この章では,必要なパーツを揃えるのに必要な,次のようなことがらについて説明します。
・回路図から,必要なパーツの割り出す方法。
・個々のパーツについての説明。
・購入する際の注意点など。
回路図に記載されているのは次の情報です。
1 必要なパーツ(部品)(本章で説明します)
2 パートとパーツをどうつなぐか(後の章で説明)
3 電気を流した時,どこに何ボルトの電圧が発生するか(後の章で説明)
では,回路図4-1を例に使用されているパーツを見てみましょう。
この回路図は,801Aイコライザーアンプの回路図をもとに,部品のみを表示したものです。
丸い回路図記号が真空管,線がグルグルと巻いてある記号はトランスの回路図記号です。
佐久間アンプはトランス結合ですので,真空管とトランスが交互に並んでいます。
抵抗(赤色の回路図記号),電解コンデンサー(緑色),オイルコンデンサー(水色),ボリューム(ハムバラ)(ピンク)も使用されています。
なお,回路図記号が縦に描かれたり,横に描かれたりしていますが,これは作図の都合によるもので,同じ記号であれば,縦向きに描かれていても横向きに描かれていても同じ部品を意味します。
電解コンデンサーと似た記号(オレンジ色)がいっぱいありますが,これはアースの記号で,なにかの部品を示しているわけではありません。配線の時に,これらの記号の箇所をつなぎ合わせる,というしるしです。ここで配線が途切れているわけではありません。
回路図によっては,アース記号ではなく,実線で繋いだ表記になっているものもたくさんあります。
次に回路図4-2をご覧ください。
各部品の近くに文字や数字を記載しています。
これらの文字や数字は部品の製造会社,型番などを現しているのものです。
このアンプに使用されている真空管はRCA社製の5691,42,801A,それから,整流管の83であること示しています。
真空管には数種類の電極が内蔵されています。その呼称を右に示しておきます。
このアンプは,801Aはプッシュプルで使用するので,2本使用されています。
5691の後の(パラ)は,真空管の型番を示すものではありません。5691は二つのユニットがひとつの真空管に入っています。そのふたつのユニットをパラレル接続して使うと言う意味です。
また,42のあとの「三結」ですが,42という真空管は内部にいくつかのグリッドを持っており,そのグリッドの配線によって,ことなる動作をさせることができるようになっています。このアンプでは,そのグリッドを三結(三極管接続)で使う,という指示です。
42のほかにKT66やEL34等の真空管もよく三結(三極管接続)で使用します。
トランスはタムラ製作所の,TKS-27(入力トランス),A-342,TN-347(ドライバートランス),A-4734(アウトプットトランス),PC-3004(電源トランス)。また,チョークトランスのA-4004が2個も用いられています。
TKS-27には,300Ω:100Kと記されていますが,このトランスが「TKS-27 300Ω:100K」という型番,というわけではありません。
トランスは巻き線のつなぎ方で,数種類の値が選択できるようになっています。
この場合は300Ωと100Kの組み合わせで使用する,ということを示しています。
100Kの後にはΩが略されていますので,意味するところは,使用するのはタムラ製作所製のTKS-27というトランスで,巻き線を300Ω(Ω):(対)100KΩ(キロオーム)になるように設定して使用します,ということです。