書店委託販売

『Solid Situation Poems』を、以下の書店で委託販売していただけることになりました。

紀伊國屋書店 新宿本店さま 2階詩集コーナー
紀伊國屋書店さまはツイートもしてくださってます。

 

忘日舎さま
東京・西荻窪の古書店です。

水中書店さま
東京・三鷹の「町の古本屋」です。

十二月文庫さま
東京・世田谷若林商店街の古書とレコードのお店です。

 

目立つポップも作りました。
お近くの方は、ぜひ書店でお手にとってご覧ください。

 

委託販売は、まだ交渉中の書店さまもありますので、もう少し増えると思います。
他にも置いていただけるお店が確定しましたら告知いたします。

 

 

Kindleがやってきた頃

先日「Kindleで販売中の本」のページを公開して、Kindleが日本上陸したころの騒動を思い出したので、メモ代わりに書いておきます。

アメリカのAmazonで、Kindleという電子書籍サービスが開始されたのが2007年。
そのときは、海の向こうのことだし、日本でのサービスはいつになるのかわからないし、しかも、当時の日本では、2003年ごろからソニーとパナソニックが販売していた電子書籍端末が生産終了というニュースが流れてもいて、正直「いまさら?」と思わざるを得ませんでした。
そのへんの詳しい経緯と私の感想は【稀人舎通信9号】に掲載したエッセイ「稀人舎の軌跡・2009〜2012」に書きました。

そんなふうに、日本、というか私の中ではもうすでに終わったものだと思っていた電子書籍ですが、Kindleのえらかったところは、既存の出版社だけでなく、誰でも自分で電子書籍を作って売る仕組みを作ったことです。そのセルフパブリッシングで出した電子書籍がすごく売れた事例などがアメリカで紹介され始め、瞬間的にのようですが、Kindleの売り上げが紙の本を上回ったなんていうニュースも飛び交ったのが、2009年の秋から暮れにかけてのことだったと思います。
そうして、年が明けて2010年。日本では、前年にアメリカで話題になったKindleがやってくるぞ〜と大騒ぎでした。「電子書籍元年」とか「黒船襲来」なんて言われてましたね。それもなんだかな〜って感じだったんですが、いろんな情報が飛び交い、自分で作って売ることができる、しかも手数料なしで、というKindleDTP(degital direct publishing 当時はこういう名称でした。今は「KDP(Kindle direct publishing)」)の仕組みを知り、まだ日本ではサービスが始まってなかったので、アメリカAmazonでアカウントを作って、そっちで電子書籍を出し売っている漫画家さんが数人現れました。漫画だったら文字も含めたページ全部が画像でアップできるので、日本語対応してなくても日本語の本が出せるじゃん!ってことだったんですよ。
2010年の時点ではまだ日本ではKindle端末は売ってなかったんですが、アメリカAmazonから輸入という形でなら買えるし、データを送ったり閲覧したりするのは海外だろうが国内だろうが関係ない。ビバ!ネット社会。

……というわけで、私もやりました。
まずは、アメリカAmazonでアカウントを作り、DTP(Kindleのセルフパブリッシングサービス)に登録。順序がめちゃくちゃだったけど、やっぱり端末もないとダメか〜と船便でKindleを取り寄せました。
↓これです。

今日引っ張り出して電源に繋いでみたんですが、この画面から変わりませんでした。どうもケーブルのほうがイカれてしまったようです。
まー、日本語対応してなくて、日本でのKindleのサービスが始まったときには結局使えなかったし、しかもその後Kindleはスマホ、タブレット、PCで閲覧できるアプリを無料配布し始めて専用端末はなくてもよくなってしまったので、これはもはやただのオブジェになってしまいました。でも、この小さくて押しにくいキーボードというかボタンがもう、なんともいえないかわいらしさだし(笑)、このちょっとレトロなガジェットって感じのデザインは結構好きだったんですよ。
2010年1月に勢いだけでアメリカから呼び寄せたKindle2。確か2万5千円ぐらいしたと思います。それでも値引きされてそのお値段。発売当初は4万円ぐらいしたとか……。
今じゃ、カラー表示ができるFireシリーズが1万円台で手に入りますよとほほ。

それはさておき、そんなお高い端末と海の向こうのサーバとのやりとり(当然英語)で、どうにか私も漫画のKindle本をアメリカAmazonから1冊出版しました。全然売れませんでしたけどねっ。でも、全然売れなくても、Kindleストアというお店に並べることはできるということが経験できただけでも、本をどこで売るかに頭を悩ませていた当時の私には、Kindleはとても可能性のある世界のように思えたのです。
当時、「黒船」は2010年の年内にも「襲来」するのではと、国内の出版各社は大騒ぎで、いろんな協議会やら団体やらが立ち上がったと記憶していますが、そのへんの団体たちは今どうなっているんでしょうか……。

そんなふうに、私も日本の出版業界もドタバタと振りまわされた2010年でしたが、結局Kindleが日本国内でのサービスを始めたのは2012年10月。上に写真を載せた私のかわいいKindle2くんは日本語がしゃべれないためにお蔵入りとなり、私は2010年の暮れに手に入れたiPadのKindleアプリで閲覧していました。
日本でのセルフパブリッシングも始まり、待ってました〜と、そのとき手元にあった漫画をまずは出版してみて日本語のサイトのありがたさに涙し(その漫画はもうリジェクトしてます)、その後、2013年には「ネガティブくん」「アングリーちゃんの怒り日記」というカラーの作品を実験的に出版してみました。
カラーもオッケーとは、なんと素晴らしい。
そのころからスマホやタブレットが普及してきましたしね。
しかも、Amazon側でKindle Comic Creatorなんてツールも用意してくれて、かつて英語と格闘しつつ自分でhtmlを書いたデータを(アメリカのサーバへ)送っていたことを考えると、ものすごくやりやすくなりました。

最初にKindleで出したのが漫画だったせいもあり、なんとなく文字ものは敬遠していたんですが、去年(2016年)には、文字ものの「ジュリーのシングル曲でたどる昭和女のイバラ道1971〜1976」という本をKindleで出してみました。
これは最初に紙の本で出したんですが、どうせ売れないだろうと少部数だけ作ったら、なんとあっという間に売り切れてしまったんですよ。びっくり。
でも、増刷するほどは儲かっていないし、これ以上売れるかもわからない。在庫を抱えるリスクは負いたくない。こういうときこそKindleだ!ってんで、初の文字ものKindleに挑戦しました。
epub?それはなに?ってぐらいの知識しかない私ですが、ここの「でんでんコンバーター」というツールを使わせていただきました。簡単!
今後も、絶版になっている【稀人舎通信】の1〜5号や、他にも稀人舎が持っているコンテンツを少しずつ、Kindleで出していこうかなあと考えています。

最初は「黒船」だ「外圧」だと拒否反応を示していた出版各社も、今では紙の本と一緒にKindleで電子書籍も出すことが増えました。それに加えて、出版社ではない私のような個人でKindle本を出している人もたくさんいます。Kindleなら紙の本における流通やらなんやらのめんどくさいこと抜きで、まさにダイレクトに個人が誰でも出版できるんですよ。コンテンツの数としては、ものすごいことになっていると思います。
本を読むときは電子書籍で、という人も増えてきているでしょうし、今後もKindleを代表とする電子書籍の動向に注目していきたいと思います。っていうか、「注目していきたい」というよりも、普通に出版の方法のひとつとして考えていくことになるでしょう。

e託販売サービスという販売方法

今日は、このサイトの「Amazonで販売中の本」てページを作るのに四苦八苦したわけですが、この、「未入籍別居婚」「稀人舎通信6号」「稀人舎通信7号」「稀人舎通信8号」「稀人舎通信9号」「稀人舎通信10号」「稀人舎通信改1号」「稀人舎通信改2号」の8冊プラス、今は売り切れて絶版になっている「稀人舎通信5号」も、e託販売サービスっていうシステムでAmazonとの直取引で販売しています。(絶版になってもマーケットプレイスがあるので、販売ページはそのままっていうのがAmazonのいいところだなあと思います。こっちには一銭も入ってきませんがね。宣伝にはなるじゃないですか)

【稀人舎】を始めた12年前は、今うちも利用しているような個人でやれる販売サイトもなく(もしかしてあったのかもしれませんが一般的ではありませんでしたし、そういうところから物を買う人は少なかったと思います)、自分で注文フォームを設置し、自分で郵便局の振替口座を開設し振替用紙を作って、注文された本と一緒に送って後払い、という方法でやっていました。っていうか、ついこの間まで「飲んだくれてふる里」はそうやって売ってました。

先にお金を振り込んでもらって、入金を確認してから商品を発送という方法でもよかったのですが、ネット通販が今ほど普及していなかった当時、どこの誰ともわからない個人(私のことです)にいきなりお金を振り込むことはハードルが高いのではないかと思ったし、「本」というものは生活必需品ではない嗜好品であるという考えから、後払い方式にしました。後払いなので回収できないことも覚悟の上だったのですが、実際何度か未払いの目にも遭っています。

2007年から始まったAmazonのe託販売サービスは、そんな私にとっての救いの神でした。

それまで、Amazonで新刊本を売るためには、出版取次会社という、いわば本の問屋さんと契約がないといけませんでした。この取次会社というところは、まず個人とは契約してくれません。絶対にできないというわけではなく、誰かの紹介があったり、よほど売れる見込みのある出版物を作っていたりすれば「話を聞いてくれる」こともあるということですが、まあ、契約に漕ぎ着けるまでには高いハードルがいくつもあるわけです。

そんなハードルを飛び越える力も度胸もコネもなかった【稀人舎】がAmazonで本を売るためには、すでに取次と契約のある販売会社に高い委託料を払って販売委託をするしかありませんでした。「飲んだくれてふる里」はそうやってAmazonで販売を始めたのですが、全然売れなかったせいか今は絶版扱いになっています。販売会社とももう連絡を取っていません。どうせ売れないし。

それが!! e託販売では、本に出版者記号(ISBNというやつです)を付けて、年会費さえ払えば、誰でもAmazonと直接取り引きをして本を売ることができるというのです。Amazonから提示されている規約を守り、年会費(9000円)さえ払っていれば、よくわからない理由で絶版扱いになることもありません。どれだけ売れたかセントラルページで細かくチェックすることもできます。

しかも、本はAmazonからの納品依頼に従ってAmazonに送っておけば、購入者へはAmazonが発送してくれます。自分で「住所に間違いはないか」「商品の入れ忘れはないか」「振替用紙の間違いはないか」とか、いちいちびくびくすることもないんです。これは私が小心者なせいなんですが、でも、とても安心。

購入する人も、どこの誰ともわからない個人サイトから買うよりも、いつも本を買っているAmazonなら安心ですよね。

当然、e託販売サービスが始まってすぐに【稀人舎】は登録し、今に至るわけです。

でもまー、10年ひと昔とはよく言ったもので、時代は代わり、ネット通販は普通のことになり、個人でもネットを通じてバンバン物を売るようになりました。個人が利用しやすい販売サイトもいくつもできましたしね。

そんなわけで、現在e託販売サービスに登録している8冊の本はそのままAmazonで売り続けるつもりですが、これ以降に発行する【稀人舎】の本はAmazonではなく、ネット販売サイトのSTOES.jpを利用して販売しようかなと思っています。お客さんが支払い方法をいくつか選べるというのも便利ですし。コンビニ決済とか安心ですよね。

 

【稀人舎】をやってきた12年の間に「本を売る」仕組みはどんどん変わってきました。電子書籍も普及してきていますし、以前と比べて個人でも本を売りやすいようになってきていると思います。このあと、さらにどんなふうに変わっていくのかはわかりませんが、【稀人舎】はその都度、うろうろと試行錯誤しながら本を売っていくことと思います。