Research
2003年ベスト恋愛ゲーム投票─(3)総括
恋愛ゲーム学補講 第36講
2004/06/14初版
1.2003年の全体的な印象
問、2003年の全体的な印象、2004年の恋愛系ゲームに期待することなどをお書き下さい。
最後に、これまでに取り上げなかった、2003年の全体的な印象と、次項に2004年への期待をまとめる(ゲーム名の統一性や誤字等文意と関係ないところで一部編集しているものがありますのでご了承ください)。
- 今まで美少女ゲームはあまり続編物が作られなかったようだがだんだん目立つようになってきたような気がする。(自分がこの世界に入ってあまり時間がたっていないのでちょうど今そう思うのかもしれないが。)前作が良かった作品の続編が出れば飛びついてしまう。しょうがない。続編を出せば安定して売れる。出す。しょうがない。一般ゲームを見る限り良い事ではない気がする。でも「ブランド」という不思議な文化が成り立っていて「あのブランドは…」と語られることが多いのであまり問題無いのかもしれない。
- ゲームのシナリオは2002年よりよくなったと思います。シチュ萌えとフェティシズムの年になったようで、それにもっとオタクの生活をゲームに持ち込んだようです。
- 2003年の印象としては2001年の「君が望む永遠」、2002年の「Ever17」のような屈指の名作は出てこなかったものの、そのちょっと下の良作が2002年よりずっと数が多く幅広かったような気がします。
- 今年は、どれも展開が読めてしまうものが多く、倦怠感があった。また、テキストのだれるような展開が多いものも目立った。来年は、素晴らしいシナリオと、それを引き立たせるテキスト。演出を盛り上げる音楽の充実した作品が多く出ることを願う。
- 今年は総合的完成度の高い作品が極僅かで、選択した理由はどれも一芸的。来年は、総合的な完成度の高い作品を多く期待する。
- 今年の総評: 業界を席巻するほどの勢いのあるゲーム(ex.「Kanon」や「君が望む永遠」)はありませんでしたが、そのぶん良作が揃った1年だと思います。ただ、ゲームのDVDリメイクやコンシューマー移植の際の大幅なキャラクター増のような商業主義的な面も多く見られたと思っています。まぁ、仕方ないのかも知れませんが感心は出来ません(特に後者)。そんな力あるなら新しいソフト制作に注いで欲しいです。
来年の展望: 「Fate/stay night」と「CLANNAD」の発売が楽しみです。あと苦言を呈するなら、アクティべーション化には反対ですね。言い尽くされていると思うのでこれ以上は言いませんが。 - 2003年は、ターゲットを絞ったゲームが増えたと思います。今までの王道といえば複数のキャラクターが登場し、それぞれ異なる特徴を持っているため、たいていの場合は誰か1人はお気に入りのキャラクターがいる、という物でしたが、最近ではメインとなるキャラクター数は2〜3人とし、特定の嗜好を持つユーザーを狙った展開を打ち出した作品が見受けられるようになりました。分かりやすい例としては、お姉さん系(「お姉ちゃんの3乗」や「ドキドキお姉さん」等)や妹・ロリ系(多数)等。このようにユーザーを特定した製作方針を決め込むことにより、開発費、しいてはソフト価格の低減が図れ、ユーザーとしても購入しやすくなって市場の活性化に繋がるのではと思います。美少女ゲームはいろいろと弾圧を受けやすい分野ですが、その中で確実に発展を遂げた年と思われます。
- 結構機種移植によって名作が今年に流れているのでそれは投票しないことにしました。完全な2003年作品としてはSRPGやSLGの大作がエウシュリー、アリス、ザウスから年末に立て続けに出てうれしいような困るようなw
恋愛特化というかADVやノベルでは、少ないながらもシナリオ、テキストがかなり良いものが出た年でもあると思います。
2004年への期待年初めのTYPE-MOONの「Fate」を口火に面白い、あるいは萌える、燃える作品が出ることを期待したいです。あとは延期しているタイトルをさっさと出してください、各メーカーさん。 - 昨年同様全体的に小粒だったかのような。やはり2001年の「家族計画」「君が望む永遠」といった超大作が出た! といった感じは出なかった気がします。無駄に長く、萌えばっかりでテーマや主張のないのゲームが多すぎ…。それと流行なのかわからないけど、鬱ゲーというものも多すぎでした。個人的に好きではないので…。泣けて笑ってハッピーエンドみたいなものが好きなので、こういったコメントしかいえません。スイマセン。
- 2003年の全体的な印象について: コンシューマーゲームを買った本数自体が少ないのでなんとも言えないですが、感動できるゲームに巡り会えた良い年であったと私は思っています。
2004年の恋愛系ゲームに期待することなど: 今年も良いゲーム・感動するゲームに出会えることを期待していたいと考えており、今後とも恋愛ゲームが良い方向に進んでゆくことを期待しています。 - 2003年は発売前に大騒ぎしていたのにその後はあまり盛り上がらないゲームが多かったような…(海月とか空箱とか)。
- 萌える・エロいとか、作りが丁寧とか、当たり前のことが着目され、評価される作品が多い年だったと思う。それだけ大作がなかった年なのかもしれない。今後はゲームならではのエンタテインメント性に重みを置いた作品に期待したい。そういう意味で、「Routes」や「Maple Colors」が面白かった。
- どうも、2003年は全体的に小粒な作品が多かったように感じますね。去年はエロゲ界全体に壁を破れず頭打ちになっているような閉塞感がありましたので、2004年はこの閉塞感を打ち破っていくような力ある作品が欲しいですね。
- 大作がたくさん出た年ではなかったでしょうか? それと、面白い、面白くないがはっきりと別れてた感がありました。今年は色々と期待しているソフトが多いので楽しみです。
- 18禁ゲームに限って言えば、以前よりブランド数と発売タイトルが増加した分、面白い作品も多い1年だったように思う。
- こういう企画では感動系が圧倒的に強いのと、シナリオを認める形でギャルゲが一般ゲーとして分類されることを願う。
- まぁ今年は当たり年かと。「大番長」買ってきます。
- ギャルゲ黄金時代と言っても過言ではないと思う。
- プレイ本数が少なかった割には、当たりはかなり多かった気がする。「Cross Channel」 はかなり良かった。2004年は「CLANNAD」に期待したい。
- 2003年はまぁそれなりだったと思う。例年比で考えると、あまり興味を惹かれるものが無かったと思う。2004年はもっと趣味に当てはまるゲームが出ることを期待したい。少ないだろうけど。
- 2003年の傾向だが「小粒なりとも…」という印象を感じます。突出したゲームこそなかったと思われるのだが、八分以上で楽しめるという作品数はかなり出ていたように感じられますからです。これはこれである意味望ましい傾向だが、ベストゲームを選ぶには非常にハンデになっています。個人的な事情もあるが評価が高いであろう作品をプレイしたのが「Clover Heart's」のみだったから、というある意味情けない意味での1位である。他の有力作品をやってころっと順位が変わる可能性は大きいのだが、それでも2003年作品で五指に入るだろう、ということで1位にしました。2位に「結い橋PRO」は廉価企画を評価してですが、自分が他に有力作品をしていないから、という消極的なレベルです。3位「水夏〜全年齢版〜」は遅ばせながら昨年やっとプレイしたためです。そういう意味では、2003年の作品をある程度まとめてプレイして真に1位になるのでは何と判断するのが難しい、そのくらい2003年は数こなさないと的確な判断ができない年だったとも言えるのでは。良い意味では競争力の下地ができた、という望ましいことだが決して大きくない恋愛ゲーム市場、決定的な持ち味を持っていないとある程度のメーカーでも消え去る危険を持っているともいえるのでは。2004年はおそらく2003年の傾向をそのまま引きずるのでは、と思います。傑出した作品は出ず、一定レベルクリアの佳作がぎょうさん出るといった。明らかにイニシアチブを取るメーカーも要素もないのでどこも手探りなのではないでしょうか。「CLANNAD」がついに登場するとはいえ「AIR」から3年半過ぎ核となるユーザー層も指向も変わってしまった現在ヒットこそすれ「AIR」のような影響力は起こらないでしょう(その意味でも2003年中に出すべきだったのでは)その意味では新しい恋愛ゲームの時代の萌芽となる作品、メーカーの登場を期待したいところなのですが。正直的確な判断でベストゲームをその1年中に示すこと自体、もう困難な時代な気が少し感じられた1年でした。
- 過去の作品のリニューアル版やフルボイス版が多すぎました。正直新規のファン開拓というより、プレイ済みのコアなファンを狙っているようにしか思えません。まあ、何本か買っているので、偉そうなことは言えませんが。メーカーにも事情があるのかもしれませんが、もっと純粋な新作に力を入れて欲しいです。
- BGMに関してここ数年で、「演出」としてのBGMのレベルは格段に上がったと思う。その点で言えば既にどのブランドの作曲家も大差ないといえるだろう。しかし、その分、一部では「音楽作品」といてのBGMがおざなりになっているのではないだろうか。一般に、音楽の三要素と呼ばれているものはメロディ(旋律)、リズム、ハーモニー(和声)であり、このうち、リズムとハーモニーはBGMが演出として発展するうちにその一部として発展してきたが、それに囚われるあまり、メロディが貧弱になってしまっている曲をよく耳にする。また、メロディのみに気をとられ、ハーモニーが不自然になってしまっている曲も少なくない。メロディに関してはボイスや効果音のために目立たないよう抑えたと言われることもしばしばあるが、それは本末転倒というものではないだろうか。プレイ中、常に流れているものだからこそ、BGMはゲーム全体のイメージを大きく左右する。印象に残らない曲が多いと、その分ゲームのイメージも稀薄になりやすい。これは2004年のゲームだが、「空色の風琴」のBGMの作り方や使い方は見事だったと思う。各キャラのテーマ曲からそれぞれ性質の全く異なる3種のアレンジ曲を作りそれを使い分けることで統一感をもたせていたり、演出としての「無音」を上手く利用したりしていた。このようなものの他にも工夫はできるはずだ。制作者はゲームにおけるBGMの重さをもう一度よく考えるべきではないだろうか。2004年についてとりあえず「CLANNAD」発売。さすがに待たされすぎで興味も薄れ気味ですが…。やはり制作者側には発売日というものに関してもう少し節度というものを持って欲しいです。というか、あんまり延期してると売り上げの低下にも繋がって自分の首を絞めるかと。
- 2003年は近年まれにみる「話題作」の多かった年だと思いますが、その一方で「話題作=大方から見て良作」という等式が崩れた年でもあると思います。(「Lovers」やら「マブラヴ」やら「SNOW」やら…) 自分の趣味にあったゲームか否かを自力で情報収集しないといけない時代になったということかもしれませんし、そうであるならメーカーも「これはこういうゲームだ」ということをもっとはっきりと事前に公開した方がお互いの利益になるのではないでしょうか。(とにかく何か一点セールスポイントを大々的に売り出して話題にならないと目に触れることすらなく埋もれていってしまう、というのもあるかもしれませんが…)
2004年は…恋愛ゲームが社会的に認知されなくてもいいから法的に規制されないでほしい、と切に思います。
全般的に、2003年においては、多くの作品で、レベルの底上げが伺え、ユーザの捉え方も好印象であったと言っていいが、2001年から続く小粒感が払拭されたとは言えないようである。
もっとも、恋愛系ゲーム業界が市場的に厳しくなってきている状況では無理もない。ポーターを持ち出すまでもなく、体力のあるメーカは大作を長い期間をかけて開発し、リリースすることが可能だが、そうでない場合、ターゲットを絞り、属性やコンセプトの特化により、限定的なリソースで、ニッチマーケットを狙っていくしかない。今後もこの2極化は進んでいくだろう。
個別の属性やコンセプト流行廃れについては機会があれば別途まとめてみたい。
2.2004年への期待
- とにかく純愛系のゲームでは、主人公を必然性もなくダメ人間に設定することをやめて欲しいと思っています。プレイするときに感情移入しにくくなってしまい、ゲームから得られる感情が少なくなってしまうので。
- ストーリーがなきゃエロゲじゃない。と思うのは私だけではないはず…。
- ロリショタ混交作品希望(爆
- とりあえず2004年は発売が延びるゲームが無いように願いますが…。
- 2003年はどうも出来にかなりの格差が見られた。2004年はついにKeyから「CLANNAD」がでる。一番初めにやったギャルゲが「Kanon」でいまだにかなり好きなので期待は高まるし、「C†C」と同じライターの書く「最果てのイマ」がでる。しかもコンシューマでは「C†C」がでて、「R11」も出る。色々期待できるゲームが来年もあるだけに楽しみである。
- 2004年は、今までの恋愛系ゲームにプラスアルファされた要素(システム、もしくはシナリオ的に)のあるゲームを期待しています。
- 中学生という設定を強調したシナリオなど、コンシューマであることを活かしたゲームが欲しいです。
- そろそろ「萌え」のみはいらん。泣きゲーもいらん。安易な感動なんぞクソ喰らえだ。死にそうな奴が助かれば感動なんぞ最悪もいいところ。誰でも解るハッピーエンドよりも、芯の通ったバットエンドの方がシナリオが出来ている物すら数が少ないのは業界の責任とも思う。それ以前にユーザーの質の低下の方が問題ではあるけれど。バカゲーもいらない。
- 2004年には「CLANNAD」発売してほしいなぁ。
- 2004年? エロゲーの年「CLANNAD」の年かな? 2004年は期待できるギャルゲーなさそう…。
p.s.全てのゲームにおいて「水月」に勝るものなし。「水月」万歳。 - 2004年は、既に「SHUFFLE!」で強烈にハマっておりますので、コレを超えるようなゲーム…一番期待しているのは、「SNOW」で成功を収めた、スタジオメビウスの「友達以上恋人未満」に始まり、今年一番のビッグタイトルであろう、「CLANNAD」が期待を裏切らないのか…そして、今年中に発売すると公言した「マブラヴオルタネィティブ」が本当に発売されるのか。(笑)
それらが注目株だと思います。今年も、期待期待…ということで。 - 2004年は魅力的な女性キャラだけでなく男が惚れる漢キャラや親父キャラが多数出てくるゲームが増えることを期待します。
- 2004年の期待としては、もちろん「CLANNAD」である。4年という期間を通じて作られた彼らの作品に期待半分、これで駄目だったらこの世界ともおさらばだなーという覚悟半分と言ったところ。このユーザーの予想を軽々と上回る、方向を拓く作品であればよいのだが。
- 読ませるシナリオ、テキストを望む。恋愛だけに重きを置かない作品も期待したい。
- 最近、バカゲーというようなゲームが増えている気がします。シナリオのよいゲームを期待します。
- 2004年は現状として「Fate」一人勝ちが続いているが、あのレベルに肉薄するものがでることを期待したい。
- 2004年は前年中に延期を繰り返した作品が多く発表されることが目されていることから、2年ぶりくらいの豊作の年になるのではないかと期待している。すでに発売された「Fate/stay night」の他、「CLANNAD」「マブラブ・オルタナティブ」「機神咆吼デモンベイン」「To Heart 2」と、名のあるタイトルが揃っており、どのような受容のされ方がするのか、今から楽しみといえる。
発売延期への苦言が多いが、これはプロジェクト管理とマーケティングの問題であり、職人肌のクリエイタに求めるのも少々酷。きちんとできていないところは専任の管理スタッフを立てた方がいいと思われる(そんな余裕がないからこんなことになっているのだろうけど)。
筆者の場合、しきりに演出力の強化を訴えている訳だが、要素技術としては、Flashのようなベクタ系アニメーションがより高度な演出ニーズに答えるべく取り込まれていくのではないかと見ている。3Dゲームでレンダリングムービーとリアルタイム描画のシームレスな接合が行われたことが、2Dではベクタ系アニメーションで行われるのではないか(同じようなことを以前も書いているが)。
個別の作品としては、アンケートを行う時期も関係あるのだろうが、「CLANNAD」に期待が集中。果たして応えられたのだろうか。
3.投票の終わりに
- 99年から参加させて頂いているこの投票、どうやら私は今回で最後の参加となりそうです。恋愛ゲームなぞ殆どやる事もなくなり、今年買ったのは「Lovers」「夏色こみゅにけーしょん」「大番長」と大手の作品のみ。しかも殆どやっていません。年々この手のゲームに対する情熱は薄れていき、それが歳を取ったからなのか、ゲームがつまらなくなったのか、その両方なのかと考えてきました。PC-98の時代から随分と時が流れ、しかしゲームの内容はそれ程変わっていません。多分私が歳を取ってゲーム以外の事に重きを置くようになったから、それ以下でしかないゲームは必然、つまらなく感じてしまうのでしょう。98〜99年と丁度18歳だったあの頃は、ゲームをしたり、批判したりするのがとても楽しかった。そろそろ卒業ですね。
2003年、そして2004年は「Kanon」や「AIR」のKey世代が抜けていく時期である。今は「君が望む永遠」や「D.C.」で育った(?)世代が主流であると思われるが、それもやがては去っていく。果たしてどんな作品が新しい世代を捕まえていくのだろうか…? ともあれ、お疲れさまでした。
残念ながら、サイトコンセプトの変化のため、開設以来1997年から実施してきた、本ベスト恋愛ゲーム投票自体も、同様な形としては今回で終わりとなる可能性が高い。2004年は、「Fate」と「CLANNAD」の一騎打ちとなるのか、それとも第3の伏兵が出てくるのか、興味深いところではあるのだが。241名の投票頂いた方、集計を見に来て頂いた方、ここまでお付き合い頂き、本当にありがとうございました。