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Columns: Society

「誰でも恋愛できる」は幻想か

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ここのところニュースエントリしかないので軽いところで。

一部で人気沸騰中の「年収と結婚の知られざる関係」(どちらかという誰でも知っている関係)シリーズの3/24の記事、「『誰でも恋愛できる』という幻想を捨てよ」に関して、一読し「幻想を捨てよ」という提言は、誰に対するものなのか、という違和感が残った。一見、日経ビジネスAssocieの記事で、かつこれまでの記事からのコンテクストを考慮すれば、主に売れ残った30代男性ビジネスパーソンとも思われるが、どうもぴんとこない。「幻想」を抱いているのは誰なのだろうか。

人の思考のスキームは基本的には自分の体験と、周囲の仲間(多くの場合自分と似ている人)から聞く話に強く影響されて構築されてきたものであると言える。もちろん、情報洪水時代にあって、TVやネット、新聞、書籍といったメディアにも大きく影響を受けるが、実感を持って理解できるのはやはり自分や身の回りの経験によるものだろう(※1)。

(*1)自らの既得権益に無自覚ということ。とか。

恋愛について言えば、恋愛経験・機会が比較的多く、普段から恋愛している人ほど「誰でも恋愛できる」という考え方に馴染みやすく、経験・機会に乏しい人ほど、「誰でも恋愛できる」という考え方には馴染めず、諦めが入っているのでますます機会から遠ざかる、と考えるのが自然である。そうした認識のギャップが、もしかしたら「ラブハラ」の土壌になっているとすら言えるかもしれない。

つまり、想定読者である30代独身男性ほど「誰でも恋愛できる」という幻想を持っているとは考えにくい、ということになる。「効果的か」「ワークするか」ということで言えば、もし筆者が非婚化を気にしているのであれば、例えば「仕事を頑張ってカネを稼げ。自信を持て。その上で結婚情報サイトに登録して会いまくれ」といった提言の方がまだ実際的だと思われる。

むしろ「幻想を捨てよ」という提言がもっともフィットするのは、政府に対してかもしれない。「幻想」というよりは「誤認識」だが、政府に対して、結婚制度の制度疲労が大きく、現実に則していないので、制度を変えよという提言であれば説得力はあるし、後段の小谷野敦のアイデアにも繋がる。ただ、そうすると、何で日経ビジネスAssocie? ということになるんだけど。

【参考】
[society] 単婚と複婚
[society] 一妻多夫婚
[society] 経済格差 揺らぐ倫理

Posted: 2006年03月25日 23:59 このエントリーをはてなブックマークに追加
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