2月18日(日)青山のスパイラルビルの9F・スパイラルルームでの「川口晴美と、詩と遊ぶ〜「Solid Situation Poems」発売記念」イベント、楽しく開催することができました。
おいでくださった方々、ご参加くださった作家の皆様、ありがとうございました。
15人の詩人、歌人、俳人が、それぞれ持ち時間5分の中で、『Solid Situation Poems』に収録した詩と、イベントのために書き下ろした新作を、個性豊かに朗読してくださいました。
新作のお題は
「反社会的広域暴力集団によんどころなく関わっていて(父から受け継いだ組長かもしれないし、この機に乗じて下克上を企てている若頭あるいはその情婦かもしれないし、中学の先輩に誘われて先週うかうか入ってきたばかりのチンピラかもしれないし、組織犯罪対策本部の刑事かもしれないし、雇われヒットマン、情報提供者(エス)、その他かもしれない)、明日大規模な抗争が勃発することがわかっているので、明後日自分が生きているかどうかわからない、と思いながら今日を過ごしている。」
というもの。
ヒットマン、ヒットマンの子供、チンピラが持つ拳銃、情婦、組長の娘などなど……、なかなかにスリリングな世界が広がっていました。
また、司会の川口晴美さんがインタビューする形でのトークもあり、詩作をする際の想いや工夫についてお聞きすることができました。
お客様もたくさん来てくださり、朗読される作品中では切ったり撃ったり死んだり殺したりと物騒な物語が展開されていましたが、会場は終始和やかに、時折笑いが起こったりもする楽しいイベントでした。
そして、私・小宮山も、『Solid Situation Poems』のデザイン担当として、途中で少しお話しする時間を取らせていただいたのですが、普段人前に出ることのない私は案の定アワアワしてしまい、話し終わったあとに「あれも言えばよかった」「これも言わなかった」と、頭を抱えつつひとり反省会をするはめに。だいたいなにを話したかもよく覚えていないという……(笑)。
なので、この場で改めて『Solid Situation Poems』のデザインについて、少し書いておきたいと思います。
「川口晴美と、詩と遊ぶ」という、『現代詩手帖』の2017年8月号から10月号に連載された、このアンソロジーは、タイトルにもあるように川口晴美さんにより企画で、その川口さんから、デザインは小宮山にと声をかけていただきました。
この企画は、8月号が「女子高」、9月号が「ゾンビ」、10月号が「男だけの世界」という、その掲載月ごとにある状況をかなり細かく設定し、その架空世界を生きる者として、各月6〜8人の作家が詩、短歌、俳句を書くというもの。
私は、お話を聞いた当初は、それぞれのテーマごとにそのイメージに合った共通の地紋や飾り罫を作り、そこに作品を『現代詩手帖』のフォーマットに従って配置していけばいいのかな、と結構おとなしめなデザインを考えていました。
しかし! 実際の作品を前にしての打ち合わせをしてみると、川口さんも思潮社の藤井さんも「もっと遊んだ誌面にしたい」「それぞれの作品ごとに違ったイメージのページデザインがいい」とのことで、縦組みと横組みが混在してもいいし、斜めになっても、書体が変わっていてもおもしろいかもね……などなど、
え? そこまでやっていいんですか!?
というようなアイディアがどんどん出され、最終的には『現代詩手帖』の中ではかなりぶっとんだデザインのページとなりました。
でも、イベントでも少し話しましたが、最初の「女子高」のときはまだおとなしめというか、一応「版面(はんづら)」は『現代詩手帖』のルールに従っていて、ページの端からの余白を取った本来文字を入れるべきスペースの中に収めてあり、作品の書体も『現代詩手帖』の他のページと同じものにしてあります。しかし、9月号の「ゾンビ」、10月号の「男だけの世界」と続けていくに従って、「あと、やってないことは……」と、私も川口さんもどんどん悪ノリしていき、最後の川口晴美さんの作品では「文字がぼやけているのはどうだろう?」とのことで、文字にぼかしをかけました。実際に印刷されたページを見た私は、「読めなくない?」「ちょっとやりすぎたか?」と、さすがにこれはやっちまったな!とがっくりしていたのですが、川口さんと藤井さんからは「もっとぼかしてもよかった」「まだ読めるじゃん」という、たいへん心強いお言葉があり、ひと安心でした(安心?)。
そんな心の広いおふたりに支えられ、デザイナーとして『現代詩手帖』さんの中で目一杯遊ばせていただけて、たいへん楽しく作業ができ、それを1冊にまとめたものが『Solid Situation Poems』です。
ちなみに、この本の中には『現代詩手帖』には掲載しなかったページが4ページあるのですが、これは、「女子高」のときに、最初は6ページで作品を収めてしまい、あと2ページ余っているということで、遊びで、各作品中からフレーズを抜き出して大小を付けて組み合わせて紙面を構成してみたものです。その後、ページネーションを変えて8ページで7作品を展開することになりボツになったのですが、迫力のある(迫力ありすぎてボツになったともいう…)デザインだし、せっかくだから本にするにあたって復活させようと、「ゾンビ」のものも新たに作成して追加してみました。
文字の力というか、言葉の力というか、そんなようなものが少しはデザインで表現できているのではないかなあと思っています。
2月18日のイベントの様子です。
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