Columns: Subculture
「キャラクタが似ている」とはどういうことか
Subculture2つ続けてやや真面目な(もしくは深刻な)エントリだったので今回は軽い話題で。
昨年の紅白の大トリでも歌われたSMAPの「世界に一つだけの花」(槙原敬之作詞)では、人は皆個性を持ったオンリーワンなのだから、人と比較しないで、ということであるのだが、現実的には、人をある場面である機能を果たす存在としてみた場合、私を含めて99%の人は差し替えが可能な程度の「個性」でしかないし、仕事、資産/収入、恋愛、学校など様々なところで弱肉強食の階層化が進んでいる訳で、それを一切比較しないというのは難しく、余り慰めにならない。
唯一、恋愛のみが盲目的に人を「オンリーワン」にし得る魔法(幻想)であるのだが、ここではそれは本題ではなく、恋愛アニメ/ビデオゲーム(以下単に恋愛ゲーム)において、「キャラクタが似ている」というのはどういうことか、を考えるのが今回のテーマである(強引な前振り)。
手前味噌ではあるが、当サイトのヒロインデータベース「Ragna」においてキャラクタAとキャラクタBが似ている度合いを示す「類似度」は2004/01/21現在以下の評価式で行われている。
類似度=(基準類似度)
+k1Σ(各属性強度)*(キャラクタAとキャラクタBで一致している属性)
-k2Σ(各属性強度)*(キャラクタAとキャラクタBで一致していない属性)
-min(k3(キャラクタA年齢-キャラクタB年齢)2,(年齢補正値上限))
-min(k4(キャラクタA身長-キャラクタB身長)2,(身長補正値上限))
-min(k5(キャラクタAバスト-キャラクタBバスト)2,(バスト補正値上限))
-min(k6(キャラクタAウエスト-キャラクタBウエスト)2,(ウエスト補正値上限))
-min(k7(キャラクタAヒップ-キャラクタBヒップ-)2,(ヒップ補正値上限))
+(血液型補正値)
※min(x,y)はxとyのうち小さい方の値。
※k1~k7は定数。
※年齢や身長など設定がない部分は固定の補正値が適用される。
基本的に、キャラクタにおける「機能」であるところの「属性」を中心として類似度が計算されている。加えて、想像上のキャラクタは、現実世界とは異なり、体格および血液型といった設定の全てに多くの場合、「個性」が仮託されている(誕生日のみ、相関が低いと考えて評価に入れていない)ので、これらも類似度に反映されている(例えば、身長が高い妹系キャラ、というのはほとんどいない)。
さて、この評価式は皆さんの感覚にうまく合致しているだろうか。こんなことを考えたのは、どうも最近、類似評価の精度が低いように感じたからである。「眼鏡っ娘」「内気」「真面目」「文学少女」とか、「ロリ系」「お兄ちゃん」「ツインテール」のようにステレオタイプなキャラクタを持ってこればともかく、そうでない場合、これは違うんじゃないか? という違和感を覚えることが少なくない。
類似評価の精度が低いのは、言うまでもなく、この評価式がシンプル過ぎるためである。例えば、精神年齢を軸に属性を振り分けてみると、「お姉さん系」「お姉さま系」「姐御肌」のグループと、「ロリ系」「子供系」「お子様」のグループは、反対側に属することになっていいし、同じグループ内では比較的相性が良いはずだが、上記の評価式では属性が一致しない限り(属性強度係数の差はあるにせよ)全て対等に「異なる」、という評価にしかならない。これでは精度が上がらないのも当然であり、この辺りに改善のヒントがありそうな気がする。
恋愛ゲームはキャラクタビジネスの最も典型的な形のひとつであり、全く突飛なキャラクタでは受け入れられないし、かと言ってベタ過ぎるのも、一時は受け入れられたがそろそろ受けが悪くなってきており、どこにオリジナリティを入れていくかということは、マーケティング面から見ても非常に興味深いテーマである。
皆さんは「キャラクタが似ている」と言う時、何をもってそういった判断をしているだろうか。こうすればもっと精度が高まる、という良いアイデアがあれば、教えて頂ければ幸いである。
Posted: 2004年01月21日 03:00 ツイート「多変量解析」という統計学の一分野がこの問題に有効だと思います。
おそらく「多変量解析」の中の「数量化Ⅲ類」「コレスポンデス分析」「因子分析」辺りに該当すると思われます。
主に挙げるのなら、髪の色。
赤、青、緑といった、単純ながらも無意識の内にすりこまれている色彩学的イメージも、キャラクタが似ていると思わせる一つの基準になることは、もはや疑いようのない事実だろう。血液型、体格等も同様であると考えられる。そしてこれらが、キャラクタデザイナーの采配というより、むしろユーザの希望(というより、イメージの押しつけか)によって方向性が限られている気がするのは私だけだろうか?
それらとキャラクタのオリジナリティが互いに制限されることはあっても、多くのゲームキャラクタがそれを裏切らないというのが、なによりの証明ではないかと思う。
このような状況下で「精度を高める方法は」と問われれば、企画の段階で一部のイメージを発表し、ユーザに尋ねるしか、他はあるまい。「このイメージに適しているのは、どんなキャラクタ(人格)ですか?」と。
本来の議題と外れるが、これらの事態を生み出してしまった原因の一つとして、そういったキャラクタの記号に頼らなくてはシナリオを書くことが出来ない「自称シナリオライター」が氾濫していることが挙げられる。恋愛ゲームのシナリオは、総じてレベルが低く、ユーザの想像力に依存している部分が多々あるように思われるのだ。
Tskkさん、情報ありがとうございます。
統計学は大学の時に何コマか取りましたが高校レベルのごく基本的な部分は除いてほとんど忘れてしまいました…この辺をやるにはやはりきちんと勉強する必要がありそうですね。
Posted by: 秋風 : 2004年01月24日 22:45nesk2さん、コメントありがとうございます。
商品のレベルは、市場の力によってユーザのレベルに合って行く訳でして、恋愛ゲームのストーリがつまらないのはその程度でもユーザが買ってくれるからなんですよね。個人的には単にストーリを楽しむなら講談社ノベルス数冊買った方がコストパフォーマンス高いです。
キャラクタの傾向が偏るのも原理は同じでして、作る側としては
i)余り2次元に興味はないがカネを稼ぎたい人
ii)ユーザと同じ2次元の人
という2タイプがいると思いますが、いずれにしてもユーザが望むキャラクタが揃ってしまうのは必然です。
Posted by: 秋風 : 2004年01月26日 05:22はじめまして。突然のコメント。失礼しました。
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