属性ポジショニングマップ

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最近また重い話題が多いので、たまには息抜きに、軽い話題で「キャラクタが似ている」とはどういうことかの続きを。

属性データベースAttribute(*1)は従来から当サイトの人気コンテンツの1つであるが、現在まだ課題があると認識している。そのうち、もっとも大きなものは各属性が独立した形でフラットな情報としてのみ定義されていることであり、属性間の関係が明確でないので有機的な活用がしにくい。そこで、このデータベースの情報価値を更に高めるために、属性間の関係を論理的、統計的な観点からメタデータとして付与していくことが必要と考えている。例えば、「ボーイッシュ」なのに「大和撫子系」というのは、どこかの国のサッカーチームじゃないけれど、「大和撫子」の定義が根本的に変わらない限り、どうしても想像しにくいものがあるし、同時に「金髪」でもあり「黒髪」でもある、といった状態は特別な場合を除き論理的におかしい。

(*1)NGとかXTとかはバージョン名であり気分で変わるので、正式には単に「Attribute」。OfficeXPとOfficeの関係みたいなもの。

論理的な整合性はおいおい検討していくこととして、今回はざっくりと統計的に、属性間の関係をグラフィカルに可視化することで全体のイメージを掴んでみよう。分析方法としては、以前に読者の方からもコメントを頂いた、多変量解析の手法の1つであるコレスポンデンス分析を適用する。コレスポンデンス分析は項目間の類似性を可視化するための手法であり、よく企業のブランドイメージのポジショニングマップを描く時に使用される。

前置きはさておき、早速属性ポジショニングマップをご覧頂きたい。なお、今回の分析では、300近くある属性を全て載せてしまうと視認性が著しく悪化し本来の目的を達成できないので、特にコアとなる基本属性と性格属性のうち、かつ登場頻度の高いもの(*2)を選別し、元データとして、キャラクタデータベースであるRagnaに登録されているキャラクタのうち、近年の500サンプルを使用した(*3)。

(*2)500サンプル中、10サンプル以上が該当する属性。
(*3)なので代表性という意味では多少の留意が必要。

灰色のだ円は、似たグループが分かりやすいようにまとめたものであり、これには筆者の判断が含まれている。5グループに分かれていることから、1つのゲームでキャラクタを5人登場させる場合、各グループから1キャラずつ作成すれば良いという、経験的には共有されていたナレッジが、統計的に裏付けられたと言うこともできるかもしれない。

一方で、縦軸と横軸は恣意的に選ばれたものではないのだが、全体的な傾向として、縦軸はプラスに行くほど関係性が女性リード、下に行くほど男性リード、となっているように見えるし、横軸はプラスに行くほど大人しく、マイナスに行くほど活発、となっているように見える(*4)。なお、縦軸と横軸は数値を見て頂ければお分かりのようにスケールが異なっていることには注意されたい。

(*4)言うまでもないが、プラスとかマイナスというのはあくまで統計上の数値であり、どちらが良いとか悪いとかいった価値判断はいっさい含まれていない。

冒頭の、「ボーイッシュ」と「大和撫子系」が対極にあるのはここからも分かるが、面白いのは、「守ってあげたい」と「癒されたい(甘えたい)」属性グループは一見関係が逆なように思えるのに、分析結果はこれらが類似していることを示しているといった例である。

それにしても、目が行かざるを得ないのが、「お姉さま系」の突出した逸脱具合だろう。この属性がなければ図が半分で済むほどだ。この手のキャラクタゲームで、いまひとつ人気が出にくい属性であり、「お姉さま系」キャラクタがいかに他のキャラクタと一線を画しているかが分かるのだが、もしかしたら、「お姉さま系」に類するキャラクタを上手く説明するための属性が当データベースにはないため、猫もしゃくしも「お姉さま系」に入れられてしまっているのかもしれない。属性というのは、差異として認識されることで、初めて「発見」されるものだからである。

Posted: 2004年08月31日 02:20 ツイート