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エコシステム・マーケティング
Business | Society日本企業で初めて2兆円の営業利益を発表し、目下絶好調のトヨタだが、国内では販売台数の減少に悩んでいるらしい。
[business] はてなブックマーク > J-CAST ニュース : 国内で車売れない危機打開策 トヨタ本気でアイデア募集
[business] はてなブックマーク > 痛いニュース(ノ∀`):“若者、車離れ” 日本国内で車売れない…トヨタ、本気でアイデア募集
よく読むとアイデア募集といっても社内への募集であって群衆に求めている訳ではなく、一流の戦略コンサルティング会社や広告代理店、調査会社といったプロフェッショナルをフルに活用できる立場にある訳で、素人が意見する必要もないだろうが、若干の思いつきを書いてみたい。
現在のビジネスが1企業で完結しなくなっているのは改めて言うまでもないが、企画、研究開発、マーケティング、営業、製造、販売、物流といった業務プロセスの多くが複数の企業に跨ったものになり、クラウドソーシングといった言葉が登場してきたように、生活者や外部の個人をもが業務プロセスに組み込まれていく中で、今、企業は自社を取り巻くエコシステムをより真剣に考える必要が出てきていると考える。
エコシステムとは日本語では生態系だが、自然界において、肉食動物が草食動物を食べ、草食動物が植物を食べ、といったような形で微妙なバランスのもとで成り立っているというものである。そこでは、ある時特定の種のみが突然増加しても、食料が食い尽くされてしまって生き残れなくなり、次第にもとの、あるいは別の均衡点でのバランスが取れた状態に戻っていくことが観察されている。
ビジネスにおけるエコシステム(ビジネス・エコシステム)も同様であり、顧客やパートナ企業を含めてプロセスに関わる全てのプレーヤがハッピーにならなければ、1つの企業だけが突出した利益を上げるようなモデルは、短期的には成立しても、長期的・持続的に成立しないということになる。もしかしたらトヨタは、このエコシステムの軋みを今、感じているということなのかもしれない。
軋みの1つは、2ちゃんねる&痛いニュースやはてなブックマークで「おまえが言うな」と豪快に総ツッコミされている、国内における経済格差問題だろうか。東京都の年収500万円未満が過半数を超えたという話があったが、例えそれが高齢者世帯、単身世帯の増加によるものであるにせよ、自動車のような高額な出費が難しくなる理由になりうることには変わりはない。
[society] はてなブックマーク > 東京都:年収500万円未満世帯、初の過半数 過去最多-今日の話題:MSN毎日インタラクティブ
また、これから継続的に自動車を購入してくれることが期待される20代後半から30代前半のボリュームゾーンの世代が就職氷河期にハマり、安定した仕事に就きにくい状況も、今後ボディブローのように効いて来る可能性が高い。それを生み出した主要因は不景気だが、一因として、トヨタをはじめとした経済界が推進している「雇用の流動化」、具体的には派遣・請負ビジネスの拡大もある。国内の自動車市場が、多くの人が安定したそこそこの収入を得られた総中流社会を前提として成り立っていたのだとすると、景気回復と言っても地域間や世帯間で様々な格差が開いている今の日本の中では、到底市場の広がりは期待できないことになる。
[society] 地域間の景気格差は拡大しているか?
[society] 実感はなくても消費は増える、という話 (企業の収益配分構造が、従業員から株主重視に移れば、投資ができる余裕のある比較的裕福な世帯がより有利になり、世帯間格差が拡大する)
もっとも、この点でトヨタを責めるのは酷でもあるかもしれない。実際、トヨタを中心とした東海地方は地域別の景況感を見る限り明らかに潤っており、少なくともトヨタ自身の給与水準はメディアや金融は別格として十分高いレベルにある。自動車以外の産業、特に今では7割近くを占める第3次産業に従事している人たちの賃金水準の低下によって打撃を受けている分がよほど大きい訳で、ある意味では、被害者でさえあるかもしれない。
とはいえ、被害者面も許されないので、1つの例として、都心の月極駐車場ビジネスへの参入、もしくはすでにしているかもしれないので拡大が考えられないだろうか。地方では交通機関が充実していないのでいずれにしろ自動車を使わざるを得ないが、都心においては、「足」の機能としての側面が弱く(非婚化・シングル化で世帯人数が小さくなれば尚更)、加えて月3-4万円の駐車場料金も負担感が大きい。ここに、相当に低価格での駐車場提供、しかも、トヨタ車を料金・サービス面で優遇する、ということになれば、自動車を持つ事の維持費による負担感が軽減され、心理的な障壁は下がるのではという仮説である。これは、顧客の利用シーンの周辺に目を配ることで、顧客と企業全体がハッピーになることを狙う、エコシステム発想のシンプルな例と言えるだろう。他にも、気持ちよく乗れるための都市部の渋滞緩和など、カイゼンすべきことはいくらでもありそうだ。
冒頭、国内市場をどうするか、ということにおいては、国内に見切りをつけ、海外重視を進めるというのも恐らく1つの正解ではあるだろうが、あえて国内を考えるのであれば、単に優れた新商品の開発やブランディング、プロモーションを見直すだけではなく、顧客が置かれた状況、社会背景やパートナ企業を含めたエコシステム発想での戦略が一層重要になると考える。人間が自然の生態系を破壊するリスクに対して、エコな自動車を提供して行くことも大切だが、「ビジネスエコ」なビジネスをして行くことが、売り上げが国家予算の3割にもなる、日本を代表する超大企業に期待されるCSRではないだろうか。
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