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Columns: Society

日本は「社会主義」というより「嫉妬主義」

Society

#タイトルでほとんど言い尽くしているが。

「日本は最も成功した社会主義国である」ということがしばしば言われるが、果たしてそうだろうか。皆が等しく豊かさを享受できたのは、高度経済成長のもとで一億総中流社会を実現した時期に奇跡的に当てはまっていただけであり、政府が想定している「標準」的な家庭モデルや「標準」的な生き方から外れた人には冷たく、社会保障面では今でも欧州よりはるかに「小さな政府」の国でさえある(正規社員の雇用保護だけは欧州並みに厳格だが)。

確かに様々な「格差社会」への批判は根強いが、それは階級概念の否定や、平等意識から来ているようには余り思えない。一言で言えばそれは「自分より上手くやっている(ラクをしている, etc.)他人への嫉妬」であり、それが極端に強い「嫉妬主義」とでも言えるだろうか(嫉妬 - Wikipediaによれば動物にも普遍的に見られる現象であるようだが、程度の問題として)。

[society] 働かざる者食ってよし! - ish
[society] Kousyoublog | 日本を蝕む「働かざるもの食うべからず」

例えば、上記では違和感が提示されているが、「働かざるもの食うべからず」という考え方は日本では非常に根強い(それが自己責任論や低水準の社会保障にも繋がる)。その背景には「自分が生活のためにこんなに(辛い)仕事をしているのにラクしているヤツは許せない」という心情があるのではないか。他の例として、先の「平成20年版 労働経済の分析-働く人の意識と雇用管理の動向-」でも言及されている、成果主義が日本で必ずしも上手く行っていないという指摘についても、嫉妬心が不満を高め、チームワークを破壊している可能性が考えられる。

公務員(や医者)の高給を叩く風潮も、やはり嫉妬主義で説明できそうである。特に地方では他にまともな雇用が少ないということもあるだろうが、公務員の賃金水準を下げれば、次に何が起こるかは予想できそうにも関わらず、それでも自分より上手くやっているのは許せない、ということになりがちだ。

しかし、「格差意識格差」でも書いたように、人との比較をするばかりでは必要以上に幸福感から遠ざかってしまう。人と同じでなければ気がすまない嫉妬主義から、どのようにすれば抜け出せるだろうか。「嫉妬の心理学」によれば、1)競争をやめ、2) 自分の価値を認める、ということらしいのだが。

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Posted: 2008年07月24日 00:00 このエントリーをはてなブックマークに追加
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コメント

>「嫉妬の心理学」によれば、1)競争をやめ、2) 自分の価値を認める、ということらしいのだが。

それは多分もっとも簡単に今の格差を容認し固定化する為の論理ですね。
要は、貧困者は貧困を受け入れて、「貧しいながらも、高望みせずに、つつましく暮せ」って話ですから。まぁ、貧乏人にはつつましく暮すだけの金もないんですけどね。

「他人に不満を抱かないという道徳心を涵養するべき」という言葉を心理学という学問のベールに包んだだけのことです。

Posted by: 赤木智弘 : 2008年07月24日 01:49

> まぁ、貧乏人にはつつましく暮すだけの金もないんですけどね。

やはりベーシックインカムですか。

Posted by: : 2008年07月25日 03:07

ある年齢に達するとどうしようもなく固定化してしまうから、そうなったときに嫉妬心を減らしてその人が幸せに生きれるようにされる工夫は必要なのでは。

>それは多分もっとも簡単に今の格差を容認し固定化する為の論理ですね。

固定化するのは良くないけど、ずっと嫉妬し続けるのは本人のためにも、社会のためにもよくないでしょう。

Posted by: : 2008年07月25日 07:33

赤木さん、コメントありがとうございます。

本エントリでも書きかけて消しましたが、実は、正社員と非正社員の対立構造(とそれを煽る赤木さん)も念頭に置いてました。もっとも、論壇で一定の位置を得つつあるように見える赤木さんも、泡沫ブロガーからすればすでに嫉妬の対象だと思いますが。

ご指摘の点はごもっともで、嫉妬から抜け出すというのは、あくまでも心の平静を保つために自分に言い聞かせるものであって、他人に「嫉妬するな」を強要するのは抑圧を生み危険かもしれませんね。

Posted by: socioarc : 2008年07月25日 08:53

問題は嫉妬の方向性だと思うのです。

(主に収入において)下の人間から上の人間への嫉妬は、私は正当だと考えています。
それは現状のような不当な格差である場合は攻撃や恨みに転じますが、正当な競争が行われる社会においては、スキル向上への誘因となります。
当然、日本が目指すべきなのは、嫉妬を競争によって昇華させることのできる社会です。

一方、上の人間から下の人間への嫉妬は、「彼らがいかに愚かであるか」というあら探しを産み、社会保障に対する反感に繋がります。
弱者に対するあら探しがされる社会では、色眼鏡のために正当な競争が行われず、下の人間はスキル向上を諦めてしまうことになります。
そうなると、当然格差は固定化されますし、社会全体においてもプレイヤー制限が行われることになり、利益を最大化できなくなります。
上の人間は、下の人間に嫉妬するのではなく、上の人間に嫉妬をして、スキルの向上を目指すべきなのです。労組なんかも経営者に要求するのではなくて、自身が経営者側に立つことを目指すべきだと思います。

要は、嫉妬をするのが悪いのではなく、スキルが正当に評価されないが故に、スキル向上へのインセンティブが減少し、それが下の方向へ転嫁されてしまう社会、すなわち、嫉妬が上の方向に向かない社会がおかしいのだと考えています。

Posted by: 赤木智弘 : 2008年07月25日 11:07

貧乏人にもつつましく暮らすための金はありますよ。その証拠に貧困層ほど酒やタバコの消費量、パチンコをする率が高いのです。無駄遣いしているのは貧乏人だと思います。彼らはろくに税金を払ってないので、金は十分あるはずですね。

Posted by: 川 : 2008年08月01日 01:23

嫉妬は国滅ぼす。かつてイギリスは極端な累進課税や資本性所得課税で停滞してイギリス病と呼ばれるようになった。産業革命以来の栄光の歴史は途絶えた。そしてサッチャーが出てきて「豊かな人を貧乏にしても貧乏な人は豊かにならない」といい、累進課税を緩和した。その後イギリスは欧州では珍しく繁栄を享受している。

日本人もここらで嫉妬を卒業しないと衰亡の道をたどる。

Posted by: mirai : 2008年09月18日 22:30

赤木智弘さんの理屈こそ嫉妬を正当化するために理屈ですね。格差が固定化? 誰にでもチャンスはありますよ。嫉妬心ではなく向上心を持てばいいのです。

Posted by: kai : 2008年11月13日 16:45

赤木さんの言うことにも確かに不足はあります。
けれど
kaiさんもまず社会の原則や世界をみる必要があると思います。


日本では赤木さんの視点がマイノリティで
kaiさんの視点が多数派なので
kaiさんは赤木さんのいうことはただの嫉妬だ!自己責任だ!とすることに何の疑問も抱かず、正当性すら感じているかもしれません。
日本の多数派に組みしているのでその主張を正義、倫理的とも思っているかもしれませんが


実は世界をみると
赤木さんの主張は多数派で
kaiさんの主張は日本特有な視点なので世界ではマイノリティなのです。

なので欧米では赤木さんの意見を非難する人が非難を受けることになります。
あちらは大衆運動も盛んなのでブッシュ政権の新自由主義路線も大衆によって打倒されました。

もちろん欧米にも赤木さんのように
日本でいえばフリーターのような人々はたくさんいます。
けれど
日本と欧米とで違う点は、欧米は赤木さんのような方が努力不足や能力不足でその立場に追い込まれているのではなく
社会機構によって役割が固定されている影響が大きいことも認めているので
ウェイトレスやドアボーイやらそういう日本でいえばフリーターのような人々を"チップ"と云う方法で支えているのです。

あちらのフリーターは時給1000円前後
それでも正社員のような地位の人々には及ばず 生活も厳しいので給与だけでは生活が困窮しますが
チップがあるので少しばかり補えるのです。

しかし
日本では赤木さんのような主張はマイノリティなので自己責任だ甘えだと非難されます。

もしkaiさんが欧米のホテルに泊まり
収入が低いのは自己責任だ甘えだ!と非難してボーイのサービスに対しチップを払わなければ、社会から非難されるのはむしろkaiさんの方なのです。


日本では赤木さんのようなフリーターに低賃金+上等な接客(サービス)をチップなしに要求し+非難を浴びせます。
そんな状況では赤木さんが不満に感じるのは自然なことなのです。

社会的地位の低い弱者に嫉妬だ努力不足だ自己責任だと非難するのは個人の原則を知らないからです。

社会機構に属する個人の行動について
原則があることを知るべきです。

"個人はその立場で選択できる範囲の行動しか選択できない"と云う原則です。

Posted by: Wallace.D.Alen : 2009年05月05日 23:39

難しく考え過ぎじゃないですか…?

徒競走に例えれば、嫉妬ってのは足の引っ掛け合い。嫉妬は全体をスポイルします。互いが純粋に競争に力を集中すれば、全体がペースアップするでしょ。

嫉妬をやめ、自分の価値を信じる。

逆に言えば、自分の価値を信じられない人間は、競争を放棄して他人の足を引っ掛けるようになる。これが嫉妬です。

あと愚痴らない事でしょ

Posted by: ヤマザキ : 2009年07月24日 00:11

もっかい言いますが

自分の価値を信じる(認める)という事は

ファイティング・ポーズを取れ、という事ですよ。

Posted by: ヤマザキ : 2009年07月24日 00:18

はじめまして。突然のコメント。失礼しました。
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