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Columns: Communication

話題力パターン

Communication

先日、雑談力についてニュースエントリで触れたが、今回は、コミュニケーションにおける話題力について考える。雑談の場合、ノリや共感力(相手に関心を持てること)、非言語ソーシャルスキルの要素が大きいと考えられるが、コンテンツ面から見ると、興味・関心の多様化により、共通の話題が見つかりにくいこともまた、雑談に苦手意識を持ちがちな理由の1つであると考えられる。特定の話題についてはいくらでも話せるが、世間の話題には全くついていけないということだと、自分が得意とする話題にヒットしてくる確率は小さい。しかもその得意とする話題が自分から大っぴらにしにくいものだと更に厳しい。これは言って見れば幅が狭く奥が深い「I字型話題力」ということができる。

逆に、どんな話題でも対応できる反面、どれも詳しくはない人は、「一字型話題力」ということになる。これは情報源が、TV、新聞、一般雑誌(男性誌・女性誌や年代ぐらいのセグメンテーションはあっても良い)だったり、友人が多い場合になりやすいと言える。TV、新聞、一般雑誌は、できるだけ一般受けする話題を取り扱うだけでなく、「受動型」の情報入手手段であるため、世間で話題になっているものに対して、自動的に受け取りやすい特徴がある。

一方、ネットは、これらのメディアに対して、比較的能動型のメディアということができる。自分でurlをクリックしてWebページを参照するスタイルであるし、Yahoo!やGoogleのような検索エンジンはフィルタ&選択の最たるものである。このようなツールによる情報の取捨選択では、自分の興味のあるもの、自分にとって気持ちのいいものばかりが選ばれやすいため、特定のテーマについては強くなるが、広く浅く、という方向には行きにくい(※1)。ネット上のコミュニティによっても同様に、良いことなのか悪いことなのか分からないが、狭くても同じ趣味嗜好の仲間を見つけることが可能になったため、そこで閉じてしまうと「I字型話題力」に突き進んでしまう(※2)。

(※1)del.icio.usはてなブックマークのようなソーシャルブックマークや、diggのようなソーシャルニュースによって多少は状況が変わる可能性があるが、といっても個別の記事を掘り下げて読むのは興味があるものばかりになる可能性が高い。ネット上の記事は余りにも多く、時間的・情報処理能力的に、選択せざるを得ない。
(※2)もっとも、トップクラスの専門性については、ネット上に載っていない情報が差別化要素になるため、クローズドな人脈での情報交換やディスカッションによって深めて行く事が不可欠になるが。

さて、雑談に強くなるために、話題力についてはどのように考えれば良いのだろうか。先に「I字型」「一字型」などと挙げていることから推測頂けるとは思われるが、これは、企業の人材における人材育成の考え方に近いのではないか。

すなわち、昔の日本では、複数の職種をスパイラル的に回っていく「一字型」のジェネラリストの育成スタイルだったが、その後、個々の仕事で要求されるレベルが深くなると、特定の専門に強いスペシャリスト(「I字型」)を育成しなければいけないということになった。しかし、これはこれで、潰しがきかず、企業の変化に柔軟に対応しにくい。今なお終身雇用色が強い多くの日本型企業では、「使えなければ切る」ではなく、「何とか使えるところで使う」という方針のため、他の職種にも対応できて欲しい訳である。そこで、ジェネラリストでどんな仕事もできるが、専門も持っているという「T字型」のスーパージェネラリスト人材、更には専門が複数ある「Π字型」人材へと、要求されるレベルが横に広く縦に深くなっていった。

話題力についても同様であり、1つの方向としては、一字型話題力、I字型話題力から、T字型話題力、そしてΠ字型話題力へ、ということになる(図1)。伸ばし方としては、上のメディアの特徴を使いこなすことが考えられる。つまり、一字型の人であれば、ネットで興味のあるテーマを深掘りし、I字型の人は、ネットはやめ、回線を切って、代わりにTVや新聞、一般誌といった幅を広げる情報源を活用する、ということになる。

話題力パターン
図1 話題力パターン(クリックで拡大)
Posted: 2006年05月01日 00:00 このエントリーをはてなブックマークに追加
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コメント

こんばんは。はじめまして。まりんと申します。
いつも楽しく読ませていただいております。
たいへん勉強になります!

Posted by: まりん : 2006年05月02日 22:35

まりんさん、はじめまして。
コメントありがとうございます。
今後ともよろしくお願いいたします。

Posted by: sociologic : 2006年05月08日 07:53
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