「雑な本」を作ろうと思いついたのは上で書いたような理由からなんですが、その「雑」という感じがこの「双花町についてあなたが知り得るいくつかのことがら vol.5」の雰囲気に合っていたからということもあるんですよ。言い訳っぽいですが(笑)。
実は、このアイデアは「paper version 4」のときに思いついていたんですが、「vol.4」の内容には合わないなと思って、「paper version 4」はかなりしっかりした作りの「普通の本」にして、満を持しての「paper version 5」の「雑な本」となりました。「vol.5」の、少し狂気じみた内容と写真に、ザクザクに切った不揃いな紙や偏執的な細かい書き文字が合っているんじゃないかと思います。
ポエケットには「paper version 4」も持っていきます。
「普通の本」といっても、やっぱり手作りなので、手作りならではのことをあれこれやってます。
そんなふうに、日本、というか私の中ではもうすでに終わったものだと思っていた電子書籍ですが、Kindleのえらかったところは、既存の出版社だけでなく、誰でも自分で電子書籍を作って売る仕組みを作ったことです。そのセルフパブリッシングで出した電子書籍がすごく売れた事例などがアメリカで紹介され始め、瞬間的にのようですが、Kindleの売り上げが紙の本を上回ったなんていうニュースも飛び交ったのが、2009年の秋から暮れにかけてのことだったと思います。
そうして、年が明けて2010年。日本では、前年にアメリカで話題になったKindleがやってくるぞ〜と大騒ぎでした。「電子書籍元年」とか「黒船襲来」なんて言われてましたね。それもなんだかな〜って感じだったんですが、いろんな情報が飛び交い、自分で作って売ることができる、しかも手数料なしで、というKindleDTP(degital direct publishing 当時はこういう名称でした。今は「KDP(Kindle direct publishing)」)の仕組みを知り、まだ日本ではサービスが始まってなかったので、アメリカAmazonでアカウントを作って、そっちで電子書籍を出し売っている漫画家さんが数人現れました。漫画だったら文字も含めたページ全部が画像でアップできるので、日本語対応してなくても日本語の本が出せるじゃん!ってことだったんですよ。
2010年の時点ではまだ日本ではKindle端末は売ってなかったんですが、アメリカAmazonから輸入という形でなら買えるし、データを送ったり閲覧したりするのは海外だろうが国内だろうが関係ない。ビバ!ネット社会。