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「地域間格差」の再設計に向けて
Society[society] はてなブックマーク - アゴラ : 「地域間格差」はもっと拡大すべきだ - 池田信夫
個人的に地方によく旅行に出かけるので、どんな辺鄙なところであっても民家が遍在していることには確かに驚かされ、池田先生のこの手の意見は概ね理解できるものの、これでは感情的な議論を巻き起こし、現実的な行動に繋がらない。生活者の関心を集め、議論を膨らませるフェーズでは、暴論・極論は有効なのだが、今は果たしてそういうフェーズなのだろうか。
まず、何故「地域間格差」を再設計しなければいけないのかだが、生活水準が上がり、公共サービスに期待される要件が高くなると、辺鄙な地域にまでユニバーサルなサービスをインフラコスト的に保証できなくなり、ある程度集約する必要がある、ということがある。経済面でも、サービス産業化が進むと、サービス業は人口密度の経済性の要素があり、ある程度集約されなければ生産性も上がらない(例えばサービス業の生産性と密度の経済性-事業所データによる対個人サービス業の分析-など)。超高齢社会に向けて社会福祉の中核となり、今後ますますニーズが増える、医療・介護サービスについても、もちろん同様である。
この前提が仮に共有されて、次に必要なことは、どういう「地域間格差」であるべきか、ということになる。まず「あるべき姿」が共有され合意されないと、議論が発散してしまうし、現在とのギャップや、今後の方向性も分からない。「都市」対「地方」では定義が曖昧であり、各人が思い描くものが異なっている可能性が高い。
ここでは、「あるべき姿」を仮に、
i)東京(1000万人)
ii)各地域の中心都市(300万人x20)
iii)農業(1次産業)・観光・エネルギー・水資源・軍事等を支える中小都市(10万人x500)
としてみたい。
東京は、交通インフラや住居の過密が限界なのと、現時点でも大地震で日本経済ごと壊滅する危険を抱えているので、これ以上集約するのはリスクが高く厳しい。そこで各地域の中心都市に分散させるということになるが、現在の指定都市はせいぜい60-200万人規模が多い(総務省 指定都市一覧)ので、むしろ課題になるのは、2つ目の地域の中心都市をどうやって発展させるか、ということになる。権限と財源を(人材も必要だが)再配置する道州制が本当に解になるのであれば検討する価値がある。
3つ目の中小都市をどう考えるかだが、大都市もアルコロジではないのだから、エネルギー、水資源、食料などを提供する周りの地域がなければ、維持できない。地域の都市群全体でのエコシステム(生態系)を考える必要がある。これは、仮に道州制になるとすれば、各地域が道州都を中心に周辺の都市に財源を再配分することが考えられる。
実際には、現在の市町村数は1750程度(総務省 合併相談コーナー)、ということなので、まだまだ数が多いが、直近で課題になるのは、冒頭で挙げたような僻地の対応だ。普通の人は経済学者のようには合理的ではないので単に市場的アプローチでは解決しない。しかし、公共サービスの提供をギブアップするということはそろそろ考えてもいいかもしれない。これは、ダム等のインフラ整備事業で引越しをお願いしてきたのと同じアプローチで良いと思われる。つまり、現状維持バイアスや土地への愛着心バイアスをコストとして上乗せした形で、引越し費用や住居費用を補償するのに対して、それよりも公共サービスのインフラ提供のコストが上回ってしまう世帯数ラインが出せるはずであり、そこから着手するという優先順位づけができる。
関連: [society] はてなブックマーク - 暇人\(^o^)/速報 : 地方都市の衰退っぷりクソワロタwwwwww - livedoor Blog(ブログ)
参考: [society] 平成19年度 国土交通白書 集約型の都市・地域づくり