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12/03/31(土) 江戸たべもの歳時記
12/03/24(土) ローマ帝国
12/03/11(日) 選考に旨味あり?
12/03/10(土) 高慢と偏見
12/03/09(金) サイン/坊っちゃんの時代
12/03/03(土) 初春の夕べ
12/02/26(日) 紅梅白梅図屏風と仏料理店
12/02/25(土) アマサウネンとはなんぞや
12/02/23(木) 巨人の路
12/02/04(土) 名短篇さらにあり

2012/03/31(土)江戸たべもの歳時記

Amazon浜田義一郎『江戸たべもの歳時記』(中公文庫)読了。

表題のエッセイもなかなかだが、「舶来あまから考」の咸臨丸や遣米使等幕末に海を渡った連中の食にまつわるてんやわんやが抜群に面白い。当時の日本人は滑稽にして凛々しい。

全体から面白い所を以下に幾つか紹介。

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鮓のめし妖術といふ身でにぎり(柳多留108)

文政9年の句。忍者が術を遣う時と同じ手つきで鮨を握るということで、握り鮨の起源がさしあたり文政9年まで遡れることがこの句でわかる。
(鮨の最初は熟れ鮨・押し鮨で、握り鮨の起源は諸説あり)

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生玉子醤油の雲にきみの月(柳多留118)

生鶏卵北極ほどの穴をあけ(柳多留126)

北極などという地理的知識をもつところが珍しい。ともに天保年中の句である。

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銀座のビアホールライオンは戦前はカフェだったそうな。当時は女給カフェ全盛でタイガーというライバル店があり、美人女給目当てに永井荷風菊池寛等の錚々たる文士も連日通ったという。

カフェタイガーは女給の人気投票というイベントを行い、菊池寛は贔屓のお君という女給に150票を投じて一等を勝ち取らせたそうだ。投票権一票がビール一壜だったからこんな真似ができたわけだが総額900円は当時としては大金だ。どこかで聞いたような商法だと思ったら…

何の事はないAKB48の選挙と一緒ではないか。戦前のカフェが平成のAKB48なみなのか、AKBがカフェなみなのかは知らないが、アイドルボケから金を搾り取ろうとすると同じ戦略にたどり着くのかと思うと感慨深い。

陽の下に新しきものなし。


2012/03/24(土)ローマ帝国

Amazon青柳正規『ローマ帝国』(岩波ジュニア新書)読了。

「シーザーとクレオパトラ」の悪役オクタビアヌスがどんな人かとか、イエスに処刑命令出したピラトの役職がなんだとか何も知らんかったのでジュニア新書ありがたや。

「閉塞感の強い社会状況は人々の気持にも大きく作用し、わずかな天候の変化や個人的不幸に対しても過剰な反応をしめし、社会の活力をそいでいきました」

…現代日本のことではなく「ローマ帝国」からの引用です。

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エネルギーなんたら会議。反原発派はうさんくさく、原発派は説得力皆無。再生可能エネルギーなんていう趣味的なものはそこそこでいいから、プラズマ発電開発に予算ドンと付けて大逆転、と行かぬものかな。

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何の期待もなくBSで見始めた「ウォーリー」がやたら面白かったんですが。録画しとけばよかった。CGがどうたらよりやはり(いかにもハリウッドな)脚本がうまいね。ベストシーンは消火器利用によるアベック飛行です。


2012/03/11(日)選考に旨味あり?

女子マラソンを見ていて思ったが、五輪のような一発勝負の選手はやはり一発勝負で選ぶべきじゃないだろうか。

逆に大学入試のような人生や最短でも四年間が対象のものは一発勝負でなく年平均とかで選ぶべきと思う。聞くところによれば米国の大学入試と五輪選考(こちらは一発勝負)はそうなってるよし。

日本だと見事に逆である。こういうのこそグローバル化してもらいたいものだが、要は陸連や水連幹部による「裁量の余地」があることによって、色々と旨味があるのでありましょう。天下りがなくならないのと構造的に変わりません。日本が強くなるために大いにマイナスなんだけど、変わりません。

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走るのに実に気持ちの良い気候になってきたのだが、その後の鼻のむずむず度やくしゃみ発生率も比例してアップするのがたまりません。

2012/03/10(土)高慢と偏見

Amazonジェイン・オースティン『高慢と偏見』読了。

18世紀の、この恋の行方は?的物語がなぜこんなに面白いのだろう。ヒロインの両親の性格描写が笑わせる。

人気のロングセラーなので、複数の出版社から出ている。AMAZONのレビューを参考に、直訳風で読みにくいという評判の阿部知二訳の河出書房版を、荘重ぶりを期待して購入。読みはあたった…と思いたい。


2012/03/09(金)サイン/坊っちゃんの時代

Amazon古書店で目について買った関川夏央/谷口ジロー『坊っちゃんの時代』を読む。

漫画を読むのは久しぶりだが表現力の進化に瞠目。奥付を見ると20年以上前の作品なのだから私の前時代の遺物さ加減もなかなかのものだ。

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Tsutayaで借りた「サイン」を見る。

賛否両論毀誉褒貶というより悪評ばかりが目についたが、いい映画じゃないですか。どんでん返しとかないが、伏線が最後に見事に収束して感動に持っていく。

ナイト・シャラマン監督作品は好きだなあ。順序をつけるとアンブレイカブル・シックスセンス・ヴィレッジ・サイン。


2012/03/03(土)初春の夕べ

昨夜は八丁堀かく山で菊正宗二合×2本、蕪村お湯割り3杯、鰺叩、白子、鰯丸干、肉豆腐、薩摩揚他。さすが金曜日でほどよく混んでいた。

居酒屋のようなところに旨いものがある日本人に生まれて幸せなりと思う今日この頃ですが、イギリス人には食べ物を楽しむという感覚自体がないのでしょうか?(英国人記者が見た日本の不思議)「吉田類の酒場放浪記」などは大英帝国民には全く理解できない世界でありましょう。

朝ドラで尾野真千子最終回だったからか、見逃してた「火の魚」再放送ありがたや。オノマチと原田芳雄のかけあいが見事です。原作は室生犀星なんだ。

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味のわかる夢シリーズ:昨夜はポークのパイ包みと子羊のローストパスタ添え。なんで日頃縁のない小洒落たフレンチを夢に見るのだろう、貧乏人。後者の方がたっぷりのオリーブオイルで冷めないのがいいなどと批評しちゃうのも浅ましい。

などと夢の記憶をお茶うけメイン(サブは現実の煎餅)に熱い番茶をすする初春の夕方

2012/02/26(日)紅梅白梅図屏風と仏料理店

紅梅白梅図屏風」@MOA美術館.熱海。同時展示のNHKの番組で現代作家が銀箔流水を再現したレプリカに興味引かれていったのだけど…生で見ると光琳の本絵の凄さが圧倒的。頑張った作家さんには申しわけないが梅枝の線描の力が全然違う。

あざといエントランスなど、あまり好きな美術館ではないし、同館の他の光琳はあまりパッとせず、宗達や抱一の方がずっといいが、紅梅白梅図屏風だけはさすがです。これを見るだけでも行く価値はある。

拝観後、熱海の街を空腹でさまよい偶然見つけたフレンチに入って金目鯛のムニエルをいただいたが仲々の味。しかし名前がド・なんとか。私の弟の店も例外ではないのであまり強くは言えないが、フレンチは覚えてくれるなと言うようなネーミングをして損をしているような気がする。

そのフレンチを見つける前に地元ソーセージとハムの店を見つけ満席であきらめ、帰り際にソーセージとビールぐらいと思っていたのだが、先のフレンチでのランチ後は満腹で忘れてしまった。こんなときに老いを感じます。いくらでも食える歳ではない。


2012/02/25(土)アマサウネンとはなんぞや

Amazon根岸護衛『耳嚢』(長谷川強校注/岩波文庫)より。

南アメリカ州にアマサウネンといふ所あり。アマサウネンにて天河といふ事也とぞ。此山に女ばかり住む所あり。一年に一度づつ男に逢ふと言ふ。其外の時に男来れば竹鎗を持て防ぎ手入れずと言ふ。

アマサウネンとは「アマゾネス」とのことですね。江戸時代に南米の地理の知識とともに、ギリシャ神話の知識も混交して入っていたことがわかって、実に面白い。

伝えたオランダ語通訳が「これ漢土にいひ伝ひし七夕の事ならんか」と想像してるのがまた面白い。

耳嚢における章題も「漢土にていふ七夕之事」。


2012/02/23(木)巨人の路

今日の仕事場の近くで元バスケット全日本の岡山選手を見た。

芸能人やプロアスリートを見かけるようなとこじゃないが、なぜかでくわすのはプロレスのジョージ・高野、バレーボールのヨーコ・ゼッターランドと超長身ばかり。

巨いなる者が過ぎゆく場なのでしょうか。

2012/02/04(土)名短篇さらにあり

Amazon名短篇さらにあり』(ちくま文庫)読了。

中の岡本かの子(爆発だの母)のどじょう屋の話「家霊」が面白かったのだが、解説の北村薫宮部みゆきがどじょうをゲテモノ扱いしてるのがどうもいただけない。

宮部「柳川は開いてあるからまだ食べられますけど、通の人はあのまんま食べるんだそうです。『まる』といって、ううう」

…うううじゃないよ(笑)「まる」なんか通でなくったって食べるって。駒形で「まる」で一杯やりたくなってしまったではないか。

同書では林芙美子の「」も仲々よかったが、「一夜の値段を聞かれたのだと彼女は気がつくと腰のあたりがじいんとしびれて来た」とか「かあっと乳房のあたりがあつくなってビロードのショールで鼻をすすった」なんていう文章が、林芙美子が書いたかと思うと、ちょっとどきどきします。

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ここのとこまた本を買いすぎ。置き場所を開けるために自炊に励まねば。PDFはたまるがPC以外で読む道具を何にしようか思案中。やはりiPadなのかなあ?


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