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Columns: Society

「カエル!ジャパン」は広がっているか

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内閣府が今年6月から、ワークライフバランスを推進するため、「カエル!ジャパン」キャンペーンを展開しているが、半年ほど経って、これは果たして企業に広がっているだろうか。

ワークライフバランスは働き方の自由度の問題というよりも長時間労働の問題である、という分析が出ている中で、「カエル!ジャパン」の働き方を変えることで早く帰ろう、という意図は基本的に正しい。ただ、企業にとっては目に見えるインセンティブがない限りは、単なる政府のキャンペーンでは広がらない。

企業がワークライフバランスを推進するインセンティブとしては、女性社員の定着率の向上(長時間労働のために育児との両立が難しいと感じて退職してしまうのを防ぐ狙い)というのが一番分かりやすいが、ここに来て新たな「追い風」が吹いてきた。

金融危機に端を発し(というよりもたまたま重なったという方が合っていそうだが)「トヨタショック」とも呼ばれる景気後退の中で、企業はまず非正規社員の削減を進めているが、更に人件費を削減をしたい企業としては、残業代を減らすということがあり、実際に企業の動きとしても出てきているようだ。

[society] はてなブックマーク > 越えられない壁( ゚д゚)【経済】正社員も月18万円減収 いすゞ 非正規社員解雇で波紋…神奈川

ここに来て、「カエル!ジャパン」はかなり使い勝手のよい名目となりそうだ。「クールビズ」が環境対策というよりは、空調費を下げるというインセンティブによって推進されたように、「カエル!ジャパン」は残業代を減らすインセンティブによって推進される可能性がある。

ただ、「ワークライフバランスが新手の「リストラ」になる」でも書いたように、ビジネスシステムの改善や生産性を上げることなく、単に帰宅時間だけをコントロールしようとするのは、「クールビズ」で生産性が下がっている可能性が指摘されているように、目に見えにくい歪みを生み出す危険性もある。

それと、残業代を下げるという「カエル!ジャパン」のインセンティブは、あくまでも、残業代をきちんと払っている企業の場合にのみ存在しているものであり、もともとサービス残業が蔓延している企業においては、社員を早く帰らせたところで何のメリットもない(「記録上の退社時間」のみが短くなる可能性はあるが)。そのため、「カエル!ジャパン」の普及は、「クールビズ」に比べると、限定的に留まるのではないだろうか。

Posted: 2008年11月25日 00:00 このエントリーをはてなブックマークに追加
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