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次の「儲かる仕組み」はどこにある?

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昨日はあと3年でのアナログ放送が停波になるというニュースが流れていたが、到底デジタルチューナが行き渡るとは思えない中で、TV業界も転換点にあるらしい。

[business] はてなブックマーク > 若者はもう「泥のように」働かない - 池田信夫 blog

散々言い尽くされているように(煽りが大きいけども)インターネットの影響が大きいのだろうが、雑誌は言うまでもなく、新聞業界も含めてマスメディアのビジネスが厳しい状況に陥りつつあるようだ。

嫉妬主義」に立てば、末端の制作会社や新聞販売店がワープアに近い状況にも関わらず、規制や既得権に守られて平均年収1000数百万円を稼ぐ大手TV局や大手新聞社が苦境に立たされるのは、「ざまぁwww」の一言で終わりかもしれないが、そうは言っても、マスメディアの周りにはコンテンツ(およびクリエイター)や広告代理店、マーケティングリサーチなど様々な業界がエコシステムを形成しており、周辺の業界にも余波が広がることが予想される。

加えて、新たな収益モデルが見え切れている訳でもない。新聞の力が日本ほど強くない米国では、早くからインターネットへのシフトに取り組んでいるが、インターネット広告の相場が日本より高いとされる米国ですら、Webサイトからの収入増によって、紙媒体のビジネスの落ち込みをカバーしきれておらず、既存のモデルを破壊するだけ破壊しても、次の「儲かる仕組み」はまだ十分には育っているようには見えないのである(*1)。

[business] メディア・パブ: NYタイムズ,インターネット広告で頑張っても「焼き石に水」の状況に

(*1)もっとも、既得権益者側がネット業界に魅力的なビジネスモデルを持って来い、というのはムシが良過ぎると思うが。

実際、自分の身に引き当ててみても、いざ自分が(曲がりなりにも)マネジメント側に立つと、(自分だけならともかく、組織として)継続して儲け続ける仕組みを作ることがいかに難しいかを痛感させられる(クライアントには儲け続ける仕組みを作るための提案をしているにも関わらず!)。先日もはてなで、

[business] はてなブックマーク > 日立製作所はまともな会社になるべき

というエントリが話題になっていたが、大企業はやはり、壮大なムダ(使えない窓際族がゴロゴロしていたり)があっても、企業が存続するだけの、継続して儲け続ける仕組みを持っているところが圧倒的に強い(ただ、この業界もまた、顧客が色々と気づき始めたためか、転換点にある)。

既存の「仕組み」が崩壊した後はどうなるだろうか。理屈上は、不採算企業が退出して選別され、より生産性の高い業界、生活者のニーズの高い業界、人手が不足している業界に、新たな企業が生まれ、労働力が移動して新陳代謝することになっているはずだが、先に既存の「仕組み」が崩壊した先輩の業界として、例えば建築業界がどうなっているかを見てみると、公共事業と談合という仕組みによって維持されてきた業界は公共事業の縮小と競争入札の徹底によって崩壊したものの、先日のワールドビジネスサテライトでやっていたところでは、労働者の高齢化や、スキルのミスマッチなどで不採算企業の退出や労働力の移動がスムーズに行っている訳でもなさそうである。

だからこそ、イノベーションが必要であるとしきりに指摘され、もし次の「儲かる仕組み」を見つけられた人、企業は莫大な成功を得ることができるのだろうが、ただ「既得権を破壊します」だけでは、誰も(メディア・コンテンツ業界で言えば特に肝心のクリエイターが)得しない、マイナスサムの焼け野原の世界になる気もしてならない。

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Posted: 2008年07月25日 00:00 このエントリーをはてなブックマークに追加
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