1.恋愛ゲームヒロインに関するアンケート1
ゲーム中にヒロインたちを配置していく際には、全体のシナリオ上どうしても必要という場合以外はせっかくであるからユーザの好みを反映した方が(商売上)都合が良い。もちろん必然的にキャラクタそのものの「媚び」性と無関係ではなくなってしまうが、好みを把握しておくことが無駄にはならないだろう。
ここで、1998年10月〜1999年2月頃に当ページで実施させて頂きましたアンケート結果を紹介しておきます。もちろん、無作為抽出という訳ではなく、当ホームページの訪問者で、かつアンケートに答えて下さった方のご回答となりますので、そこには当然偏りが生じ、全体の好みを示すものとは程遠いですが、ある程度の参考にはなるだろうと期待したいと思います。
- 問、あなたが好きなタイプのヒロインを3人選んで下さい。ただし、この質問では、あなたは恋愛ゲームにおけるキャラクタ間のバランス等を考える必要は全くありません。あくまであなたの好きなタイプを並べて下されば良いのです。また、どうしても3系統を選べない場合は、同じ系統を選んでも構いません。(※1)
友人系 | | 72 |
お淑やか系 | | 71 |
裏ヒロイン系 | | 49 |
スポーツ少女 | | 47 |
内気系 | | 47 |
ロリ系 | | 45 |
表ヒロイン系 | | 41 |
真ヒロイン系 | | 39 |
病弱系 | | 32 |
真面目系 | | 32 |
お姉さま系 | | 31 |
大人系 | | 24 |
子供系 | | 22 |
眼鏡っ娘 | | 15 |
タカビー系 | | 13 |
その他 | | 25 |
※なお、1つの回答につき全て1pointとして計算し(つまり1人の回答で3point)、重複(同じ系統に2point以上)を認める。
……って必要以上に偏っている気がしないでもないが。(笑)この集計結果を基にすれば、ヒロインが3人のゲームでは、「お淑やか」で「内気」で「病弱」な「裏ヒロイン系」と、「スポーツ少女」な「友人系」と、「ロリ系」を選んでおけば、3キャラでも60.0%をカバーできるということになるだろうか。(笑)更に1人はタイプなヒロインが見つかる可能性は93.6%…ってそれは単なる確率計算に過ぎないが。(笑)(ちなみに4キャラなら「真面目」な「表ヒロイン系」を付け加えればTotal:72.1%、1人は入る確率は97.8%となってほぼ完璧。(笑))
2.恋愛ゲームヒロインに見る女性観
数字遊びは置いておいて、さて、日本男性の伝統的女性観は大別すると3つしかないとされている。それは「聖女」「母」「娼婦」である。すなわち、「守ってあげたくなる(清き)対象」か「包んでくれる対象」か「犯したい対象」しかないのである。そして恋愛ゲームヒロインたちも、現時点ではこれらから大きく逃れることは出来ていない。恋愛ゲームが「少女幻想」と「恋愛幻想」から構成され、(彼らにとって)古き良き女性観の具現化ということを考えれば当然とも言える。その中でも基本的にはロリ清純系がベースになることは、ほぼ間違いないだろう。ロリというと何か勘違いされるかもしれないが、要は無垢で穢れない聖少女としての存在であり、実際アンケート結果からも上位の多くがこの「聖女」性を含んでいることが窺い知れる。(※2)
ただ、今回の結果からは、必ずしもこの3つだけでは解釈しきれない部分も含んでいることが考えられる。具体的にはかなり上位に入っている「友人系」や「スポーツ少女」というのは上記の3タイプでは必ずしも説明しきれない部分があると思われるのである。実際のゲームを見ても少なからずこういった(主に「元気系」に通じる)キャラが登場して来ており、これは新しいムーブメントと捉えられるだろう。
これについては、いくつかの解釈ができる。まず、(1)女性の社会的地位の向上に伴い、男性側でも、比較的若い人たちの中には女性と対等な関係を望む人やいわゆる「フェミニスト」が増えてきたことが挙げられる。もっとも、そういった「理解ある」人たちが必ずしも恋愛に恵まれる訳ではないという逆説的な現象も起こっている訳だが…。(笑)次に、意外と大きいと思われるのが、(2)性についてより解放された時代が訪れたのとは逆に、セックス下手、あるいはそれほど関心を持たないセックスレスな人たちが増えているということである(もちろんそれが環境ホルモンの影響とは思えないが(笑))。従来の恋愛観とはかなり異なり、趣味や価値観を共有でき一緒にいて楽しめる、リラックスできる、あるいは趣味や仕事においてお互いに良い刺激となるような、「友達カップル」が次第に普及して来ているため、そのような関係がゲームでも求められているのではないか、ということである。「腐れ縁」というのはそれにあたるかもしれない。ただ、恋愛観の変化への対応だけでなく、(3)「友人系」に含まれる場合もあると思われる(そう理解して回答された方も多いと思われる)「幼なじみ」の場合は、全く別の考え方が必要で、安心感、つまり恋愛成就に必要とされる努力や活動を大幅に軽減してくれる存在という部分が大きいし、(4)「スポーツ少女」の場合は概して恋愛に疎いという設定が付属している場合が多いから、恋愛に自信がない者の優位性の維持ということになってしまうかもしれない。
3.ヒロインの作り方(基礎)
このことを踏まえて、良い(売れる)恋愛ゲームヒロイン像というものを考えてみよう。(※3)もちろん、恋愛観、そして恋愛ゲーム観が人によって大きく異なるように恋愛ゲームヒロイン観も人それぞれなので、あくまで一般論にしかならないが、表層的な大部分を決定付けるのが「属性」という考え方である。
キャラクタの属性うんぬんは本来崇高な(笑)作品性から恋愛ゲームを遠ざけてしまうものなのかもしれない(というか恐らくそうなのだろう)が、現実問題として売れなければビジネスとして成り立たない訳で、しかも、多くの(お金を出してくれる)コアユーザは、何だかんだ言ってもステレオタイプなキャラクタが好きであるということが明らかになっている(笑)から、考慮せざるを得ないのである。(笑)
そこで、分かりやすい作り方というのは、まず基本となる(重要度の高い)お約束な属性を1〜2個程選択する(※4)。ただそれだけでは他との差別化のつかないそれこそありがちなキャラクタになってしまい、わざわざそのキャラクタを攻略する意義が見出せなくなってしまうので、何らかのオリジナリティが必要になる。そのオリジナリティは、意外な属性を組み合わせてやるか、あるいはシナリオやイベントで独自性を出すかどちらかだろう。ステレオタイプだと分かっているのにハマってしまうキャラを作るためには、ここでもやはり「お約束」+「独自性」の程良いバランスが大切になる。
系統としては、1のアンケート結果は偏った参考にしかならないとしても、2の男性的女性観というのはは考慮せざるを得ない。行きすぎた「媚び」は確かに拒絶感を起こすが、極端な事を言えば、全く媚びていない(そして売れる)キャラを作るのは至難の業であり、シナリオ側の負担が非常に大きい。一般的な「ロリ清純系」を採用すればましてそうだ。そこで、実質的には媚びていても、いかにユーザにそれを意識させないようにするかが鍵となるだろう。そして、彼女たちの生き生きとした生の描写によってそれが可能なはずだ。「友人系」や「元気系」ならもともと作りやすいのだが…。
もちろん、厳密には本当なら恋愛健常者のための恋愛ゲームを作ろうとするのか、恋愛障害者のための恋愛ゲームを作ろうとするのかで変わってくるのだろうが、ビジネスということを考えた時に、恋愛健常者をどこまで意識すればいいのかが難しいところだろう。(笑)
appendix.アンケート結果補足
補足として、「恋愛ゲームヒロインに関するアンケート1」のその他のご回答や理想的なヒロイン像に関するコメントを載せておきます。中には非常に楽しませて頂いたものもありましたので…。(笑)なお、ヒロインの人数やバランスの問題については後の講に回させて頂きます。
- 『その他』とまず書いたのは僕のベストヒロインは波多乃神奈(この世の果てで恋を唄う少女YU-NO)であり、彼女の系統はよくあるのだが言ってみれば『不幸系』(ダウナー系とも言う)。この系統には同級生2の桜子やTo Heartの琴音、ONEの茜などが含まれると思う。彼女達は過去もしくは今も辛い事があり、それを引きずって生きている。そんな彼女達を助けてあげたい、笑顔が見たい、というのは僕の性でありだいたいゲームをやるとこの手のキャラに惹かれる。
- 「その他」について。……綾波系。(爆)こういう無口な娘もなかなか……。(爆爆)
- アヤナミ系はかならず入れるよう法律で制定してほしい。
今人気な「ダウナー系」「ミステリアス系」な訳ですが…法律って。(笑)
- 昔のヒロイン像というのはときめもの「藤崎詩織」に代表される完璧な女の子だったと思うのですが今はTVの中のアイドルと同じで友達のような女の子に変わっているのではないかと思います。
- 理想的なキャラクタ像は、<破滅型>でございます。ま、色々解釈ができて、どんどん深みに落ち込んで行くようなシチュエーションがいいな、と。
- 「その他」ですが、これは「幼なじみ」です。互いに気心が知れているという関係には、属性を超越した力があります。
- その他は「幼馴染」です。「友人系」に入るのでは?いえいえそんな事はありません。(笑)やっぱり「幼馴染」は別格です。(笑)
- 妹系。(汗
「妹系」がなぜ受けるのかというのは、恋愛ゲームの場合は近親相姦とか背徳的だから萌える訳ではなくて、「守ってあげたい」に加えて、これも「幼なじみ」同様「安心感」と結びつけて考えた方が良いでしょうね。
- とくにないが、古風な女性がいい。
- 純和風な人かな・・・。
- お嬢様でなくてもいいから、お淑やかな娘。髪型は基本的にロング・ストレート。もちろん黒。一般常識・教養はそこそこだけど、天然ボケも少々。貞操観念はしっかりしてる。幼馴染みで、両想いなら、完璧。
- たいそう攻略の難しいキャラクターが一人、天然ボケはいってるぽやや〜んとした子が一人、いると萌えます。(笑)
現代瀕絶滅種系はやはり人気がありますね。(笑)
好みです、っていうか、それ恋愛ゲームなんでしょうか?(^^;
- 好きなキャラとかはいるんですけど、「理想的な」キャラとかっていうのはいないです。一見してある程度動きが予測できるキャラがその通り(お約束的に)動いてくれるのもいいですけど、いい意味でこちらを裏切ってくれるのもいいですから。ユーザーに気にいられるキャラを創るっていうのはビジネスとしては必要なのかもしれないですけど僕は制作側がわがままになってもいい部分、っていうのはあるのではないかと思います。選択権を放棄してるようにもみえますけど、制作側が心血そそいで創ったキャラを「キャラが立ってない」の一言でバッサリ、というのも…(心情的に)。それに小説家が好かれる主人公を創るためにリサーチしてるっつーのも聞いたことがないですし。とにかく来たものを消化していくだけです。
もちろん我が儘でもいいですし、制作者の好みを出してくれてもいい訳ですが、それが許されるのはそのゲームがユーザに受け入れられてこそですから…。(笑)
- それで、私自身にとってそそるキャラって言うのはどういう娘か考えてみると、結局、ある程度自分に共通する性格を持った娘である、ということです。具体的には、私の場合は、真面目系で堅苦しいちょっとコンプレックスのある娘、でしょうか。(自分で自分のことを真面目だと言うようなのは世話ないのですが。(笑))こういうキャラは、ぱっと見で好きになってしまいます。なぜこういうことになるのかというと、「自分と似たような境遇の娘なら、自分のことを理解してくれる、そして、好きになってくれるかもしれない。」という手前勝手な考えのせいだろうと思っています。
自分に似ている、っていうのは実際相当あるでしょうね。逆に、そのヒロインに感情移入する場合もあるでしょうし。
- キャラクターの魅力をユーザーに知らしめるのはシナリオであり、シナリオの善し悪しがキャラクターの人気に影響するのではないか。現実でも、よく人は見かけより性格だというけど、結局性格というのは他人がその人の行動を見てしか判断できないものなのだから。つまり、性格を好きになったわけではなく、その人との出来事を好きになったに過ぎないんじゃないかな。だから、ゲームにおいても、性格の設定資料を読んだだけでは誰も好きにはれないでしょう。イベントを通じて、この子良いなって思うわけで。だから、結局シナリオなんでしょう、すべては。だから、ストーリーとキャラクターは切り離して考えられないのではないでしょうか?
- ヒロインのイメージは最初からある程度固定されていて、だからこそ惚れる訳なんですけど、実際には恋愛関係へと発展していく中で自分も相手も変わっていくものですよね。その辺をシミュレートできないかっていう想いはあります。まあジャンル的には「恋愛育成ゲーム」なんてのがありますので、それでいいのかなって気もしますけど(育成とは違うか)。マルチエンディングなら、性格の変わっちゃった彼女ってのも面白いと思うんですけどね。あんまし変り過ぎると、それは変化ではなく調教になってしまいますが(爆)。
っていうか、お互いが自発的に変えて行くのであって、他者によって強制的に変えられる訳ではないのでは。(笑)確かにそういう相互の成長過程を表現できたら理想的なんですけどね。
- 思ったことはズケズケ言うような、強気で、こっちの気にしていることでもガンガン言ってくる娘が好きかも。(笑)さらに、思いっきり「避けてくる」娘はいいです。萌えます。あと、「トップレベルの成績又は頭脳」と「驚異的レベルの雑学」は必須です。(^^;
- 理想的なキャラクター……うーん、シナリオのことを考えずに、純粋にキャラ面だけで、ということだと……やっぱり「強い」人に惹かれますねぇ。あ、肉体的にではないです。(^^;この場合の「強い」ってのは精神的な気高さ、凛々しさみたいなものとゆーことで。それが時折見せる脆さ、みたいなのにはもお。(爆)ただまぁ、これはあくまで特殊な需要であって、ヒロインであることはまずありませんねぇ。特に恋愛ゲームでは。
- 作る側としては永遠の課題ですね。(笑)とりあえず、現状の流行等を勘案しつつ、幅広い嗜好の方々をフォローでき、かつ、そのどれにおいても「萌え」る方々にとって遜色なく、それでいて、既存のキャラジャンルを打ち破るような一面を兼ね備えることができれば良いなあ、と考えております。
んー制作されてる方はやはり同じ事をお考えになっているのでしょうか。(^^;
- 個人的には、独特な(特有な)髪型や服装をしている娘に魅力を感じます。
- ○不幸少女:まず、今までやりましたゲームの中でも現実の世界でも、私にとって一番好きなタイプは悲劇のヒロインだろう。このタイプは初めて会った時や中盤(ゲームで)までほとんどミステリアスな雰囲気を持ち、実は物凄くトラウマのせいで今でも周り環境などで不幸な遭遇により守って上げないとガラスの様にコナコナに壊れる…こんなヒロインはやっぱり心を打たれます。絶対彼女を幸せにしないといけない気がします。他には病弱付きも含めますが。恋愛ゲーム内でこのタイプが一旦登場しますと私が完全にKOしますよ。(爆)
○レズ気:ただ行き過ぎた同性の先輩などに憧れるではなく、正真正銘のレズです。まぁ、世間の目から見ればマズイ言うが、私は同性愛に対して偏見や差別しない。むしろ、同性同士の結婚を認めますから。それからゲーム内でもこのタイプでは主人公が女性だったら恋愛対象しやすいですが、もし男性の場合だったら凄く攻略が難しいです。彼女がバイじゃないと。でも、彼女の同性愛などのその立場を理解し、なお本当の愛を貫く事が出来ればきっと彼女は振り向きます。たぶん主人公が彼女と付き合う事になってもまだ女性も愛しているなら認めた方がいい。例えこれで三角関係になっても強引きに彼女達の関係を引き離す事は禁物です。
○ロリータ:う〜む、これは8才から14才対象の女の子がタイプので、凄くヤバイ!(^ ^;;; だけど、私は愛に年や性別など全然拘らない主義です。まぁ、自分として恋愛観は肉体的 よりも精神面だから一緒にいればよいです。…これで犯罪と言われるけど、好きになってしまったらもう関係ない。世間から白い目に見られるなどさまざまの障害があるが、二人の愛はなんとか乗り越えていくだろう。後、このタイプはかなり年上の主人公を片思いし、おまじないでなんとか主人公を振り向かそうとする設定もいいが(もちろん主人公は知らないが)。
これはしっかりと書いて下さいましたね。(^^;
- 恋愛ゲームのヒロインにおけるジャンル分けが、近頃画一化されすぎていませんか。某大手メーカーのような、箇条書きにしたら2,3行で終わってしまい、あとが続かないようなヒロインに、みなさんはときめくのでしょうか…。美少女ゲームが、単なるCGとストーリー回収の作業になってしまっている人、多くないですか?失礼ながら、問のような設問による集計は、あまり発展的な思考をもたらさないのではないか、と…。
そりゃ「作り方」と言うからには、「売れる」ヒロインを作るのに発展性はないでしょう、当然。(笑)しかし、繰り返すようですが、恋愛ゲームの場合、作品性が評価されうるのはそのゲームが売れて、ユーザが実際に遊んでから初めて、なのですから。そもそも、今後もし万が一(笑)、恋愛ゲームが進化するとして、それはシナリオやシステムによるものであることはあっても、キャラクタ(の設定)によるものではないでしょうから、恐らく。
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※1、後で考えると必ずしもベストな分け方ではなかったか……?そもそも分けたその系統の意味が分かりにくいのではないかという話もあるが…。
※2、ちなみに恋愛系ゲームではそれほど縁がないが、鬼畜系ゲームでは主に「娼婦」性を持つことはお分かりだろう。
※3、ご存じの通り、恋G学ではゲーム自身の作品性とともに、メーカから見た商品という点を重要視している。
※4、その際には是非属性encycropediaやRagnaをご活用頂きたい(宣伝(笑))。
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