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「生きやすさ」のトランプ的非対称構造
Partner Style | Society前回のニュースエントリで、社会で進んでいる少子化の一要因になっている非婚化の現象に対して、男性の責任(コミュニケーション能力の低下or要求水準への未達、家事・育児への非協力、収入の低下など)が問われたり、よりしばしば聞かれるものとして、女性の意識変化や社会進出による非婚化・晩婚化が語られたりするということがあったが、そこではトランプのような非対称性な構造が発生しているのではないだろうか。
「トランプ的非対称構造」とは、トランプ(playing cards)ではスーツの強さの関係は通常スペード>ハート>ダイヤ>クラブとなっている訳だが、「生きやすさ」ということにおいて、(何をもって勝ち負けを決めるかは別として)勝ち組男性>勝ち組女性>負け組女性>負け組男性のような非対称な序列が発生しているのではないかということである(図1)。
つまり、全体としては男性の方が有利な場面が多いものの、その一方で、普段は言及されないインビジブルな男性にとって厳しい状況があるということである。例えば、引きこもりの男女比は 6:4〜8:2ということが指摘されているが、ストレス耐性やコミュニケーション能力の差というだけではなく、権利ではない義務としての社会的圧力が何らかの影響を与えていることは容易に想像される(*1)。先進国としては異常に多いとされる自殺者についても、男性が72.3%と、7割を占めている状況(*2)であり、「生きやすさ」という点で、何らかの差が発生していることが考えられる。
(*1)もっとも、いわゆる「家事手伝い」への風当たりの変化によって、今後は恐らく同率になっていくと思われるが。
(*2)「若いオレたちこそ危ない? 忍び寄る自殺の罠」など。
実際、こうした構造は色々なところで見られる。企業における依然とした男性社会がしばしば批判の対象になっており、特に仕事の場面において、男性の方が全体的に有利な職場が根強く残っていることは明らかである。非正規雇用・不安定雇用の問題は従来から女性において顕著であるし、専業主婦モデルが男性収入の減少により多くの場合非現実的になりつつある一方で、諸制度が依然としてそうしたモデルから脱却できておらず、仕事と家事育児の両立の負担や、離職後の再就職の難しさが主に女性のみにかかっていることがある。しかしその一方で、成人した男性が働かないこと、定職に就かないことに対する周囲の目の厳しさもしくは役割期待は、女性に対するそれとはかなり異なっている。
非婚社会化についても同様で、望ましい相手が現れなければ無理に結婚する必要はないという認識が広く共有され、シングル女性が(ある年代以下の人には)比較的市民権を得てきた一方で、一定年齢を超した独身男性への視線が依然として冷たいことが「『独身男性』に対するまなざしの変化」などで示されているし、その前提となる恋愛においても、「恋愛市場におけるロングテールの可能性とその限界」でも図にしたように、男性の方が格差が大きくなりがちな傾向があり、男性の非モテと女性の非モテの度合いの差(男女のオタクの恋愛機会・経験の差でもいいが)が天と地ほどの違いがあることが日露アナルファック戦争 大セックル帝国栞軍大本営などでも繰り返し指摘されている。
不平等に対する不満は基本的に上を見て出てくるため、下の方に目を向けられる事は、非難の対象になる時ぐらいしかない。このような社会にあって、負け組男性は、一括りに男性社会への批判に晒され、それをまじめに受け取ってしまうと同時に、コミュニケーション能力などの点で説教・非難の対象となり、かつある面では必ずしも間違っていないがゆえに反論もできないことから、ほとんど打たれっぱなしのサンドバック状態になっていると言える。「男性であることから降りる」(既存の競争原理から降りてある意味でジョーカーを目指す)動きが全体としては有利であるはずの男性を中心として出てくるのは、こうした非対称的な構造の状況下であると思われる。
【参考資料】
[society] 男女共同参画社会に関する世論調査
「打たれっぱなしのサンドバック」は言い得て妙ですね。
「負け組」には一切の発言権が無い、と言う風潮すら感じられますし。
こんにちは、またブログ覗かせていただきました。また、遊びに来ま~す。よろしくお願いします
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