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リレーションパターン

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コミュニケーションにまつわる問題は(恋愛を含めて)悩んでいる人が少なくないためか、ガイドやマニュアルの類いが多数出ている。しかし、こういった問題は、当人のコンテクストなくしては、役に立たない可能性が高い(以前の恋愛マニュアルの是非でも女性の顔と身上相談を紹介した)。そこで、まずこのコンテクストを記述することを考える。

ある人のコンテクストというのは、下位のレイヤには時代背景や地域もあるが、これは周りと基本的に同じなのでとりあえず除外すると、大きく分けて以下の2つで説明できる。

  1. その人の年齢、性別、性格、容姿、職業、その他様々な性質
  2. その人と他の人との関係

このうち、1についてはすでに記述するためのフレームワークが存在する。すなわち「属性」である。しかし、2についてはこれまで文章で記述するしかなかった。そこで、人と人との関係を記述し、分析するためのベースを構築しよう。

もちろん、こういった発想は別にオリジナルのものでも何でもなく、アカデミックな分野では「社会ネットワーク分析」と呼ばれる社会学の一分野である。Six Degrees of Separation(6次の隔たり)という理論はお馴染みだし、mixiやGREEといったSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)はこの社会ネットワークの考え方をITシステムに落としたものと言える。今回のエントリを書く中で、1冊基礎的な本を買ってみたが、「属性」を過度に重視し過ぎることなく、「関係」や「構造」に着目する、と冒頭に書かれており、考えることは同じらしい。

ネットワーク分析―何が行為を決定するか
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また、人と人との関係を記述するという目的では、FOAF(Friend of a Friend)がすでにあることはある(FOAFは一部の「属性」も記述できる)が、今回扱おうとしている問題意識とスコープにおいては今ひとつ表現力が物足りない。そこで、もう少し狭くて限定的な範囲でのモデリング方法を検討する。人と人との関係は人(ノード)と、関係(タイ)の組み合わせで記述されるので、これのバリエーションを広げる(図1,図2)。

【ノードの種類】


ノードの種類例

図1 ノードの種類例

【タイの種類】
A(acquaintance)…(友人まで行かない)知人。
D(dislike)…嫌い。
F(friend)…友人関係(一方向含む)。
K(kinship)…血縁関係。KGP(祖父母),KP(親),KC(子),KGC(孫),KOB(兄),KOS(姉),KYB(弟),KYS(妹),など。
L(love/like)…恋愛関係(一方向含む)。
M(marriage)…婚姻関係。
※その他にも仕事上の関係などが考えられる。

【リレーションパターン例】


リレーションパターン例

図2 リレーションパターン例(数字は関係の強度を示す)

上記の例は2者間の関係であるため、非常にシンプルであるが、これが3者間、4者間の関係となると、複雑な様相を帯びてくることになる。

こうしてモデリングされた関係は、類型化していくことも可能だろう。これをloveless zeroでは「リレーションパターン」と呼ぶことにする。様々なリレーションパターンを収集、分析してく中で、あるパターンにおいてどのように振る舞うのかが良いのかの検討ができるかもしれない。

なお、今回のモデル表記はあくまで思いつきレベルなので、今後変える可能性はある。また、何か良いアイデアやすでにこういった研究がされている、といったことがあれば、ご指摘頂ければ幸いである。もちろん、リレーションパターンの提案も歓迎。

【関連リンク】
「狭い世界」現象をSARS対策に応用する研究者たち
ネットワーク分析用語集 上記書籍と同じ著者による用語集。

Posted: 2004年10月03日 02:21 このエントリーをはてなブックマークに追加
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