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妖精のXC日記PartU

「目標は50km!」

1998年4月

 自他共に認める日本一のパッセンジャーの私。パイロットは「もう一人でなんか飛べない!!」 と宣言した加藤さん。今年の目標は、タンデムでXC50km! スクールの合間をぬって日替わりで重りも変えられる加藤さんにはチャンスがあるけれど、それに便乗したい私には、何かと制限が多い。
 冬の間の<スクール生のいない土日にタンデムで飛んで貰って、何度も何度もトレーニングを積み、XCシーズン到来に備えた。その日の条件で、一番上がった時に岩屋山を離れて、風を大切に大切にして、グライダーを滑空させ、安全山に向かうこと数回。「えーっ! こんな高度で行けるのーっ」と驚く事毎回。地形と風とを考えて、弱い弱い上昇帯を上手に上手に乗り継いで、時には、大胆に、時には、キャンキャンと尻尾を巻いて逃げたりしながら…。加藤さんのつぶやきと私の絶妙なWeight controlにも磨きがかかり、私には結構楽しいトレーニングの日々でした。
 季節は春。ボコボコサーマルを感じるこの季節。待ちに待ったXCシーズンの到来。天気予報と仕事の予定を何度も何度も見比べて、いつ休もうかと、私の頭はXC50kmでいっぱい。
 私が、休む為に一生懸命ボロ雑巾の様に働いている間、加藤さんもトレーニングに余念がない。まっ、ただ自分が楽しんでいるだけなのでしょうが…。スクール生やパイロットを掴まえて、XCに励んでいました。
 そんな4月20日月曜日…、16日の木曜日は、スクール生と14km、17日の金曜は、パイロットと21km飛んだ加藤さんの「いい時は続くよう〜月曜日は天気がいいよっ、完璧!」の言葉に騙されて、夢の50kmに大きな胸を更にふくらませて休んだ私。
日曜日は岩屋山のXC大会。40km以上飛んで、しかも女性が、1,2位でfinish! そして、いよいよ待ちに待った月曜日、チャンス到来! 朝、出会った蔀さんの「今日は昨日よりええで〜っ、海が見えるで」の言葉に私は有頂天。カメラにフィルムをセットして、ハーネスに非常食を忍ばせて、帰りの電車賃も用意した。加藤さんは加藤さんで、「スクールは休み」と宣言して、それでも来た生徒に地図と無線機とバッテリー迄持たせ、携帯電話の番号も教えて迎えの準備もバッチリ整えた。
いよいよ山頂へ。車の中でも顔はだらしなく緩みっぱなし。
 しかし〜っ。山頂に着くと、向こうの景色は、黄砂か春霞か、かすんで、上がる気配がない。仕方なく、山頂で時期が来るのを待つ。いつもなら、がまんしきれずに、真っ先に飛んでしまう加藤さんも、今日は、じっと我慢の子。蔀さんに常陰さん、NZから来た安田さんとダミーに不足はない。
 まずは、切り込み隊長の蔀さんがテイクオフ。皆が見守る中、斜面をなめる様に飛ぶ。上がっては、下がり、下がっては、上がり、結局、定位置キープの蔀さんに山頂からエールを送る。続いて、常陰さんもテイクオフ。タイミングかグライダーか、はたまた腕なのか…、テイクオフと同時にトップアウトする。それを見て、一人、又一人とテイクオフするけれど、誰もなかなか上がらない。一人だけ上げた常陰さんは、粟鹿へ向かって、さっさっと行ってしまった。そのうち、我慢し切れず蔀さんも、安田さんを引き連れて粟鹿に向かったけれど、尾根に着くや否や、敢えなく撃沈されてしまった。
 「そろそろかな〜」と言う加藤さんのGOサインでタンデムもテイクオフ。いよいよ50kmへの旅立ちか!さすが加藤さん、あっと言う間に鉄塔迄上げた。でも、そこからがなかなか上がらない。バリオの音も鳴ったり止んだりで続かない。バリオの音と加藤さんのつぶやきとで、前に座っている私にも、サーマルの難しさが分かる。これ以上上がらないと判断した加藤さんは、岩屋を離れる決断を下す。本当なら「いよいよ50km、目の前には海っ」のドキドキワクワクの出発なのに、今日のドキドキはちょっと違う。粟鹿迄行けるかな〜っの冷や冷やのドキドキでした。
 難なく尾根には着いたけれど、またまたそこから上がらない。どうりで常陰さんも岩屋に戻って来たはず。行く手を阻むは、高圧線とその鉄塔。この高度じゃとても越えられない、まさに"Fly or die"の世界。前回の粟鹿へのXCと同様、上下左右どこへも行けず張り付け状態。おまけに、今回はタンデムただ1機だから、トップフライヤーの観覧と言ったイベントも無い。ただひとつ、ラインに絡んだたくさんの蜘蛛の糸がキラキラ輝いてとても綺麗でした。
 今日の条件では、これ以上の高度と距離は望めず、岩屋に戻る事にした。この時点でXC50kmは次回へのお預けとなった。岩屋に着き、ランディングすると同時に風は強くなり、結局そのまま飛べなくなってしまった。期待が大きかっただけに、不完全燃焼気分の私だったけれど…考えて見ると、今日の条件でも一番良い時に、今日一番の最高のフライトだった。う〜ん、さすが!! 今日もまた、50kmのための1本と言うところかな。
 加藤さんがタンデムで50kmを飛ぶ日は、そう遠くはないでしょう。その時に私が重りになれるかどうかは、神様にだって分からない。そのチャンスに出会えたなら、それは正に私が風の妖精であることの証明となるでしょう。
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