Back Numbers | Home

Columns: Society

江戸になった結果がこれだよ!

Book | Society

現代日本を江戸時代に喩える言説をしばしば見かけるが、個人的にもっともだと感じる部分があるのは確かである。iPhoneの発売が騒がれたのも記憶に新しいが、ケータイなどの情報通信分野で「パラダイス鎖国」だの「ガラパゴス化」だの言われているのは、鎖国していた江戸時代を想起させる。

江戸時代の庶民文化として今でこそ高く評価されている浮世絵は、現代で言えばアキバ系の「萌え」になるのだろうし、(余り表には出ないが)春画が多数描かれたのは、エロ漫画やエロゲーに対応するのだろう。(戦国時代ならぬ)戦後の(米国の庇護下に入ることによる)長い平和のもとで、爛熟した文化(?)が花開いている。

関連: [subcluture] [雑学] 超有名絵師も描いたムフフな春画の目的ってナニ? | RxR | R25.jp

そこで、次に何が起こるのかを考えるヒントを掴めればと、現代日本を江戸時代に喩える話を書いている「あと3年で世界は江戸になる!」(日下公人)を読んでみたらこれが電波がかってて酷い。

4828414002あと3年で、世界は江戸になる!-新「風流」経済学
日下 公人
ビジネス社 2007-11-13

by G-Tools

基本的に「国家の品格」と同じ匂いがするが、筆者は楽観的な愛国主義者なのか、「二一世紀に世界の中で日本はどうなるかを考えると、たぶん世界は日本化する。日本はすごい国になっていく」「フリーター、ニートは粋な風流人(*1)」「日本は鎖国しろ」「日本語が世界の公用語になる」など現場が見えているのか疑わしい言葉が並んでいてクラクラする。

ただ、知識人の一流のユーモアなのだと好意的に解釈すれば、単に欧米礼讃や欧米コンプレックスから脱却して日本の良さを見直せ、欧米の政策やビジネスモデルの輸入に頼るのではなく、日本の歴史を踏まえて自分の頭で考えろということだけなのかもしれないし、それは間違っていない。

(*1)カネの心配がなく、自分で選んでいるのならその通りだが。

あと3年というと2010年になるが、当の日本はすでに江戸末期、「第三の開国」とも呼ばれる新たなフェーズのグローバリゼーションへの対応と(主に企業の要望により)外国人労働者の本格的導入を迫られており、江戸時代の黒船来航を思わせる状況にある。それを考えれば、むしろ江戸末期の動乱や、明治以降の日本がその後どのような道を辿ったのかということから洞察を得るべきかもしれない。

関連: [society] カトラー:katolerのマーケティング言論: 第三の開国へ、内向きの日本志向、情緒的な鎖国主義を排せ!
関連: [society] 労働力人口の減少により国内の専門職は大幅に減少~国内人材の更なる活用と海外の高度人材の取り込みで人的資本の確保を~ (pdf)

Posted: 2008年07月22日 00:00 このエントリーをはてなブックマークに追加
Amazon Search(関連しているかもしれない商品)
コメント
コメントする









名前、アドレスをブラウザのcookieに登録しますか?