Back Numbers | Home

Columns: Business

本当に欲しいを創る3つのアプローチ

Business

今ひとつピンと来ないスマート家電などの「キーワード戦略」をはじめ、家電業界やIT業界の、的外れな「高付加価値」製品戦略が度々話題になっています。

[business] はてなブックマーク - 暇人\(^o^)/速報 : インテル社員 「日本企業は『売りたいもの=売れるもの』と誤解している」 - ライブドアブログ

インテルのCPUやチップセットは、高性能化や低消費電力化といった顧客のニーズと、最先端技術の追求が、もともと一致しているので、ちょっとズルいのですが、指摘は概ね正しいと思います。

もちろん、技術(シーズ)起点か顧客(ニーズ)起点か、あるいはプロダクトアウトかマーケットインか、といった議論は、現場ではすでに終わっています。技術も顧客ニーズも重要であり、プロダクトアウトとマーケットインを融合、止揚したところに答えがあるというのは大前提であり、その先が求められています。ライフスタイルを変えてしまうような新しいモノを、生活者が「そうそう、これが欲しかったんだよ」というモノを創るには一体、どうすれば良いのでしょうか。正解は分かりませんが、ここでは、有効と考えられている3つのアプローチを挙げてみます。

(1)ビジョナリー主導アプローチ
ジョブズのような、ある種のクレージーなリーダーが、プロダクトからサービスに到るトータルな体験をデザインし、執拗にその実現を目指して技術を適用する方法です。ただこれは、恐らく企業の創業者以外が実践することは極めて難しいでしょう。当然、今の大手メーカーの経営者にそのようなビジョンを期待するのは厳しいですし、そして、現場に例え異色なビジョナリーがいたとしても、上に企画を通すことはなかなか難しいと思われます。合議制の大企業では、その商品が売れることを合理的に説明することができないからです。そして、そうした尖った人材は、思ったように仕事ができないことで、大手企業には残らないでしょう。

ビジョナリー主導アプローチは多分に偶然によりますし、何より個人頼みです。では、普通の人たちが、「そうそう、これが欲しかった」と生活者が思う商品を創ることはできないのでしょうか。

(2)行動観察アプローチ
比較的、普通の人でも取り組めそうな、科学的なアプローチの1つが、行動観察に基づく方法です。米国のデザインコンサルティング会社、IDEO社が、ユーザの行動観察を商品企画や売上アップのコンサルティングに用いていることが知られています。ほぼ同じことで、「エスノグラフィック・マーケティング」とも呼ばれているようです。

415208426X発想する会社! ― 世界最高のデザイン・ファームIDEOに学ぶイノベーションの技法
トム・ケリー Tom Kelley ジョナサン・リットマン Jonathan Littman 鈴木 主税
早川書房 2002-07-25

by G-Tools

仮説を立てた上で仮説検証のためにアンケート(定量調査)やグループインタビューを行う、といった一般的な調査手法では、生活者は、すでに見えている要望やニーズを挙げることはできますが、潜在的なニーズを説明することはできません。そこで、仮説を持たずに、生活者、ユーザの普段の生活を観察することで、潜在的なニーズを発掘しようというアプローチです。日本企業では、花王の事例が知られているでしょうか(*1)。

(*1) 花王、消費者調査にエスノグラフィー手法を導入:日経ビジネスオンライン

(3)異業種模倣アプローチ
もう1つ、異業種で成功しているビジネスモデルや、商品特性を抽象化して、自分の業種に当てはめる方法があります。

482224895X模倣の経営学―偉大なる会社はマネから生まれる―
井上達彦
日経BP社 2012-03-08

by G-Tools

同業他社の真似をする訳ではありません。市場全体が拡大している時は、同業他社の真似をしても一定のシェアを確保して売上を上げることもできるでしょうが、市場全体が停滞していたり、すでに激しいコモデティ化競争に陥っている市場において、後発の模倣で勝つのは困難です。なので、異業種からヒントを得るわけです。

例えば、冒頭に挙げた家電やデジタル機器は、コモデティ化しているため、「高付加価値戦略」も必ずしも悪くはありませんが、マスを取るには、どうしても正面からアジア企業に「価格で勝つ」ことが必要になります。これは、20年来続くデフレにより、家計の所得が減り続けている日本で売る上でもそうですし、新興国で新たな中間層を取りに行く上でも、避けられないでしょう。

そこで、デフレ時代の勝ち組として、別の業種を見てみると、食料品を中心にした「プライベートブランド」と、アパレルを中心にした「ファストファッション」および「SPAモデル(製造小売、製販一体化)」が目に止まります。

家電におけるプライベートブランドがあるとすれば、ヤマダ電機、ヨドバシ、ビックカメラといった大手家電量販店と組んで、専用のPB商品を開発する、ということになるでしょうか。そう言えば、会社がなくなってしまいましたが、かつて、三洋がイオン向けにやっていました(*2)。PB商品は、必ずしも値段だけではなく、高品質な商品も開発されています。「ヤマダプレミアム」「ヨドバシプレミアム」とかいったブランドが果たして家電で成立するのかどうか、そこが悩みどころです。

(*2) 三洋、イオンのPB家電を共同開発 - ITmedia ニュース

もう1つの「ファストファッション」の方は、家電に適用すれば、そのまま「ファスト家電」ということになります。その特徴は、「ファストファッション」の特徴を頭に浮かべてみれば、

  • 基本機能はきちんと押さえていて、
  • 品質も価格の割にはそこそこで、
  • シンプルだがデザインやユーザビリティは良く、
  • 当然、(できれば圧倒的に)安い

といったところでしょうか。実際にはユーザが求めてもいない「高付加価値」機能のそぎ落としはもちろん、低価格で企画・開発・生産・販売するための組織・プロセス・システムのあらゆる再構築が必要になるでしょう。新興ベンチャーが低価格がウリな「ファスト家電」を創っても、ブランド価値が多少なりとも生きている家電ではなかなか難しいと思いますが、大手メーカーがもしやれるのなら、インパクトがありそうです。

SPAモデルは、同じく耐久消費財である家具におけるニトリやIKEAでも行われています。メーカーの直販店、系列店を含む小売チャネル戦略は、家電量販店が企業買収によりどんどん集約され、バイイングパワーがますます強まって厳しくなって来ている中で、検討のポイントになってくるかもしれません。

メディアは危機を煽って部数やPVが稼げれば何でも良いので、昨今は、大手メーカーが水に落ちた犬のように叩かれまくっていますが、日本のメーカーのブランドには個人的にも愛着がありますし、地域の雇用創出の面でも、まだまだ頑張って欲しいと思っています。「これが欲しかった」という新商品が、日本企業から出てくることを期待します。

Posted: 2012年09月26日 00:00 このエントリーをはてなブックマークに追加
Amazon Search(関連しているかもしれない商品)
コメント

スーパーコピー, ブランドコピー通販【JpNobleShop - スーパーコピーブランド市場】スーパーコピー利口になって興味があることはでき(ありえ)ないか? PPの混乱した考えは結局は打ち破られますか? 底固めする味は気持ちが良くありませんか?とても価格を予約することに対して遠いことをすすめます の。前に金があり時計が買えないのですか?今です 買い手を探し出すとは限らない時計がありますか?今ただのためです 2種類の時計か?それはつまりか?正しい表”とか?間違いでしたの 表"か?つまりいわゆる主流とマイナーか?スーパーコピー

Posted by: スーパーコピー : 2014年04月02日 14:51
コメントする









名前、アドレスをブラウザのcookieに登録しますか?