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スイスパラグライダー日記その6

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2000.06.20 (火)
昨日は、昼過ぎにグリンデルワルドに行った為に、サーマルが強すぎて、飛べなかった。今日は、朝一番でグリンデルワルドに向かった。ケーブル乗り場で小滝さんと別れて、猿マーティンに従った。各人でケーブルの乗車券を買って待つ。僕は、神吉さんと同じキャビンに乗った。お互いにDVカメラを駆使して撮影している。神吉さんは、なんかブツブツ言いながら撮影している。良く聞くと、「ちづ、ここを飛ぶんだよ。凄いだろう」と言っている。日本に残して来た、奥様に語りかけているのだ。神吉さんは、以前にグリンデルワルドの空を飛んでいる。僕は、ここに新婚旅行で来た事があるが、その当時は、空を自由に飛べるパラなんかなかった。キャビンの窓は、傷だらけだ。カメラだけを外に出して撮影したが、ファインダーを覗けないので不安だ。思い切って、少し開いた窓から頭を外に出して見た。出せた。綺麗な画像を撮影する事が出来る。アイガーの北壁が目の前に迫って来る。この様な雄大な景色の中を飛ぶ事が出来るとは、幸せだ。
途中に中間駅があり、慌てて、撮影を止めて荷物を出して降りようとしたら、前のキャビンに乗っていた長谷川さんとタニヤンが、手を振って「ここじゃない!」と言っていた。また、キャビン内に戻った。見たら、次のキャビンに乗っていたこぶたんも降りて、また、乗り直した。あまりにも滑稽だったので、自分たちのことを棚に上げて大笑いしてしまった。どうも、広と正子が「早く降りて」と煽ったらしい。
終点は、フィルスト(FIRST)と言う駅だ。駅の上の展望台に行くと、そこには、標高2200mと標示されていた。実際に飛び立つ所は、そこから少し下った所だ。2168mである。ランディングは、駅のすぐ近くで、標高940mだ。高度差は、1228mもある。テイクオフポイントは、少し下った丘だ。大きな吹き流しがある。NOVAのパラザックを担いだ女性が少し前を歩いていた。「機体は何か」聞くと「XACT」と答えた。「いいグライダーだ」と言うと喜んでいた。スイス人の男性のフライヤーが3人いた。女性の仲間だそうだ。ここでのフライトは、彼女は初めてだが、男性達は、何度も飛んでいると言う。
こぶたん、正子がテイクオフした。ビデオカメラで追った。雄大なアイガーやベッターホルンの山を背景にフライトしている正子の赤いXRAYはとても映える。出てすぐにサーマルにヒットしたが、弱い。小滝さんから「ランディングの位置を確認して下さい」と無線が入る。「石切場の様な所の近くにランディングがある」と猿マーティンが言う。大体の場所が分かった。神吉、長谷川、広さんが続いて出た。残りは、マーティン夫妻のタンデムと僕だけだ。僕が先に出た。出てすぐの所の弱いサーマルの中をしつこく回した。レベルキープだが、高度が下がらない。暫く、回していたら、少しずつ上昇した。しかし、100mゲインがやっとだ。マーティンとタニヤンのタンデムも出た。同じ場所で回した。僕の方が高度を得て、フィルストの駅上の展望台の方へ飛んだ。観光客が手を振っていた。弱いサーマルなので外さない様に必死に粘った。マーティンは、右の岩尾根の方向へ移動して行った。かなり高度を下げながら飛んで行った。その頃は、僕の方がずっと高い所を飛んでいた。しかし、マーティンは、岩尾根の上で高く上がって行った。その頃、次々とスイス人のフライヤーがテイクオフして、僕の下 を這いつくばっていた。ここにいては、これ以上ゲイン出来ないと判断してマーティンの方向へ移動した。途中やはり高度が下がった。でも、尾根に近づいたらサーマルにヒットして上昇した。尾根の上には、池があった。とても綺麗に見えたので写真を撮った。もう、皆、既に、ランディングしたらしい。「折角のグリンデルワルドだ、しつこく飛ぼう」と決心した。マーティンがさっき飛んでいた所よりも高く上がった。マーティンは、アイガーの方向へ飛んで行った。僕は、尾根の上を高く上げて飛んだ。下を見るとおとぎの国の様な景色が見えた。前には、アイガーが…。グリンデルワルドはとても良いフライトサイトだ。テイクオフしてから1時間経った。昼食の時間だ。尾根を外れて、ランディングの方向へ機体を向けた。ゆっくりと沈下して行った。デジカメのシャッターを次々と押した。石切場の近くの西側に赤い目印があるのがランディングだ。ウインドソックも見えた。西風だ。少し強めの様だ。ショートしない様に高めにアプローチした。ランディング場の真ん中に着陸したら正子が寄って来て「私、もう絶対に先にでないから…」と半ベソをかいていた。「ランディングを探すのに精一杯 でサーマルを外してしまった」と嘆いていた。確かに、先に出るとその様な事がある。また、サーマルがまだ弱い時間帯だったことも事実だ。でも、これは、仕方がない。全員に少しずつだが、サーマルヒットのチャンスはあった筈だ。マーティンは、僕に「ずっとテイクオフ前で粘っていたが、早く右に移動した方が良かった。そっちの方がサーマルが強くて上がるチャンスが多い」と。まあ、そう言われればそうだが、あれはあれなりに楽しめた。観光客のギャラリーの前で飛んで見せたのだから…。
昼食は、ニイダホンへ行く途中の山の中腹にあるレストラン・ルエグブイグリで食べた。サラダとビール。外のテラスは、レインのランディング場や飛行場、インタラーケンやビルダーズビルの街迄、全部見渡せる。ハングがレインへアプローチしているのをビデオで撮影した。5日目になって、やっとこの辺の地理関係を理解して来た。
スカイダイビングが見えた。スイスナショナルチームが練習しているそうだ。飛行機から飛び出す様子が手に取る様に見えた。キャノピーが開く迄の落下速度は凄い。
昼食を終えて、ニイダホンに行くか迷ったが、マーティンが携帯電話で風を聞いたら、良くないとのこと。結局、ルエグブイグリで飛ぶ事にした。前に来たテイクオフには、良い風が入っていた。ハインツが大勢の人達とテイクオフにやって来た。懐かしい。タンデムだ。半ズボンと半袖シャツ。僕達は、全員、何故か、長袖、フライトスーツで身を固めている。どっちがおかしい?
タンデム機を縦に並べて、パッセンジャーを前にして、構えている。こちらでのタンデムは、岩屋と違ってフロントでテイクオフしている。最初のタンデムが出て、次は、ハインツだ、「イキマース」と日本語で言って、見事に出て行った。テイクオフして左側に行く人と右へ行く人がいたが、どうも、左側の方がゲインするようだ。僕が出た時は、とても良い風が入っていて、クロスでテイクオフした。出てすぐにサーマルにヒットしたが回す程では無かった。さっき休んだ山の中腹のレストランの前で飛んだ。お客が手を振っていた。僕も今日は、余裕があるので、手を振り返した。単純なぶっ飛びで終わってしまった。
全員がランディングしてから、もう一度飛ぼうと言う事になった。再度、テイクオフに上がる。このエリアは、3本目だ。また、一日で3本飛ぶのも初めてた。僕は、また、クロスでテイクオフした。西風が強くなった。僕の前に飛んだ広がランディングで左翼が潰されてハードランディングした。暫く動かなかったので心配して見ていたが、僕がランディングする迄に立ち上がったのでひと安心。ハーネスのエアバッグに助けられた感じだ。良かった。ハインツも心配そうに見ていた。僕は、無事に着陸した。その後、猿マーティンとタニヤン夫妻がアプローチして来た。ふたりのフライトをすかさずビデオで撮影した。見事にランディングしてから二人は向き合ってキッスをした。こちらの人は、ごく自然に「チュッ」をする。こぶたんが「大久保さん達もしなければ…」とけしかけた。
夜は、ホテル前でブラスバンドの演奏会があった。大勢の人達が聴きに来ていた。僕は、夕食後、レストランの窓から見ていた。DVビデオを三脚に固定して撮影した。
こちらに来てから初めて雨が降った。激しく30分位降った。マーティンが「今日は、午後に雨が降るかも知れない」と言っていたが、本当にそうなった。でも、バンドの演奏の時には、きれいに晴れわたって良かった。

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