Columns: Society
マイノリティと正論
Communication | Society「ある種のマイナーな趣味」を持つ人が反社会的行為を行った際に、マスコミなどがそれを恣意的に取り上げ、同様な趣味を持つ人がそれに対して反論と正当化を行うという構図は度々繰り返されてきた。そしてほとんどの場合、そうした反論は、少なからず論理的に筋が通るものであり、科学的(統計的)にも正しいにも関わらず、それが届くべき人たちに全く届いていない。
しかし、その届かなさを、相手だけの責にするのは間違いである。今回はそんな話。
何らかの言葉を発するというのは、モノローグである場合を除けば、聞き手や読み手に何からの判断を求めたり、行動を促したり、あるいは単に気持ちを共有したりするために行うものである。もしそれが相手に届かないのであれば、単なる自己満足に終わってしまう。
相手の行動を促す「コミュニケーション術」の中の一節はこの「言葉が届かない」問題を引き起こす、当たり前であるにも関わらず、理性の人がしばしば忘れがちな理由について、端的に書いている。
「何をいうか」という中身の説明をする前に考えねばならないことがあります。それは相手に「メッセージを受け止めてくれる心理状態」を持ってもらうことです。人間は感情を持った動物であり、それを無視したコミュニケーションは、内容がいかに正しく論理的であっても失敗してしまいます。相手が無意識に持つ心理的なバリアをいかに解除するかが課題となります。
ビジネスの場面でさえそうなのだから、趣味嗜好の場面は言うに及ばすである。こちらはもっと強烈だ。
人は感情80%、論理20%で動いているわけではない。ましてや感情90%、論理10%で動いているわけでもない。感情100%で動いているのだ。
「キモい」という単語は典型的で、言うまでもなく「気持ち悪い」という意味だが、この感覚はあらゆる論理を無効化する、思考停止なものであるにも関わらず、生理的に抗い難い感覚であり、これをカイゼンすることはほとんど不可能である。
自らの正当性を論理で納得させようとさせる余り、相手の感情に無頓着になってはいないだろうか、ということは十分に注意する必要がある。似たような理解されない悩みを抱えているマイノリティにはすんなり納得できても、本来届くべき相手は、タブンその正論を読んでおらず、サイトに近づこうともしていない。具体的にどうすればいいのかというのはやはり一介の正論吐き人間としては途方に暮れてしまう訳だが、空回りしているぐらいなら、より「生産的」な活動にリソースを割くというのもひとつの手かもしれない。
Posted: 2004年04月04日 01:27 ツイートこれを、コミュニケーションにまつわる「技術」として
捉えるならば、あまり間違った印象を受けなかったです。ある対象に対して何らかの主張なりアクションなりを
とって、それによって対象の意識の変化や
リアクションを期待したい場合、その対象に対して
最も効果的な「情報なりアクションなりの伝達法」が
模索されるべきであり、この効率性を無視すると、
対象に対してメッセージが満足のいく形で届けられる
可能性が下がるはずです。
ちょうどMe-262戦闘機がいかに優れていようとも
前線にあまり届かず活動範囲が限定されていたのと
同様に、メッセージが正論で適切であっても、
デリバリーの手法に問題があれば、そのメッセージが
対象にきちんと届いて活躍する余地は下がる筈
ですから。
それゆえにこそ、コミュニケーションスキルという
ものは対人的活動全般に渡って強力な触媒効果を
持ち得るものだと私は考えています。
また、コミュニケーションといってももちろん会話に
限った話ではなく、サイト上での表現や出版等々
にも言えることでしょう。例えば私のサイトが
外部集団に対してもっと沢山メッセージを配布
したいと思うならば、「サイト上のコミュニケーション
スキル」を向上させる必要があるでしょうし、幾らか
えげつないくらいに宣伝活動を行う必要も出てくる
でしょう(注:勿論私はそんな事微塵も考えて
いませんけどね、今は)。
キモいなんて言葉を吐く人達にマイナリティが
ある種のメッセージを吐くのは難しいでしょうね。
大体から言って、キモいという言葉で差別する
ような人達は、キモい人の言う事なんてきかないし、
そしてキモいと言われる人達が正論をデリバリーする
コミュニケーションスキルは大抵低いですから。
キモいとほざく人達に(例えば会話で)メッセージを
届けたいなら、パラドキシカルな話ですが、まず
キモくなくなって流ちょうな会話ができるように
なっておく必要があると思えてなりません。
少なくとも、私はそういう方向で自分を改造して
かなり得るところがあったと感じております。
シロクマさん、こんにちは。
ロジカルコミュニケーションは訓練すればある程度身につくと思うんですが、感情に訴えたり、共感したりするのはなかなか難しいんですよね。
シロクマさんのサイトはもっと広く読まれるべきじゃないかな、と思っています。個人的には自己改造系のコンテンツの拡充に期待しておりますので是非。
まぁ、「本来読むべき人たち」に余り人気がなかったり、そうでない人はそもそも読む必要がなかったりもするんでしょうが…。
Posted by: 秋風 : 2004年04月18日 01:06こんにちは、またブログ覗かせていただきました。また、遊びに来ま~す。よろしくお願いします
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