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アクティベーションシステムは何を変えるか
Business | Subculture先の2003年11月20日、PC向け恋愛アニメビデオゲーム(以下単に恋愛ゲーム)に大きな影響力を持つコンピュータソフトウェア倫理機構がアクティベーションシステム公募のお知らせを発表した。ここでは、このアクティベーションシステムが機能することで、それぞれのステークホルダ(利害関係者)にとって何が変わるかを考えよう。
まず、アクティベーションシステムについて、念のため確認しておく。アクティベーションシステムは、現時点でMicrosoft社のWindows/OfficeやAdobe社製品、ウイルス対策製品などに導入されており、通常ソフトウェアパッケージを利用可能なようにインターネットを経由して有効化する仕組みを指す。大容量メディアやネットワークのコモディティ(日用品)化によりデジタルコピーが蔓延し、ソフトウェアビジネスが危機に晒されている中で、適切なライセンス管理を行うことが目的である。ビデオゲームにおいても、SONY(SCEI)がゲーム等デジタルコンテンツのオンライン認証の仕組みであるDNASを打ち出すなど、導入が進められている。
これまでPC向け恋愛ゲームでは、CD/DVDメディアのプロテクト技術により、これらの不正コピー対策が施されてきたが、完全な対策とはなっておらず、その一方で正規利用者に不都合を与える事例が少なくなかった。ネットワークを通じたアクティベーションシステムにより、不正コピーの問題を極小化し、かつ従来のメディアプロテクトによる問題の発生が抑えられることが期待される(もちろんプロテクトが併用される可能性もなくはないが)。
オンラインアクティベーションシステムでは、ライセンスを取得するためのアクティベーションサーバの運用、またインターネットに接続していないユーザや再アクティベーションのためのオフラインの代替手段(一般的にはコールセンタによる電話での対応。ただし維持コストがかかり過ぎることから他の手段になる可能性はある)が必要となることから、運用コストが安くなく、恋愛ゲームベンダが単独で構築するのは負担が厳しいため、今回コンピュータソフトウェア倫理機構が率先してこういった取り組みを行うことは、基本的には高く評価できる。
コンピュータソフトウェア倫理機構としても、昨今有力ベンダのソフ倫離れが目に付く中で求心力を失うことを防ぎ、ソフトウェアベンダを繋ぎ止めて置く手段となることを狙っているのだと思われる。
さて、それではオンラインアクティベーションシステムによって何が変わるのだろうか。最も大きな点、それは以前にも触れたことがあるかもしれないが、「ソフトウェアがサービスになる」ということに集約される。言い換えれば、ソフトウェアを販売した後も、ベンダがコントロール権を保持している、ということである。
アクティベーションシステム公募のお知らせおよびアクティベーションシステム公募 Q&Aからも読み取れるが、ソフトウェアを利用可能なことがアクティベーションシステム上保証されているのは発売されてから3年間に限られている。昨今の恋愛ゲームでは事実上賞味期間が3週間もないという話もあるが、昔のゲームを買っても遊べない、ということが起こる可能性がある。場合によっては、3年未満になるかもしれない。アクティベーション機能がソフトウェア側でなく、サーバ側に置かれていることから、ベンダはアクティベーションサービス期間を完全にコントロールすることが可能であり、「諸般の事情」によって、3年未満でもアクティベーションを無効にすることができる(3年も持たないベンダが後を絶たない中で、販売元を失ってしまったソフトウェアをどうするのかという疑問はある)。
ベンダがコントロール権を失わない、ということでは、ビジネスソフトウェアでは従来からライセンス上できなかった一方で、ゲームソフトウェアでは認められてきた中古品の売買についても、全面的な制限がかかる可能性が高い。無論、売買するのは自由だが、ソフトウェアそれ自体のモノには価値がなく、ライセンス(アクティベーションキー)自体を転売できる仕組みが設けられない限り(可能性は低い)、中古で買っても遊べないことになる。ソフトウェアもライセンス(アクティベーションキー)がなければただのハコ、である。
i)このことからユーザにおいては、アクティベーションシステムに参加しているソフトウェアは中古で売ることができなくなる(可能性が高い)ため、今以上に購入行動が慎重にならざるを得ない。不正利用はなくなるものの1人辺りの購入数は減少し、ソフトウェアを厳選する方向に向かうだろう。一方で、ライセンス管理が厳密になることによって、価格が下がることは余り期待できない。Microsoftの例もあるが、8800円という価格設定は慣習的であり、単にこの価格を下げることによって、販売数が増えることが期待しにくいためである。
ii)小売店では中古販売で利益率を稼いだり、店ごとに異なる特典をつけて一気に売りさばくといった売り方が難しくなるだろう。取り扱うソフトウェアのより一層の絞り込みや新品でも一定の利益を乗せるなど、ビジネスモデルの転換が必要になってくる。また、小売店や流通にとっての関心事は全体の販売数が増えるかどうかだが、これは維持されるもしくは増えると期待するしかない。
iii)ベンダにとっては、適正なライセンス管理により、有力ベンダでは販売数が向上することが期待されるが、ユーザの購入判断が厳しくなることが想定されるため、中小ベンダの生き残りが難しくなる可能性がある。この場合、このアクティベーションシステムに乗らない、という選択も出てくるだろう。
もう1つのステークホルダとしてはアクティベーションシステム運用ベンダ自体があるが、これはただ「幸運を祈る」とだけ言っておこう。コンピュータソフトウェア倫理機構が基本的に金銭的な負担をしないこと、データセンタの回線費、コールセンタ(などのオフライン代替アクティベート手段)を含むアクティベーションシステムの運営費を負担しても利益を出せると判断したベンダが提案するのだから、心配する必要はないだろう。
「ソフトウェアがサービスになる」という概念は、購入したソフトウェアがもはや自由にできなくなることから、ユーザにとってはなかなか慣れない感覚かもしれないが、デジタルとネットワークの時代にあっては、避けられない方向性であると考える。アクティベーションシステムというビジネスモデルを揺るがしかねない新たな仕組みに対して、各ステークホルダがどう対応していくのか、判断を迫られている。
Posted: 2003年12月07日 17:20 | Trackback「エロゲは気軽に楽しめてこそ」という考え方をする人間もいますから、
中小メーカーの売上を激減させる恐れが高いアクティベーションシステムは
エロゲ業界の流通を悪化させるものなのではないかと自分は思っています…。
まぁ、仕方ないんじゃないでしょうか。
発売日にファイル交換ネットワーク上にアップロード
されていたり、中古屋に並んでいたりするのは、
どう考えても健全な状態ではないですし。
正規パッケージにもかかわらず、(ユーザーの環境に
よっては)インストールすらままならないプロテクト付き
CDを売るよりかは、いくらかマシな対応だと思います。
記事にもありますが、
>3年も持たないベンダが後を絶たない中で、販売元を失ってしまったソフトウェアをどうするのか
数年経って久しぶりに昔のゲームをしようとすると「このゲームは認証できません」。
二度とゲームなんか買わないでしょう。
一定期間経過したソフトウェアについては認証不要とするように、
有効期間を設ければよいのでは?
アクティベーションシステムの話題について、下記URLの掲示板ではさらに過激な論戦になっているよ。個人的にはアクティベーションシステム=製品認証の範囲でとどまるなら賛成。個人認証までいくなら断固反対。
掲示板名 「新・ゲーム良作への道」
スレッド名 「日本エロゲー業界の華麗なる自殺」
http://jbbs.shitaraba.com/game/546/ranbukai.htm
すいません、アドレス間違えました。連続投稿すいません。
掲示板名 「新・ゲーム良作への道」
スレッド名 「日本エロゲー業界の華麗なる自殺」
URL http://jbbs.shitaraba.com/game/546/ranbukai.html
どんな対策を施しても、クラックされたら意味がないのでは?
(OSがWindowsであるかぎりクラック出来ないソフトウェアの制作は難しいのでは?、今でもモノによっては中級者はおろか初心者でもクラック出来るソフトばっかりだし)
コピー対策をするなら、デジタル技術などではなく徹底したユーザー登録(CD等の媒体にシリアルナンバーを刻印し、それをハガキで個人登録しなければソフトウェアの一部しか動作しないとか)等の手間のかかることをしないとダメなのでは?
Posted by: ytt513 : 2003年12月09日 19:40ゴメン、上の補足。
初心者とはパソコン初心者ではなく、プログラミングやクラッキング初心者の事。
コピー対策云々も、結局クラックされたら意味無いし…
ならば、完全なオンラインゲーム化、もしくはストリーミング化…
…なんかどれもダメっぽい…
結局最後は、ユーザーのモラルに縋るしかないのか?
Posted by: ytt513 : 2003年12月09日 20:38以前、認証が必要な18禁のネットゲームがでたけど、中古で扱えないため余剰在庫が増加し、わずか一週間で定価の半額以下になってしまった。結局、認証システムを用いても手間が増えるだけで、このようにどこかに不利益のしわ寄せがいくような気がする。おそらくそれは強い宣伝力を持たず、特典や中古による流通に宣伝を頼っている中小メーカーであり、結果、ソフ倫離れが激しくなるような気がするのだが。某AC○Sにも言えることなのだが、大手の資本に頼りすぎて、大手の都合のいいように決まりを決めていく体制をとっていては、新しいものが生まれるのを妨げ、文化ひいては社会の崩壊につながりかねないと思う。
Posted by: GQC : 2003年12月10日 00:04根本的な問題を何とかしない限り緩やかな自殺をしてるだけだと思いますけどね。
ある輸入CDが1800円(向こうで買うと日本円で1200円程度)その横にレーベルだけ日本語訳されたものが3000円。逆輸入物でも同様の現象が発生してるのが日本のマーケット。
プロテクトやらなんやらにかかる人件費や経費をそのまま価格に反映したら現在価格で退いてる人を取り込んで現在とそう変わらない利益は期待できると思いますが。
複製するための手間や技術と価格の差異が小さくなれば購入する人も増えるかもしれないが手間や技術を高い水準にする努力だけでなく価格を下げる方向での努力もするべき。
まず、アクティベーションで中古は無くなるか?といえばなくならない。ソフトの売買が所有権の譲渡でありそれが認められている以上、それを拒否すればそれなりタレコミとそれなりの組織が動いてTHE・END。
「保証されているのは発売されてから3年間」というのも、ソフ倫の一方的なお願いであり、ユーザーの同意も得ずにそんなもの売れば、やはりそれなりタレコミとそれなりの組織が動いてTHE・END。
だいいち、悪名高いマイクロソフトだってこの2点は考慮しているよ。ソフトの寿命を強制的に決める時点で、もう作品でも文化でもなく商品としてビジネスの厳しい視線にさらされるわけだからしっかりやるでしょう。
じつに興味が絶えない今回の件を実行にうつしたソフ倫を自分は高く評価できると思っています。成功すればの話だけど。
いや、ソフ倫ってバカだから業界を潰しているのが自分であることに気がついていないのでしょう
Posted by: : 2004年02月21日 19:02概ね、メーカーの裁量に任せればよいと思うが1点だけ気になることが、
「ソフトウェアを利用可能なことがアクティベーションシステム上保証されているのは発売されてから3年間に限られている。昨今の恋愛ゲームでは事実上賞味期間が3週間もないという話もあるが、昔のゲームを買っても遊べない、ということが起こる可能性がある。場合によっては、3年未満になるかもしれない。アクティベーション機能がソフトウェア側でなく、サーバ側に置かれていることから、ベンダはアクティベーションサービス期間を完全にコントロールすることが可能であり、「諸般の事情」によって、3年未満でもアクティベーションを無効にすることができる(3年も持たないベンダが後を絶たない中で、販売元を失ってしまったソフトウェアをどうするのかという疑問はある)。」
この点だが、アクティベーションのマスター的なものを用意し、3年(あくまで仮に)たったらマスターコードを公開する等の解放措置はして欲しい。
現実的な製品寿命を考えても3年も経てば中古、コピ-云々が問題になる規模にはなりえないと思う。
そもそも10年程度前の家庭用ゲーム機の中古ソフト等を鑑みるに、中古ゲーム問題と不正コピーの問題は必ずしも連携していない気がする。
その辺りについても再考していただきたい。