少子化時代の子どもビジネス

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子どもが握る小売業の人気

少子化トレンドが続く中で、子供向け産業は、一見マーケットが縮小し、斜陽化が避けられないように思われるが、ある部分ではむしろ拡大していると言う。大事なのは直接の消費者の数ではなく、財布を持っている人の数とその財布の中身だからだ。

人口に厚みのある団塊の世代がちょうど仕事を引退する前後に位置しており、可処分所得が高い層が孫を持つ時期に来ている。こういう言い方がいいのかどうか分からないが、この頃の世代は仕事中心で過ごしてきたため、孫を可愛がり自慢する以外に楽しみを持たない人も少なくないのではないだろうか。当然、子ども(孫)に投資が集中することになる。高齢化社会で割合的に少数の労働人口が高齢者を支える構造とは全く逆に、少子化で絞られた子どもを多数の高齢者が援助する構造になるのだから、この集中度合いは一層顕著なものとなるだろう。加えて、晩婚化・非婚化の進展により、両親と両祖父母の「6ポケット」から叔父叔母を含めた「10ポケット」へとパトロンが増えている。

こうして多数のパトロンご一行によってリッチに育てられる子どもたちが一体どのような大人に育つのかについては若干の怖さがなくもない。しかし、ビジネス屋としてはともあれ、子ども向けの娯楽産業においても、単に少子化をマーケットの縮小と捉えるのでなく、子どもが好むことはもちろん、加えてパトロンが喜んで買い与えやすいモノ・サービスを提供することを考えてみるのも必要ではないだろうか。

【関連資料】
シックスポケット

男女とも平均初婚年齢が上がり、金銭的に余裕のある独身者が増えていることから、父親や母親の兄弟も含めた「エイトポケット」「テンポケット」といった言い方も登場している。

ナルミヤのローティーンビジネス

子供服ブランドの「メゾピアノ」や「エンジェルブルー」、あるいはキャラクターの「ナカムラくん」「ハナちゃん」などをご存知だろうか?　これらは、ナルミヤ・インターナショナルという子供服メーカーの主力ブランドやキャラクターで、小学生層を中心に絶大な人気を誇る。ナルミヤには体験してみないと分からない、驚くべきビジネスモデルが存在する。

子ども向けマーケットの区分については、1年半前のだが大手・異業種の参入で加熱する渋谷「ジュニア・マーケット」春の陣辺りを。

10年後の消費の潮流は?
物販の有望分野を探る〜2015年の商業の姿と近未来

晩婚化・未婚化によって、親と同居する未婚のOL「パラサイトシングル」が更に増加する。各種の調査によると、こうした女性の可処分所得とファッションへの関心は、一人暮らしのOLに比べて格段の差があることが分かっている。こうした親がかりの人達の豊かな消費行動を「パラサイト消費」といっている。

「6ポケット消費」は子供市場での消費行動をいう。少子化が進むことは間違いないが、そのバックには子供達の両親と双方の祖父母、合計6人のスポンサーが存在する。10年後には、パラサイト消費と6ポケット消費の潜在市場がさらに勢いを増すであろう。

Posted: 2004年09月19日 00:25 ツイート