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Columns: Communication

人には言えない。

Communication

誰しもが人には言えない何かを抱えているものである。それはいい。しかし、何から何まで人に言えないものだらけだと一体どうなるだろうか。

コミュニケーションの分析モデルとして有名なものに「ジョハリの窓」がある。詳しくはジョハリの窓 ?コミュニケーションと自己分析?などを参照して頂けばと思う。その他、Google等検索エンジンで「ジョハリの窓」を検索すれば山ほど情報はあるので改めて詳述することはしない。ポイントだけ引用させて頂くと、人のこころには以下のような4つの領域が存在する、というものである。例によってこれらは「自分が知っている/知らない」「他人が知っている/知らない」の2軸によりマトリクスとして表現される(先のリンクを参照頂きたい)。

  • 自分も他人も、よく知っている「公開された窓」 ?Open Self Window
  • 自分だけが知っていて、他人には知られていない「隠された窓」 ?Hidden Self Window
  • 自分では気づいていないけれど、他人には知られている「盲目の窓」 ?Blind Self Window
  • 自分も他人も知らない「未知の窓」 ?Unknoun Self Window

そして、円滑なコミュニケーションを行うためには、「自分も他人も、よく知っている『公開された窓』」の領域が広い方がより良いのは明らかである。「自分の心の4つの面 ジョハリの窓」では、

人間関係において問題がおきやすい人や、悩みが発生しやすい人は、B(盲目の窓)の部分やC(隠された窓)の部分の面積が大きいタイプとも言えます。逆に気楽に生きているように見える人はA(公開された窓)の面積が広いタイプが多いようです。

と指摘されている。「隠された窓」が広ければ「何を考えているか分からない人」と見られるし、「盲目の窓」が広ければ陰口の対象となりやすいだろう。

ここで冒頭に戻る。人に言えない何か、というのは、この「ジョハリの窓」において、「自分だけが知っていて、他人には知られていない『隠された窓』」の領域を形成することになる。当然何から何まで人に言えないものだらけだと、コミュニケーションを上手く取るのが困難になるのは無理もない。ではどうすればいいか。もう一度引用すると、

C(隠された窓)の部分をA(公開された窓)にもっていくには、何と言ってもできるだけ自分をオープンにすること。自分に不利な情報を開示するという事は、とっても勇気や度胸がいりますが、そうしたことによって自分が下のポジションに落ちていくという心配は、意外とあたりません。人は自分に不利な事をオープンにできる人を見下げるどころか、逆に尊敬したり親しみを持ったりするものです。(自分でボケをかまし、自分でそれを上手にツッコンでいる人って人気者が多いでしょ? 明石家さんまさんなんかは、この心理を本当に上手に使う才能を持った人です。)

ということである。

しかし、人に言えない何か、というのはそれなりの理由がある訳で、社会性、適合性を疑われるような、「ある種の趣味」や、「ある種の性癖」となると、単に勇気を出してオープンすればいいということにはならない場合が多いのではないだろうか。正直言って、「尊敬したり親しみを持ったりする」ということに繋がってくる気がしない。よって、こうした「人には言えない」部分を余り多く持っている(そして、多大な時間とカネを投資している)と、「何を考えているか分からない人」「底の浅い人」と見られてしまうリスクがある(実際には「考えていることを到底他人には言えない人」「ある面では底が深いかもしれないが他人には到底見せられない人」であるのだが、見えない部分は他人にとっては存在しないも同然だ)。

無論、「ある種の趣味」や、「ある種の性癖」は同じような趣味・性癖を持った仲間うちでは比較的オープンにされる場合もあるかもしれない。しかし、ここで問題となるのは、そういったコミュニティが他のコミュニティとは交わりにくい傾向を抱えることである。社会に出、年齢を重ねるに従って、より多種多様なコミュニティに参加するようになると、そうした多層的な複数のコミュニティをまたぎながら有機的に人脈が形成されるようになり、こうした人脈が色々な面で重要になってくる。しかし、ある種の「人には言えない」コミュニティは単独で閉じがちなため、異種の人脈の広がりに寄与しにくい。そうした点を踏まえ、その他の領域で、より一層の精力的な活動が必要になってくるのだと思う。

…と、何だか非常に回りくどい書き方をしているが、要はリアル系を含む複数サイトを運営していても相互に流通しないとなかなか苦しいものだなぁ、というぼやきなのだが。

Posted: 2004年07月10日 06:24 このエントリーをはてなブックマークに追加
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