。振り返った素顔は穏やかな笑顔であり、愁一郎を臆病者よばわりするでもなく、雰囲気に白けるでもなく…むしろ暖かく励ますようにおどけてくれる。愁一郎としても予感が訪れたらキッチリ中断する、と割り切ることができ、いくぶん気が楽になった。

「じゃあ…夢中になって、抜かないで!なんて言うなよ?」

「大場くんこそ夢中になって、中に出してもいいよな?なんてナシだかんね?」

 くすっと微笑を交わしてから愁一郎は右手の筒でペニスをしごき、わずかに脱力しかけた愛欲を奮い立たせる。萎えきっていたわけでもないので、マスターベーションのように刺激を与えればすぐにまた漲りを取り戻すことができた。

 先程同様膝立ちで歩み寄り、先端をクリトリスにあてがってから裂け目をなぞって膣口にあてがう。汗ばんだ尻を両手で撫でてから、今度は何の前触れもなしに不意打ち状態でペニスを突き入れた。ぬかるみの中へ、先端がじかに埋没してゆく。

ぬるる、ぶ、ぶぷっ…ぶちゅ、ちゅっ…

「ひゃあっ!!ふぁ、と、突然入れないでよおっ!」

「えへへ、ごめん!でも、さっきまでメチャクチャ欲しがってくせに今はどうして恥じらうんだよ?もしかしてさっきので冷めちゃった?」

「そ、そうじゃないケド…その、心の準備ってのがあるでしょ?びっくりしたの…。入ってくるだけでもすっごい気持ちいいんだから…。ね、大場くんはどう?あたしに…直接入ってみて、気持ちいい?」

「すごい気持ちいいっ!」

 余計な美辞麗句抜きに即答した愁一郎に、尋ねた本人である智秋が思わず赤面する。もじもじとうつむいてしまい、照れくさくなって言葉が紡ぎ出せなくなってしまった。

 確かな口調でそう答えた愁一郎ではあったが、威勢のいいのは最初だけであり…智秋の尻から両手を滑らせてウエストをつかむと、情けなく上擦らせた吐息を漏らす。

「はあぁ…っ、ホントすごい…ヒダヒダ、ぐにゅってなって…コンドーム一枚付けてないだけでも、智秋の中、こんなに違う…!」

「そ、そお…?やだ、なんか恥ずかしい…?」

「智秋のおまんこ、ヒダヒダが細かくって、背が高くってさ…。ひとつひとつがネットリしてて、ちんぽを舐めつくしちゃうみたいにトロトロしてて熱いんだ…。すごいえっちくさいおまんこだよ…?」

「そ、そんなに細かく報告しなくていいよっ!」

 挿入しただけで恍惚としている愁一郎の淫らな感想に、智秋は耳まで真っ赤になってかぶりを振った。甘ったるい声でささやかれる卑猥な単語と、熱く大きく押し広げられている感触が理性にいやらしく浸食してきたからだ。

 照れて火照った顔だけが熱かったのに、今では身体中が熱くてならない。ズキン、ズキン…と性感帯のひとつひとつがうずき始める。

ふりふり、ふりふり…

 膣からクリトリスからがせつなく痺れるため、智秋はゆっくりと腰を前後させた。よつんばいになっている身体の重心を前にやり、後ろにやり…少しでも早く擦れようと、生殖本能が智秋の慎み深さをそそのかすのだ。

「ねぇ、おおばくぅん…はやく、ピストン…っ!」

「ああ、じゃあいくぞぉ…?」

ぬぶ、ぬちゅっ、ぬぷっ、ぶぷっ…

 愁一郎は智秋の求めに覚悟を決め、彼女のウエストをしっかとつかんで固定してからゆっくりとグラインドを開始した。太々と食い込んだペニスが膣の奥でくぐもりながらぬかるみ、襞の群をくびれで引っかき回す。

 初めは浅く、ゆっくり…次第に余裕を見出してきて、深く、早く…情欲の権化を花筒の中で往復させ、艶めく先端を奥へ奥へと送り込む。

 先程交わった時とは感じ方が別物であり、高ぶりかたも飛び抜けて急峻だ。薄いラテックスの膜が一枚あるかないかだけで快感の度合いが全然違う。

 以前なにかの小説で、コンドームごしのセックスを経験しただけでは童貞を卒業したことにはならない、というエピソードを愁一郎は見たことがあるが…どうやらそれは本当であるようだ。ほとんど間隔を開けずに同じ女性で確かめてみた上で、愁一郎はそう痛感していた。

 もちろん、愁一郎は妻であるみさきと避妊など気にしない性生活を送っている。それでもなお智秋とのセックスは素晴らしいものがあった。

 しかしこれは、みさきに不満があるというわけでは断じてない。智秋とのセックスは、みさきとのセックスとまた別の趣で楽しく、気持ちよく、感動できるという意味だ。

 恋愛感情やモラル抜きで肉体的、精神的快感を考えるのであれば人間は誰しも貪欲なものである。それは至極当然のことであり、愁一郎だけが特別という証はどこにもない。

「気持ちいい…気持ちいいっ…くあっ、き、きもちいいようっ!」

「やだぁ、おおばくんったら…女の子みたいな声出してぇ…」

「だ、だって…ホントに気持ちいいんだもん、仕方ないだろぉ…?」

 上擦ったよがり声を智秋にたしなめられながらも、反省する様子無く上擦った声のままで弁解する愁一郎。智秋との瑞々しい交わり合いで気持ちが若返ったようであった。精神年齢がグッと下がったようであり、口調までどこか子供じみてしまう。

ぶちゅっ、ぬぶっ、ぶちゅるっ、のるるっ…

 リズミカルなピストン運動でペニスを引き戻すたび、プリプリュとまとわりついてくる襞の感触が何とも言えず絶妙だ。粘っこくくびれに引っかかってきて、少しでも奥に留めようとしてきゅうきゅう締まる。

 それに従って奥に突き込むと、今度は膣全体が狭まってゆき、とん…と優しい弾力で子宮口が歓迎してくれる。深奥に宿っている熱量は相当なもので、張りつめている先端がぬめりに任せて熔けてしまうような錯覚を覚えるほどだ。いつのまにか逸り水も漏出が再開している。ジクッ、ジクッ…と智秋の膣内に流れ込んで愛液と混ざり、ペニスを二人ぶんのフェロモンまみれにして熱く痺れさせた。

「ふぁうっ、ふうっ!は、ひっ、ひゃっ…ああっ!う、くうっ!!」

「智秋も気持ちよさそうだね…。どんな顔してそんな鳴き声あげてんだよ?」

「し、知らないっ…!うんっ、うんんっ!いいっ、いいよおっ!!」

 愁一郎の巧みなピストン運動で突き上げられるたび、智秋は腹の底から押し出されるようにしてよがり声をあげた。細い筒の中をぬめっては強引に往復を繰り返しているペニスの感触がたまらない。

 突き入れられた先端が子宮口に当たると、そこから生じた衝撃波が身体中に拡がってゆき、脳髄に熱く染みわたって感涙を精製し…あるいはよがり声となって体外に溢れる。

 すっかり全身が性感帯になってしまったらしく、下向きにされてたぽたぽ揺れている乳房も心ゆくまで慰めたくなってしまう。本能はフル稼働で性の悦びを貪らんと肉体に命令を下した。

もみっ…もみもみっ、ぎゅ、ぎゅ、ぎゅっ…

 智秋はよつんばいのまま右手を浮かせ、ドキドキと鼓動がわかりそうなほどに左の乳房を押しこねて揉んだ。独り寝で慰めるときのように力を込めて揉み、円を描くようにこねくり回しては指先で乳首をつねる。小指の先のように固くしこった乳首をしごくと、媚びた表情は恍惚を湛えた微笑へと変貌していった。

「はふぅ、あふぅ…あっ、ひ…っ!いい…すごい、きもちいい…!」

「あらら…おっぱいも慰めたいの…?じゃあ、ちょっと智秋…?」

「え?きゃ、きゃあっ…うぷっ!!」

 いつのまにやら乳房を手にしている智秋を見て、愁一郎はグラインドを一旦止めてしまった。ウエストをつかんでいた両手を再び智秋の尻に戻し、不安定となっている右側へと彼女を押し転がすようにした。ただでさえも愛欲の虜になっている状態でバランスを取れるはずもなく、智秋は支えのない右肩からシーツの上へと無様なほどに突っ伏してしまう。

「智秋、あご引いて。ちょっと窮屈になるぞ…」

「ふぇ…?あ、や、やだっ!ちょ、やめてっ!!こんな格好…!!」

 言われるままに智秋があごを引くのを確認すると、愁一郎は彼女の腰を両手で抱え、そのまま立ち上がってしまった。でんぐり返るようにして首倒立になった智秋の背中をベッド横の壁に預け、愁一郎は立ったままでグラインドを再開する。信じられないほど窮屈な屈曲位に、さすがの智秋も真っ赤になって嫌がった。

ずぷっ、づぷ、ずぷ、ぢゅぷっ…ぬるぶ、ぶぶっ、ぬぶっ…

 浅く、浅く…深く、深く、を繰り返して繋がっている部分が愁一郎からも、そして智秋からも丸見えになっている。

 愁一郎のたくましいペニスがぬめりをいっぱいに纏い、規則正しく往復している状態をまともに視認してしまうと…智秋は一層胸を高鳴らせてしまった。初恋にも似た衝撃で、はりさけそうなほどに胸の内圧が上昇してくる。

 せつなくて…ならない…っ。

「はあ、はあっ、はあっ…!んっ、んんっ…!!」

「ほぉら、これならおっぱい、両方とももみもみできるだろ?」

 せつなさを癒すため、智秋は両手で乳房を揉んだ。愁一郎が施した愛撫よりも乱暴に揉みしだき、ぎゅむぎゅむ握って寄せ上げながら乳首を搾る。ヴァギナと乳房からの快感で気絶しそうであった。女性としての悦びに満ちて意識が霞む。

 怖くてならないのに止められない。本能に置いてきぼりをくらった意識が不安の悲鳴をあげているが、身体はもはや理性や美徳の制御下に無かった。

 感じすぎて絶頂を早めてしまわないよう、慎重に、かつ丁寧に腰を振る愁一郎は、おもむろに右手の中指をしゃぶってから智秋のすぼまりにあてがった。周りに比べて色素の濃いすぼまりはつぼみのように固く、外部からの侵入者を堅牢に阻んでいる。

むに、くにっ…

「ちょ、どこ触ってんのよっ!?」

「…おしりの穴。」

「って、それはお風呂でやったでしょっ!!やだ、やめてっ!こら!やめてよっ!!」

 智秋の嫌悪の声を無視して、愁一郎はやんわりやんわり時間をかけてつぼみに外圧を加えてゆく。

 ふにゅ、と括約筋から緊張が解けた瞬間を見逃さず、ねじ込むようにして中指を差し込むと…異物の侵入を許すまいと肛門は強く締まり、連動してヴァギナもぴっちりとペニスを締めつけてくる。強く力を込めて第一関節まで埋めてしまうと、膣内の狭さもそれに比例して増した。ペニスを引き戻すだけでもかなりの力が必要になってくる。いじらしいほどのすがりつきに、愁一郎の興奮も快感も急激に増した。

「せっまぁい…!わ、ちんぽ、動けないっ…!」

「もうっ、おおばくんっ!!あたし、怒るわよっ!!」

「わ、わかったよ…そんな嬉しそうな声で怒んなくてもいいじゃん…」

「うっ、嬉しそうな声なんて出してないっ!!」

 それほど的を外してもいない愁一郎の揶揄に、智秋は露骨に狼狽えて恥じらう。そのために無我夢中の境地から舞い戻ることができたらしく、しなやかな両脚をバタバタさせて本格的に嫌がった。

 愁一郎とて肛門への愛撫はあくまでアクセントの一環のつもりであるから、嫌がられてまでせがもうとはしない。わずかに肛門を引き出すほどの勢いで、つぽんっ…と中指を引き抜くと、今度は智秋の右脚を抱え込み、結合を維持したままゆっくりしゃがんで彼女を横にした。下肢が九十度の角度で交差する、松葉崩しに近い体勢になってしまう。

 左脚の太ももをまたぎながら抱え込んだ右脚をしゃがませるように折り曲げると、智秋は片M字開脚で膝を上げている格好になってしまった。今しがたまでの体位に比べれば窮屈さは和らいだが、真正面からよがる顔を見られてしまうために智秋の照れくささはそのぶん倍加する。

「ちあきっ!向き合うの、久しぶりだね!」

「やん、もう…恥ずかしい…。」

 モジモジとして視線を泳がせる智秋に愁一郎は身を乗り出して対峙すると、旧交を温めるような親しさで口づけた。肛門をいじられてふくれっ面であった智秋もすぐさま態度をあらため、甘えるように口づけ返してくる。

ちゅ、ちゅっ…ちゅうっ…。

 再び見つめ合えた歓びを唇の薄膜ごしに交わしてから、愁一郎はゆっくり…だけど深くペニスを智秋へと突き込んで下肢を打ち付けていった。ねっとり絡みついてくるヴァギナに逆らうよう、力を込めてピストン運動を繰り返す。

 心地よい疲労と発汗からしても、セックスはある意味スポーツであると言えるだろう。愁一郎も、智秋も…興奮と汗にまみれてセックスの愉悦に浸る。

ぬべっ…ぬるる、ぬべっ…ぢゅぬぶ、ぬべっ…

「お、おおば、くぅん…!好きよ、大好き…ずうっと好き…!ね、これからも友達でいてよね…お願い…。」

「ああ、ちあき…。オレも大好きだよ、また一緒にゲーセンでも行こうぜ?でも今度会ったときは…たぶんまた姓で呼んじゃうと思うけど…」

「全然かまわないよ…今夜だけ、本当の恋人みたいに付き合ってくれたんなら…もうあたし、すっごい満足だから…ありがとう、おおばくん…。」

「ははは、気にしなくっていいよ。オレだってすごい満足してるし、ね。」

 重くしないよう両手をシーツの上に突っぱねて交わってくる愁一郎に、智秋は心からの愛情を込めてささやきかけた。愁一郎も気取ることなく、笑顔で親友に答える。

 満ち足りた穏やかな雰囲気が二人の間にたちこめると、愁一郎は唇を噛み締めてグラインドを深く、早く、強くしていった。智秋の呼吸も、さえずりもそれに合わせて早く、甲高くなってゆく。

ぬぶっ、ぬぷっ、ぬぶっ、ぬるるっ…ぢゅぷ、ぢゅぷっ、ぶぷっ…

 いやらしいほどに音を立てて摩擦しあう性器の中で、二人の愛欲は粘膜ごしに行き交って興奮を分かち合った。膣口からは愛液と逸り水の混ざり合った体液が次から次へと掻き出されてくる。発情した熱も相当なものであるため、暖かな部屋にあっても二人の愛液はほのかな湯気となり、ホカホカと舞った。

「ふぁ、あっ…やぁ…お、おおば…くぅん…!」

「んっ…ちあき…そろそろイキそう?」

「うん…すごいの…さっきより、気持ちよくなれそう…」

 愁一郎の問いかけに、智秋は目を伏せたまま夢見るように答えた。

 すっかり呼吸が乱れており、絶妙なプロポーションを誇る肢体もほんのり桃色に染まっている。熱でも出しているかのような温もりは愁一郎の胸板にまで伝わってきていた。

 愁一郎はまたいでいた智秋の左脚を解放すると、単純な正常位となって智秋にのしかかった。汗だくになっている胸を合わせ、最後のグラインドにかかる。今にも達してしまいそうなのは愁一郎も同じであった。

「ちあき、じゃあそろそろイこうぜ?」

「一緒にイけたらいいね。できるだけ合わせよう?」

「だいじょうぶ、きっと一緒にイけるよ…だって、ちあきとだもん…」

「ふふふ…そうよね、おおばくんと、だもんね…。」

ちゅっ…。

 目を細めて微笑みながら唇を重ねる。今宵何度目のキスなのか、二人ともまったく覚えていない。キスすることが呼吸の必要性と同じ意味を持っていると認識してしまってからは、おもしろ半分で数えていたのもバカバカしくなってやめたほどだ。

むにゅ、むにゅ、むにゅっ…

 ガクン、ガクン、と愁一郎がリズミカルに動くたび、二人の胸の間で挟み込まれた乳房は柔らかく押し潰され、柔軟に形を変えて揺れた。智秋の乳房は仰向けになっても崩れないほどに張りがあってかつ形よく、それでいて愛撫している方までゾクゾクするほど敏感であり…彼女の宝物のひとつとして認定したいくらいである。

 いつか智秋が母になったときは、その宝物は夜のベッドの上だけに留まらず育児の時にも素晴らしい活躍を見せてくれることだろう。きっと彼女の子供も母の宝物に心酔してしまうに違いない。

ずぶっ、ぬぶっ、ぶちゅ、ぶぢゅっ、ぶぢゅっ…

 美しい乳房が揺れている間にも、その振動の源たる性器どうしのグラインドはいよいよ佳境を迎えようとしていた。

 愛欲の結晶を放たんと、ほぼ最高潮に勃起している愁一郎のペニスは智秋のヴァギナを深く深く蹂躙して愛液を攪拌し、溢れさせて艶めかしい匂いをぷんぷんさせる。

 くびれは襞を引っ掻き、襞はくびれにすがりついて互いを高めていった。まるであつらえたかのように相性の合う二人の性器は一往復するごとに感度を増し、中断して繋がり直すごとに密着感を良くしてセックスの虜にしてしまう。

 また、弾む会話からもわかるとおりで…二人は精神的にも深く繋がり合っていた。

 指先ひとつ触れるごとに…一センチほども身じろぎするごとに相手を確認し、追いかけては追い抜き、手を差し伸べてはまた並んで…二人一緒に高みを目指そうとする。身も心も交わり抜くそのスタイルは…セックスの理想型であったろう。

 理想型の二人三脚を走りに走り、極上の疲労と汗にまみれながら…愁一郎と智秋はまばゆいゴールに手が届きそうなところまで来ていた。デタラメなテンポとストロークで智秋を貫いていた愁一郎の腰が、ブルルッ…と危なっかしく打ち震える。根本がジクン、とうずいて智秋の膣内に逸り水を噴かせた。射精欲はもうこれ以上堪えられないほどにまで膨れ上がっている。

 間違っても暴発させないよう精一杯肛門をすぼめながら、愁一郎は四肢に力を込めてぬるるるっ…と智秋の内側からペニスを引き抜いていった。きゅっと唇を噛み締めているその表情はなんともつらそうでいたたまれない。

「ちっ…ちあきっ、ごめん、もう出ちゃうからっ…」

「あ、おおばくん…せっかくここまで来たんだから…最後まで一緒にいよう…?そのままでいいから…思いっきり出して…。」

「ちあき…でも万が一が…」

「保証はできないけど…でも、きっと気持ちいいよっ。かわいいチャキちゃんに中出しなんて、もう一生チャンスないよ?」

 智秋の無謀な誘いかけに戸惑い、それでも頑なに避妊を遂行しようとする愁一郎であったが…智秋に頭を抱き寄せられ、耳元でおどけられると気分が普段通りの気楽さを取り戻してしまう。智秋をからかって反応が見たくなってしまう。

「…なぁにがかわいい、だよっ。このデコオンナ!」

「うふふ…あたし、おおばくんだけのデコオンナなら幸せだなぁ…。」

「開き直りやがって…こぉなったら最後までいじめてやるっ!」

「あっ!ふぁっ、おおば、くん…!」

「覚悟しろよぉ、たっぷり出してやるかんなっ!」

 智秋の愛くるしさに魅了されてしまった愁一郎は、その強烈さに当てられて鉄の理性を吹き飛ばしてしまった。くびれが露出するまで引き抜きかけていたペニスを再び深奥にまで突き込み、とどめとばかりのピストン運動を開始する。

ぬとん、ぢゅとっ、ぶちゅ、ぶぢゅっ、ぬ、とんっ…

 精一杯射精欲を堪えながら、子宮口を集中攻撃するよう強く強く腰を突き出す。愁一郎に抱きついている智秋もすっかりグラインドに酔いしれ、恥じらいも何もなく大きく脚を開いてゆく。エクスタシーはもうすでに彼女の意識を飲み込みかけているのだ。

 あらゆる気持ちよさが性器に凝縮してゆき、そこから互いの身体中へくまなく染みわたってゆく。ぴったり抱き合って狂ったように交わっている二人は…もう引力の束縛を意識できないほどに高揚していた。

ぶちゅ、ぶぢゅっ、ぬぷっ、ぷぶっ…

 敏感な子宮口から遠ざかり、浅い位置で執拗に行き来しては…

ぬるる、るっ…ぐにゅ、ぐにゅっ、ぢゅとん、ちゅとん、ぬとん…

 思い出したように深奥を探り当て、間断なく子宮を突き上げる。柔らかな陰嚢も激しいピストン運動に合わせて揺れ、ぺとん、ぺとん、と智秋の尻にぶつかった。

「ああっ…く…だ、出すよっ…ホントに出すよっ…!!」

「きて、きてっ、きてえっ!いいの、おおばくんのザーメン、お願いっ…!!」

 シーツに両手をついて四肢を突っぱね、ここが先途とばかりに腰を振る愁一郎。一切の躊躇いをかなぐり捨ててしまうと、もはや動きに迷いは生じなくなる。欲しいまま、感じたいままに動いて智秋と登り詰めて行くだけだ。

 愁一郎のよがり混じりの最終確認に、智秋もすっかり腰を浮かせてねだる。

 M字開脚するようにだらしなく開き上げられた智秋の両脚は無意味に虚空をワタワタしている。両手は絶頂感に備えるよう、力一杯シーツを握りしめていた。

ぶっちょ、ぶちょぷ、ぶっちょ…ぬぶ、ぬむ、ぬぶぷっ…

 ほとんど真上を向いている智秋のヴァギナへ、愁一郎のペニスが真っ直ぐに突き立てられてゆく。太々と勃起しきったペニスがきゅうきゅう締まる膣内から引き出されるたびに熱い愛液が掻き出され、会陰、肛門、尾てい骨を通過して背中へ流れていった。

 一杯に押し広げられた膣口は愁一郎の動きに合わせて入り込んだり、めくり出されたりして充血の度合いを強めている。痙攣するようなエクスタシーの兆しで花筒全体を強く締め上げたりすると、過敏を極めているペニスも危なっかしく打ち震えた。身悶えしそうなほどの絶頂感が二人の腰の中で急激に膨らむ。

「くぁ、は、ああっ…ちあきっ…!!」

「きてえっ…!おおばくん、は、早く精子、いっぱい出してえっ…!!」

ぬぷっ、ぬぶっ、ぬぷぷっ…。

 愁一郎はペニスを根本まで押し込んだところで動きを制止し、きつく目を閉じて射精欲を堪えた。爆ぜる寸前の張りつめた緊張感が背筋を満たし、危険な予感に少しでも長く浸ろうとする。

きゅ、きゅきゅっ…ぎゅうううっ…

 息も絶え絶えにせがむ智秋は、もはや意識の半分以上がエクスタシーに占領されていた。ペニスを受け入れたままのヴァギナが生殖本能を忠実に履行し、痙攣するような不規則な締め付けが握り込むような締め上げに変わってゆく。膣口からじわり、と愛液が染み出るほど膣内は狭まりきってしまった。

 もう…だめ…。

 もはや二人とも、これ以上の遅延は不可能であった。最後に愁一郎は乱暴に腰を引き、勢いよく子宮口に先端を衝突させてぐりぐり押しつける。性感帯への強烈な衝撃で智秋は狂ったようにかぶりを振り、のけぞって身悶えした。

「あひいっ!!イッちゃ、イッ、イッちゃううっ!ひゃ、イク、イクぅ!!」

「ああっ!ち、ちあきっ、出すよっ!とびきり濃いの、いっぱい…!!」

「出して!出してえっ!!こっ、濃いのっ…たっぷり出してえっ!!」

「うぁあっ…出るよっ!なっ、なかで出るよぉっ…ちあき、ちあきぃっ…!!」

「や、イク、イクっ…!!いひぃ、あっ、はぁあっ!おおばくうん…!!」

 愛しさを込めて名前を呼び合い、二人の意識が白一色に染まりきった刹那。

びゅるるっ!!びゅるっ!びゅうっ!

「くくうっ…!!」

「あっ!!あはっ!熱っ…!!あつぅ…!!」

びゅっ!びゅくっ!びゅっ!

「出るぅ…!あ、わぁあ…出、るぅ…っ!!」

「あひっ!ひ、ひぃあっ!はぁ、はぁ…ふぁあっ!!」

ドクン、ドクン、ドクン…

「う…ううっ…す、げぇ…」

「あ…か、はく…くぁ、は…あふぁ、あぁ…」

 計ったかのような、二人同時のエクスタシー。

 意識を粉々に四散させ、最強最後の締め付けを見せる智秋の膣内で硬直しきったペニスは思い切りよく爆ぜた。なんの障害もなく迸った精液はとめどなく子宮口を直撃し、か細い入り口を通過しきれないぶんが逆流して襞の隙間に染み込んでゆく。たちまち絶頂の血潮が襞いっぱいに巡り、かあっ…と熱を持った。視界がぼやけ始めた智秋の両目から大粒の嬉し涙が溢れ出る。

 煮えているようなヴァギナの奥で、四度目でありながら濃厚で大量の精液が噴き上がったものだから愁一郎も、そして智秋も結合部をとろけさせてしまったような錯覚に陥っていた。膣内射精に歓喜するよう、ペニスはいつまでもいつまでも脈動を終えない。

 感無量って…きっとこのことだ…。

 愁一郎は思わず感涙を頬に伝わせながら、智秋にのしかかってしまう。脱力しきった身体は暖かな疲労と達成感に包まれ、心ゆくまで睦み合った余韻に浮かされていた。

はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…んく、はぁ、はぁ、はぁ…

 荒ぶった呼吸はいつまでも落ち着きを取り戻すことができない。腰の中身が熔けて噴き上がったかのような射精感はせつない緊張をすべて解き放ち、愁一郎を陶然とさせる。ガマンにガマンを重ね、愛情を募らせきった果ての絶頂は経験が無いほどに余韻が素晴らしく、智秋の子宮口を突き上げたままで強く身震いしてしまう。

 注ぎ込まれた感触で悦に入っている智秋は、のしかかってきた愁一郎を受け止めるよう彼の首に両手をまわし、腰を浮かせたために所在なさげにしていた両脚も彼の背中に絡めていた。

 心ゆくまで射精し続けるペニスを逃すまいと、ヴァギナはもちろん全力でしがみついている。無限の法悦に飲み込まれながらも本能は立派に働き、ぎゅーっ、ぎゅーっと繰り返して襞をくねらせ、一滴でも多く精液を搾り出さんとペニスに絡みついた。

 愁一郎のペニスはもちろん、彼の温もりも、鼓動も、呼吸も、重みも…なにもかもが余韻に美しく彩りを添えている。ともすればまだ達し続けているのかも知れない。液状にして温めた快感のプールに身も心も沈んでいくような心地が、乱暴なまでの絶頂から今なお続いている。

 しあわせって…きっと、こんなのだよね…。

 恍惚でとろけきった意識は愛情に満ち、重くのしかかってくる愁一郎を強く抱き締めてしまう。ここまで胸が満ち足りた経験は、二十五年の生涯で初めてであった。

「ちあき…イッた?」

「ん…」

 ぽおっ…と陶酔して問いかけてくる愁一郎に、智秋は目を伏せたまま安らいだ表情でうなづく。愁一郎の言葉でエクスタシーを再認識すると、満足そうに微笑んで深呼吸した。

 そんな智秋の火照りきった頬を愁一郎は右手で優しく撫で、濡れたまつげを中指で拭ってやる。小さくまばたきして薄目を開けた智秋は、しっとりと瞳を潤ませていた。エクスタシーを手に入れたばかりの可憐な瞳である。

「素敵だったよ…智秋の、なにもかもが…。」

「おおばくんも…素敵だったわ…。ううん、今もまだ、ずうっと素敵…」

「よかった…。はぁ、なんだか夢みたいだ…こんないい気持ち…。」

「そうだね…イッたまんまみたいで、あたしもフワフワしてて実感がないの…。」

 感想をささやきながら、愁一郎は四肢に力を込めて腰を引いてゆく。密封状態の膣内から抜け出るには相変わらず相当な力が必要であった。わずかに萎え始めているとはいえ、温かな智秋の内側はぴっちりと形に添って締めつけているものだから脱出が困難だ。

ぬる、ぬるるる、る…ぬみ…ぽぶっ…。

 締まりの良さを照明する空気音とともにペニスを引き抜くと、強く狭まった膣口からはじかに愛し合った証である混ざり合った体液がじわり、と染み出てきた。膣内射精の感触どうり盛大に放っていたらしく、あきらかに精液の比率が多い。

 親友である智秋に全力で愛欲をぶつけた愁一郎はそのまま起きあがるでもなく、彼女の横に並んで寝転がった。引き寄せた枕をともにしながら、右腕を差し出して招き入れる。

 智秋は愁一郎の腕枕に頬摺りしながら寄り添い、うつ伏せるようにもたれかかってきた。肩に右手をかけてすがりついてくる。

「あの…ね?あの…大場くん、あたし、眠っちゃっても…こうして抱いててくれる?」

「もちろん…。オレだって朝までずうっと、智秋を抱いて寝ていたい…。」

「あたし、汗くさいままだけど…ホントにいい?」

「かまうもんか、汗くさいのはオレも一緒だよ。このまま寝ちゃおうぜ…。」

「うんっ!えへへ…はぁ〜、たまんない。すっごい嬉しいよ…。」

 ベッドサイドのスイッチで照明を落とし、暖房を若干弱めにして愁一郎は自分達の身体にフカフカの毛布をかけた。身体中汗だくで、股間も体液でぬめったままであるが、せっかく睦み合った証をすぐに洗い流してしまうのはお互いもったいないように思えたため今夜はそのまま眠ることにする。

「じゃ、大場くん…おやすみっ。」

「ああ…おやすみ、智秋…。」

「ね…最後にもう一回だけ…キスして。」

「いいよ…。」

ちゅっ…。

 甘く唇を重ねて目を伏せれば、もう後には優しい感触だけが二人の間で穏やかに行き交うのみとなる。

 互いの匂い。

 互いの呼吸。

 互いの鼓動。

 互いの温もり。

 それらを子守歌代わりに、二人は幸福感を携えてまどろみの深淵へと落ちていった。

 

 

 

つづく。

 

 

 

■→次回へ

 

 

 (update 99/04/01)